がんべあの「ぶれない」キャラクター&ストーリーの作り方

創作活動の強い味方「エニアグラム」と「13フェイズ」

「表の性格」と「裏の性格」 大正オトメ御伽話「志磨 珠彦」と「渥美 綾」について考察する エニアグラム4w5⇔9w8

f:id:gunber:20211130062418p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

  こんにちは

 アニメ大好き

 みんなと一緒に幸せになりたい

 がんべあです。

 

 「エニアグラムの裏表」についての考察

 

 アニメの中に登場する「裏表の性格の差」が激しいキャラクター(や裏表の関係のキャラクター)をエニアグラムを使って分析するこのシリーズ。

 今回の考察は大正オトメ御伽話に登場する「志磨 珠彦(しま たまひこ)」と「渥美 綾(あつみ りょう)」。

 今回は主人公珠彦の成長の様子を中心に2人の関係と、今後のストーリー展開について分析します。

エニアグラムを知らない方はこちらから

gunber.hatenablog.com

 大正オトメ御伽話のストーリー

 大正10年(1921年)の冬、交通事故がもとで実母と利き手である右手の自由、父の期待を失った志摩の次男・珠彦は、千葉の田舎にある別荘を自宅として与えられ、養生という名目で厄介払いされていた。世の中の全てに嫌気がさし、引き籠もりの厭世家(ペシミスト)となり果てている珠彦のもとに、ユヅこと夕月(ゆづき)という少女がやってくる。彼女は父が珠彦の世話をさせるために金で買った嫁であった。珠彦は夕月を迎え入れはするものの、それは彼女が路頭に迷わないためで世話をされるつもりはなかったが、共に暮らす内に珠彦は夕月に心を許し始め、仲睦まじく生活を送っていく。(ウィキペディアより)

www.youtube.com

 

【志磨 珠彦(しま たまひこ)】(主人公)

f:id:gunber:20211130062315p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

【渥美 綾(あつみ りょう)】(裏の主人公)

f:id:gunber:20211130062351p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

 

 裏の主人公とは

 裏の主人公の役割は「主人公を否定する存在」である事。主人公(テーゼ)に対するアンチテーゼが裏の主人公。表と裏の主人公は相反する性格をしています。

裏の主人公は主人公の成長にとって重要な位置を占めるキャラクター。その様子を詳しく見てみましょう。

 

 志磨 珠彦ペシミスト悲観主義者)。苦しい現実から目を背け、自らの心の世界へ閉じこもっています。

珠彦(たまひこ):「僕は千葉の山中にある別荘に追いやられた 生きているだけで迷惑 一人で死ねと言うことか…

f:id:gunber:20211130060752p:plain大正オトメ御伽話 第1話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 一方の渥美 綾は現実主義者、苦しい現実から目を背けずに強か(したたか)に生きています。

綾(りょう):「ちょろいちょろい やっぱ坊ちゃんは懐が甘いねぇ 財布すられても気づかないんだもの」

f:id:gunber:20211130062252p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 綾は厳しい現実から目を逸らしません。弟たちの為に汚い事も行います。

綾の父:「どうだ 志磨の家には腐る程金があっただろう 収穫は?」

f:id:gunber:20211130075748p:plain

綾:「弟たちの前でよせよ それにこれは生活の為に使うんだ」

綾の父:「いいじゃないか 親の言う事は大人しく聞くもんだぁ」

綾:「何が親だ! 娘にこんな事させて 自分は毎日酒浸りな癖に!」

f:id:gunber:20211130075944p:plain大正オトメ御伽話 第6話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 珠彦(苦しい現実から目を背ける)と綾(強かに現実と向き合う)とは正反対の性格。

 

「主人公の行動理由(テーゼ)」と「裏の主人公の行動理由(アンチテーゼ)」は正反対、相反する考えがぶつかり合いながら物語が進む、それが物語に裏の主人公が登場する理由です。

【裏の主人公を詳しく知りたい方はこちらの記事で】

gunber.hatenablog.com

主人公と裏の主人公の関係

 主人公の志磨 珠彦の性格はタイプ4w5。

 4w5(ボヘミアン)は「個性・ロマン・創造性」を求め人とは違う道を進もうとします(タイプ4)、それに加えて独立心が強く、集めた知識を分析して活用する事が得意(タイプ5)な性格。

 

 一方の裏の主人公、渥美 綾の性格はタイプ9w8。

 9w8(調停者)はマイペースなのんびり屋さん(タイプ9)、それに加えて現実的で社交的、人と仕事をするのを好みます(タイプ8)性格。

 

 二人は正反対の性格で得意・苦手も逆転しています。

f:id:gunber:20220214093654j:plain

 志磨 珠彦(4w5:ボヘミアン)は自分の「内面」と向き合う事は得意ですが、内面に潜り過ぎて「現実」を見失いがち。

珠彦:「僕の人生は齢17にして終わったのだ 行方を照らす光なぞ何も見えない 何も…何も…いっそこのまま目覚めなければどれほど楽だろう」

f:id:gunber:20211130081744p:plain大正オトメ御伽話 第1話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 渥美 綾(9w8:調停者)はその逆で「現実」を見ることは得意ですが、自身の「内面」と深く向き合う事は苦手としています

