こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
今回は映画「君の名は」のストーリー構成を「13フェイズ」理論で分析してみます
「君の名は」を始めて映画館で鑑賞した時には震えました
アニメってこんなに美しいんだ・・・と
作画も演出もお話もどれをとっても綺麗で美しい
夢の世界を体験させてもらいました
今回は「君の名は」の「ストーリー構成」に注目して分析をいたします
2人の主人公のお話が「繋がり紡がれた」素晴らしい構成!
新海誠監督の世界をより楽しむきっかけになれると嬉しいです
ネタバレ満載なのでご注意を
「君の名は」のストーリー構成
「君の名は」のストーリー構成はちょっと複雑
何故なら主人公が2人いるから
ストーリー前半は2人のお話が「同時」に進んでいきます
そして後半ではそれぞれの主人公が「孤独な状態」で進むお話の形態に変化します
孤独に奮闘する瀧と三葉の行動が「重なる時」物語は大きな盛り上がりを見せる構成になっているのです
このブログではこの複雑なストーリーを「13フェイズ」と言う理論を使って、分析をしていきます
13フェイズとは?
「君の名は」のお話を分析する前に「13フェイズとは何か」の説明をさせてもらいます
「13フェイズ」とは「起承転結」とか「序破急」「三幕構成」などと同じく「お話の構成」を表した名称
特徴は「13のフェイズに分かれた構成」
各フェイズで描かれるパターンは決まっています
基本的な13フェイズの流れは以下の通り
【13フェイズのストーリー構成】
【第1幕】(対立)
①【日常】主人公の日常、抱えている「問題」
②【事件】事件の発生、日常から引き離される
③【決意】新たな状況へ飛び込んでいく決意
【第2幕】(葛藤)
④【苦境】新たな状況での様々な苦境
⑤【助け】苦境に陥った主人公に助けが現れる
⑥【成長・工夫】助けを得た主人公の成長・工夫
⑦【転換】成長による成果、中盤の盛り上がり
ここまでが前半
⑧【試練】後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
⑨【破滅】主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
⑩【契機】破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
【第3幕】(変化)
⑪【対決】敵との最終対決
⑫【排除】敵を排除
⑬【満足】 主人公の抱える問題の解決
物語の構成には色々な方法がありますが、「王道の感動」ができるのはなんと言ってもこの13フェイズで創られたお話だと私は思っています
そして「君の名は」は13フェイズに従った構成になっており、それが物語の感動の大きな要素となっています
「君の名は」のストーリー構成
「君の名は」のストーリー構成はちょっと複雑
先程書いた通り「主人公が2人いる」から
【立花 瀧】(たちばな たき)
【宮水 三葉】(みやみず みつは)
映画ではこの2人のストーリーにそれぞれ13フェイズ構成が用いられています
「13フェイズA(瀧くんVer)」と「13フェイズB(三葉ちゃんVer)」の26フェイズ構成
その組み合わせが実に秀逸なのです
前半の構成
前半は2人のお話が同時に進んでいきます
この構成により「見ず知らずの二人がお互いに引かれていく様子」が双方の視点から見たストーリーとして自然に展開していきます
後半の構成
後半のストーリーはそれぞれの主人公が孤独な状態で進む形に変化します
まず瀧くんのお話が進み、次に三葉ちゃんのお話にバトンタッチ
主人公が交代する時に瀧くんが三葉ちゃんに組紐を渡す演出がまた素晴らしいです
先程、「後半は1人きり」と書きましたが、バトンタッチする一瞬だけ2人は出会う事になります
瀧くんのお話と三葉ちゃんのお話が重なる時、お話は大きな盛り上がりを見せてくれます
具体的な全体の構成
上の説明だけでは分かりにくいと思いますので、具体的なストーリー展開を映画の展開通り13フェイズで並べてみました
各フェイズを詳しく見ていきましょう
「お話の前半:瀧 ・三葉(二人で)」
①【日常】主人公の日常、抱えている「問題」
満員電車に乗る瀧と三葉 いつもの日常
ずっと、「何か」を「誰か」を探している
主人公の瀧と三葉 二人の抱える問題点は「大切な何かが消えてしまったが思い出せない事」
三葉:「朝、目覚めると、なぜか泣いている そういうことが、時々ある」
瀧:「見ていたはずの夢は いつも思い出せない ただ…」
三葉:「…ただ、そういう気持ちに取り憑かれたのは、たぶん、あの日から」
瀧:「あの日、星が降った日。それはまるで…」
三葉:「…まるで、夢の景色のように、ただひたすらに…」
瀧・三葉:「美しい眺めだった」
②【事件】事件の発生、日常から引き離される
二人の人格が入れ替わる事件が発生
三葉(の姿の瀧):「えっ? えっ?? ええーっ!!」
瀧(の姿の三葉):「ああーん この夢いつ目覚めるんよ~」
③【決意】新たな状況へ飛び込んでいく決意
入れ替わり生活を受け入れる決意をする二人
瀧:「それでも、俺たちは確かに入れ替わっている 周囲の反応がそれを証明している だから…」
三葉:「…だから、私たちはお互いの生活を守るため、ルールを決めた」
④【苦境】新たな状況での様々な苦境
入れ替わりによる摩擦、この現象にどう対応してよいのか分からず、苦境に立たされる2人
瀧:「あの女はー!」
三葉:「あの男はー!」
⑤【助け】苦境に陥った主人公に助けが現れる
13フェイズ構成のお話ではここで苦境に陥って戸惑う主人公を「助ける」存在が現れます
瀧と双葉はお互いの存在に助けられながら「入れ替わり」と言う困難に立ち向かいます
第5フェイズの「助け」は「瀧にとっては三葉」、「三葉にとっては瀧」の存在
