すずめの戸締りより Ⓒ2022「すずめの戸締り」政策委員会
こんにちは
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がんべあです。
今回は「すずめの戸締り」のお話を13フェイズとエニアグラムを使って分析します。
久しぶりの13フェイズ記事となりますが、今回はエニアグラムの「物語の黄金パターン」と組み合わせて「13フェイズ」考察を進めていきます。初めての試みでちょっとドキドキしながら書いています。
「すずめの戸締り」の主人公は岩戸 鈴芽(すずめ)。物語は5つのお話で構成されています。分析していて物語構成の見事さに驚かされました。 詳しく見ていきましょう。
※ネタバレ全開です。ご注意を!
【13フェイズを知らない方はこちらの記事をどうぞ】
【エニアグラムを知らない方はこちらから】
13フェイズ作品の重要ポイント
13フェイズのお話を分析する際に最初に確認しておくべき重要なポイントがあります。
それは次の2つ
「①:主人公の抱える問題点」
「②:主人公を助け導く存在」
13フェイズの物語を考察する時にはこの2つが最重要ポイント。これさえ見つかれば7割以上の分析は終わった様なイメージを持っています。
しかし意外とこの作業が難しく、分析を進めていくと思いもよらなかった「主人公の問題点」や「助け」を発見する事があってとても楽しいのです。
①:主人公の抱える問題点
13フェイズのお話はどれも物語の当初「主人公が抱えている問題点」を「成長」によって物語の終わりにはその問題を解決すると言う流れで作られています。
※問題を解決できずに破滅してしまうバッドエンドのお話もありますが…。
岩戸 鈴芽(すずめ)が物語の当初で抱えている問題点は何でしょうか?
【岩戸 鈴芽(いわと すずめ)】主人公
すずめの戸締りより Ⓒ2022「すずめの戸締り」政策委員会
ここですずめの抱える問題点を見つける手助けとして「エニアグラム的な物語の黄金パターン」が非常に役に立ちます。実際に見てみましょう。
エニアグラム的なお話の構成
すずめを主人公とした登場人物の 性格と関係は以下の様になっています。
主人公すずめの性格は2w3(もてなす人)。
【2w3の基本的なお話】
周りの関係を良くするために「心を込めた大人のもてなし」をしてきた主人公が、「知的な子供のエンタメ」を提供する事で関係を深めようとする。
エニアグラム的に見た「すずめの戸締り」のお話。
2w3のお話の基本パターンを踏まえると「すずめの抱える問題点」が見えてきます。
『周りに対して「堅苦しい大人の対応(2w3)」をしてきたすずめが壁(環さんとの関係が上手くいかない)にあたり、周りに対して「子供の対応(7w6)」を行う(子供の頃夢描いた動く椅子と共にダイジン(7w6:すずめの裏人格)を追いかける)事によって問題を解決しようとするお話』と考えられます。
【他の2w3(もてなす人)の物語】
物語の当初、すずめの抱えている問題点は「周り(特に環さん)と良好な人間関係を築けていない事」。
すずめが成長する事で”抱えていた問題”を解決する(周りとの良い人間関係を作り上げる)物語が「すずめの戸締り」のお話の基本構成となる事が見えてきます。
13フェイズの物語の分析では主人公が抱えている問題点を見つけ出す工程がとても大切。
作者は物語の中で主人公の問題点をあえて見つかりにくいように描く事が多いので、意識して捜さないとなかなか見つからない事が多いのです。
②:主人公を助け導く存在
13フェイズの物語の2つ目のポイントは「主人公を助け導く存在」。
先ほど書いた通り主人公は物語の最初で大きな「問題点」を抱えています。
それは一人では解決する事ができないもの。
問題を解決する為には主人公を助け導く存在が必要となります。
13フェイズのお話は前半と後半に別れており、それぞれ以下の流れで作られています。
①大きな問題を抱えている主人公。
②【物語前半】では「誰かの助け・導き」によって主人公は成長し問題解決へと近づきます。
③【物語後半】では成長した主人公が、今度はその「助けなし」で、一人で真の問題解決を達成していくお話にシフトチェンジします。
すずめの物語
すずめの物語で主人公を助け導く存在、それは宗像 草太。
物語の前半ではすずめは良い人間関係が作れずに苦しんでいます。
そんなすずめを助け導くのが宗像 草太。
【宗像 草太(むなかた そうた)】
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物語の前半、第7フェイズまではすずめは草太に助けられて、愛媛・神戸・東京へと旅を続けます。その過程ですずめは次第に周りと屈託のなく良い人間関係を築く事ができる力を身に付けていきます。
成長したすずめは物語後半、第8フェイズからは草太の助けなしで環さんの関係を修復していくお話となります。
岩戸 環(いわと たまき)
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物語の基本構成
①すずめの抱える問題点は「周り(主に環さん)との関係を上手く作れない事」。
②【物語前半】では宗像 草太(主人公を導く者)とダイジン(裏の主人公)の助け・導きによってすずめ(主人公)は成長し問題解決へと近づきます。
③【物語後半】では成長したすずめが、今度はその「助けなし」で、一人で真の問題解決『環さん(ヒロイン)との関係修復』を行うお話にシフトチェンジします。
この「基本ストーリー」は更に5つに分割する事ができ、それぞれが13フェイズ構成の作りとなっています。
①日常~決意フェイズ「九州・熊本でのお話」
②苦境~助けフェイズ「四国・愛媛でのお話」
③成長フェイズ「神戸のお話」
④転換フェイズ「東京でのお話」
⑤試練~満足フェイズ「東北でのお話」
1つ目の物語(日常~決意)【九州・熊本】
問題を抱えながら停滞している「日常」を過ごしていたすずめが草太と出会い(事件)、共にダイジンを追いかける「決意」をするまでのお話。
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2つ目の物語(苦境~助け)【四国・愛媛】
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ダイジンを追いかける決意をしたすずめ。しかし何をしてよいのか分かりません(苦境)。そんなすずめを「助け」てくれる草太との関係を描いたお話。
3つ目の物語(成長)【神戸】
すずめが草太と二人での旅を通じて自分の過去と向き合い、草太やその土地で出会った人たちとの関係を深め「成長」していく姿を描いたお話。
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4つ目の物語(転換)【東京】
中盤のクライマックス。すずめは東京での大地震を防ぐ事ができるが草太と別れてしまうお話。
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5つ目の物語(試練~満足)【東北】
後半は前半助けてくれた草太と別れ、すずめ一人で試練に立ち向かうお話。
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最後に
「すずめの戸締り」は非常に複雑な物語。
今回、主人公が救い出すヒロインは環さんを中心に解説してきましたが、実はすずめ(タイプ2)が救い出すヒロイン(タイプ8)は物語の中で3人も設定されています。
①岩戸 環(8w7)
②宗像 草太(3w4)の裏人格(8w7)
③常世に迷い込んだ幼い頃のすずめ(タイプ8:タイプ2の退行)
すずめがこの3人のヒロインを救い出すお話が上の5つのお話で描かれています。
しかし更にその底には今回解説できなかった作者本人(新海誠監督:4w5)の物語も隠されている等、実に様々なファクターが重層的に盛り込まれています。
今回紹介したすずめを主人公としたメインストーリーを把握、理解して頭の中を整理しておくと、他の要素の判別がしやすくなると思います。
まだまだ書きたい事はいっぱいありますが、長くなりそうなので今回はここまで。
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まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います。
疑問点などありましたら是非教えてください。
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います。
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