綾:「ねえ 金で買われたのに幸せになるのって どんな気持ちなの…」

f:id:gunber:20211130081231p:plain大正オトメ御伽話 第7話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 二人は「内面」と「現実」と言う相反する世界に生きています。

 

4w5のお話のガイドライン

 

志磨 珠彦(主人公)のお話

【ストーリーライン(世界観)】
4w5:「空想世界」に引きこもっていた主人公が壁に当たり、その問題を解決するためにリアルな「現実世界」へ飛び出す(認識する・目を向ける)決心をする。

【4w5のお話についての詳しい解説はこちら】 

gunber.hatenablog.com

 

渥美 綾(裏の主人公)のお話

【ストーリーライン(世界観)】
9w8:「リアルな現実世界」に「不可思議な空想(人の内面)世界」が侵入してくる。

【9w8のお話についての詳しい解説はこちら】 

gunber.hatenablog.com

 

「大正オトメ御伽話」のストーリーは志磨 珠彦にとっては「内面から現実」へ歩みだすお話、渥美 綾にとっては「現実から内面」へ進むお話。

 

今後のお話の展開

 大正オトメ御伽話は志磨 珠彦(タイプ4)の成長の物語タイプ4は以下の順番で成長します。

f:id:gunber:20211201074941j:plain

 

【成長の第1段階】内面から「現実(タイプ1)」に飛び出す。

【成長の第2段階】現実の中から「楽しさ(タイプ7)」を見出す。

【成長の第3段階】現実世界の楽しさを「学び知識を得る(タイプ5)」。

【成長の第4段階】学びによって「力(タイプ8)」を手に入れる。

【成長の第5段階】得た力を使って「人の為に役立たせる(タイプ2)」。

 

 現在大正オトメ御伽話は8話まで進んでいます。ここまでのお話を振り返ってみましょう。

 

【第1話】「夕月 来タル」

 内面に閉じこもっていた珠彦の前に立花 夕月(たちばな ゆづき)(タイプ2:主人公の憧れ方向)が表れる。

f:id:gunber:20211130084725p:plain大正オトメ御伽話 第1話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 絶望に陥っていた主人公に前向きな「憧れ」の心が生まれます。

夕月:「だって 前向きに考えた方が心が楽ですもの」

f:id:gunber:20211202055420p:plain

珠彦:(…夕月の言葉はたまに真理を突いてくる…)

f:id:gunber:20211202055436p:plain大正オトメ御伽話 第2話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

【第3話】「黒百合ノ娘」

 夕月に対して憧れの心が生まれつつある珠彦。しかし、具体的(現実的)な行動はできません。

 そんな主人公の前に志磨 珠子(しま たまこ)(タイプ1:主人公を導く者)が表れます。

f:id:gunber:20211130084749p:plain大正オトメ御伽話 第3話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 人を助ける為に勉強し、医者の道を進もうと決意する珠子。その姿は主人公に進むべき道「導き」の大切さを示します。

珠子:「それでも私は人を助ける側の人間になりたい」

f:id:gunber:20211202060616p:plain

f:id:gunber:20211202060627p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

【第5話】「九月一日」

 珠彦の前に渥美 綾(あつみ りょう)(タイプ9:裏の主人公・主人公のアンチテーゼ)が表れる。

 医者を目指す為に旅立つ珠子に心が動かされ、自分も現実に対して行動したい気持ちが高まるが、それでも動くことができない主人公、ここで今回解説している裏の主人公、渥美 綾が登場。

 綾は珠彦から財布と共に夕月からもらったプレゼント(押し花のしおり)を盗み取ります。

f:id:gunber:20211130084812p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 大切なプレゼントを取り戻す為に意を決して綾の元へ赴く珠彦。

 このシーンは主人公が内面(テーゼ)から現実(アンチテーゼ)へと進み出す重要な物語の転換点

綾:「あーあ しくったなぁ 引きこもりの根暗坊ちゃんって噂だったから 泣き寝入りしてくれると思ったのにぃ」

f:id:gunber:20211202063654p:plain大正オトメ御伽話 第6話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 そして一気に物語は前へ進み始めます。

綾太郎:「ねーちゃん ここが分からないよ 教えて」

綾:「うーん どれどれぇ うっげ ご、ごめん綾太郎 私、算術は苦手…」

f:id:gunber:20211202062501p:plain

 綾:「んふふ…代わりにこの坊ちゃんが教えてくれるって 色んな本を読んで何でも知ってるもんねぇ」

f:id:gunber:20211202062158p:plain大正オトメ御伽話 第6話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 綾のおかげで珠彦は子供たちに勉強を教えることになります。内面に籠っていた主人公は裏の主人公の影響で「現実の世界」へと進み出します。

f:id:gunber:20211202065420p:plain

f:id:gunber:20211202065433p:plain大正オトメ御伽話 第7話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