そのきっかけを与えてくれるのは三葉のおばあちゃん
このフェイズの「助け」は正確に言うと
「瀧」にとっては「三葉と三葉のおばあちゃん」
「三葉」にとっては「瀧と三葉のおばあちゃん」
と言う構成になっています
おばあちゃん:「此岸に戻るには、あんたたちの一等大切なもんを、引き換えにせにゃならんよ」
⑥【成長】助けを得た主人公の成長・工夫
奥谷先輩とのデート失敗 しかしそのおかげで瀧 ・三葉の絆は深まり、二人の関係の成長が描かれます
瀧:「…デートが終わるころには、ちょうど、空に彗星が…」
(三葉:「ちょうど、空に彗星が見えるね」)
瀧:「…なに言ってんだ、こいつ…」
「A・お話の後半:瀧(一人きり)」
⑦【転換】(瀧)成長による成果、中盤の盛り上がり
(何故か髪を切った三葉 彗星が流れる美しい空、すると彗星が二つに割れて)入れ替わりが止まる(カバードピークA)
瀧:「…散々だったデートの結果は次に入れ替わったときに伝えればいい そう思った… でも、なぜか、もう2度と俺と三葉との入れ替わりは起きなかった」
ここまでが物語の前半、この次の第8フェイズから物語の後半に移ります
13フェイズ構成のお話では物語の後半では前半に助けてくれた存在が居なく為り、「主人公が単独」で困難に立ち向かわなくてはならない構成となっています
⑧【試練】(瀧)後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
入れ替わりが止まり、三葉との連絡もとれない瀧
瀧は記憶を辿り三葉に直接会いに行くが、三葉はなかなか見つからない
瀧:「…やっぱ無理か…」
奥寺・司「えー!」
奥寺:「私たちの努力はどうなるの?」
瀧:「はあああぁぁぁ…なんもやってないじゃん…」
⑨【破滅】(瀧)主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
三葉はもうこの世に居なかった事を知り愕然とする瀧
奥寺:「…この子なの?絶対なにかの間違いだよ!だってこの人3年前に亡くなってるのよ!」
⑩【契機】(瀧)破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
瀧の記憶が薄れ始める すでに三葉の事を思い出せない その時、腕に巻かれた組紐を見て大切な人の事を思い出す
奥村:「…綺麗だね きれい 瀧くんのそれも、もしかして組紐?」
瀧:「…え? あ、これは… たしか ずっと前に 人からもらって… なんとなく、お守りがわりに時々つけて…
…誰から?」
三葉:(瀧くん 瀧くん 覚えて…ない?)
瀧:「はっ!」
⑪【対決】(瀧)敵との最終対決
瀧は三葉と会うためにクレーターの中心にあるご神体に向かう
瀧「…ここから先は、あの世」
⑫【排除】(瀧)敵を排除
尾根で三葉と再び巡り合う
(Bの⑦と同じ場面)
瀧:「三葉」
三葉:「…瀧君? 瀧君… 瀧君がいる! …瀧君!」
瀧:「… お前に 会いに来たんだ 大変だったよ おまえ、すげえ遠くにいるから」
「B・お話の後半:三葉(一人きり)」
ここでお話の主人公は瀧から三葉にバトンタッチ
⑦ 【転換】(三葉)成長による成果、中盤の盛り上がり
尾根で瀧と再び巡り合う
(カバードピークB)
(Aの⑫と同じ場面)
瀧:「三葉、まだやることがある。聞いて」
三葉:「…来た」
瀧:「大丈夫 まだ、きっと間に合う」
三葉:「うん、やってみる!」
⑧ 【試練】(三葉)後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
三葉の試練は「隕石が落ちる前に村人を避難させなくてはいけない事」
テシ:「落ちるんか、あれが?マジで!」
三葉:「落ちる、この目で見たの!」
テシ:「はぁ?」
⑨ 【破滅】(三葉)主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
村人たちを救う為の計画は失敗、放送は中止される、三葉も気力が尽き、坂道で転んで立ち上がれない
三葉:「…だれ、だれ あの人はだれ? 大事な人 忘れちゃダメな人 忘れたくなかった人 だれ だれ…」
⑩ 【契機】破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
転んだ時、瀧が三葉の掌に書いた文字を見る
瀧(回想):(…目が覚めても忘れないようにさ 名前書いとこうぜ)
三葉:「………これじゃあ 名前 分かんないよ」
大切なものを握りしめるように右手を額に押し当てる
そして、キッと前を見据え、走り出す三葉
⑪ 【対決】敵との最終対決
村長(お父さん)を説得する三葉
三葉:「お父さん!」
⑫ 【排除】敵を排除
村人の避難
このシーンは省略されていますが、後で全員避難できた事が示されます
「ラストシーン:瀧 ・三葉(二人で)」
⑬【満足】主人公の抱える問題の解決
二人の再開
二人の問題点「大切な何かが消えてしまったが思い出せない事」が解決され、物語は終わります
瀧・三葉:「…きみの 名前は?」
まとめ
どうでしょうか?
複雑に見えたストーリーもこうして並べてみると基本を抑えたシンプルな作りとなっています
作品の中で主人公がバトンタッチする場面では、まるでリレーの襷(たすき)の様に「組紐」が瀧から三葉に渡される演出が堪りません
主人公が2人、13フェイズが2本ある事で物語の前半と後半の境目である「カバードピーク」が2回設定されています
これがどちらも印象的なシーンで感動ものでしたよね
カバードピークの盛り上がりは13フェイズ理論での重要事項の一つ
今回の例のように13フェイズは重ねがけする事で、混乱する事なしに複雑なストーリーを作る事ができます
まだまだ書きたい事はいっぱいあるのですが、今回はここまでで
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