【第8話】「珠彦 学校へ」

 現実の世界へ進み出した珠彦は「夕月を守れる男」になる為に進学を決意します。

珠彦:「どれだけ勉強しても足りない気がする でも これくらいやって当然なんだ 閉じ籠っていた時間を取り戻す為なら そして夕月を守れる男になるには…」

f:id:gunber:20211202074233p:plain大正オトメ御伽話 第8話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 

 苦しい現実の中、気を張り過ぎて押しつぶされそうになる珠彦。

 そんな主人公の前に白鳥 ことり(タイプ7:主人公の成長の第2段階目)が表れます。

ことり:「続いてうちの好きな歌を…」

f:id:gunber:20211201063443p:plain

 珠彦:「夕月 来てよかったよ」

f:id:gunber:20211201063501p:plain

大正オトメ御伽話 第8話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 珠彦は楽しく歌うことりの姿に癒されます。

「現実の楽しさを知る」それがタイプ4の成長の第2段階目。ことりは主人公を導く第2の存在。

 

 そして学校へ入学した珠彦の前に白鳥 ことりの兄、鳥 策(しらとり はかる)(タイプ5:成長の3段階目)が表れます。策は主人公を導く第3の存在。これから策と共に学びを進めていく事になるのでしょう。ここまでが第8話までのお話の流れとなります。

f:id:gunber:20211201064347p:plain大正オトメ御伽話 第8話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 アニメの中では珠彦の成長に従って主人公を導くキャラクターが登場してくる展開が実に綺麗に描かれています。

 8話時点の珠彦の成長は第2段階から3段階の途中、今後の成長がどう描かれていくのか、とても楽しみです。

【成長の第2段階】現実の中から「楽しさ(タイプ7)」を見出す。

【成長の第3段階】現実世界の楽しさを「学ぶ(タイプ5)」。

 

おまけ:主人公の闇落ち

 順調に成長している珠彦ですが、渥美 綾(裏の主人公)との出会いが無ければ闇落ちの可能性が高かったと思います。

 「夕月を守りたい」想いが強くなる珠彦、しかし実力を伴わずに他人を守ろうとするとどうしても無理が出てしまいます。その結果、悪事に手を染めてでも夕月を守ろうとするでしょう。

 その姿は渥美 綾(裏の主人公)が弟たちを守るために悪事を働く姿と重なります。最初は罪悪感を持ちながら行う悪事が徐々に本人を蝕んでいく、それが闇落ちの怖い所。

綾(りょう):「ちょろいちょろい やっぱ坊ちゃんは懐が甘いねぇ 財布すられても気づかないんだもの」

f:id:gunber:20211130062252p:plain大正オトメ御伽話 第5話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 志磨 珠彦(主人公)と渥美 綾(裏の主人公)の出会いが無ければ、2人は共に闇落ちへの道を進んだ可能性が非常に高かったと思います。しかし2人が出会い、互いの良い面(珠彦は内面・綾は現実と向き合える所)を影響(理解)し合う事によって正しい成長の道が切り開かれるのです。

 裏の主人公の存在は本当に大切!

 

綾:「気に入っちゃった そういう訳で謝る ごめんよ」

f:id:gunber:20211203070007p:plain大正オトメ御伽話 第7話より ©桐丘さな集英社・大正オトメ御伽話製作委員会

 大正オトメ御伽話はいい話で私のお気に入り。

 珠彦と綾、2人が闇落ちせずに成長していく姿が見れてとても嬉しいです。

 

 今回はここまで。

 

 まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います

 疑問点などありましたら是非教えてください

 

 この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います

 みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!

 

【他のタイプ4キャラクターの成長分析も見たい方はこちらの記事で!】

gunber.hatenablog.com

gunber.hatenablog.com

gunber.hatenablog.com

gunber.hatenablog.com

 

【参考資料】

「究極のエニアグラム性格学―人の性格って、おもしろい!」

 これからエニアグラムを学びたい方にオススメ

 エニアグラムについての知識が体系化されている分かりやすい本

 必要な情報は漏れなく書かれており、読みやすいのに読み応えがある良い書籍だと思います

究極のエニアグラム性格学―人の性格って、おもしろい!

中古価格
¥996から
(2020/1/12 08:49時点)

「新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ」

 より詳しくエニアグラムの事を知りたい方にオススメ

 いきなりこの本を読むと、その情報量に圧倒されて心が折れそうなるかもしれません

 覚悟のある方は是非!すごい本です

新版 エニアグラム【基礎編】 自分を知る9つのタイプ

新品価格
¥1,870から
(2019/12/11 08:53時点)

 「スバルの性格分析ブログ」

「裏と表の性格」についてはこちらのブログを参考にさせてもらっています。