僕の心のヤバイやつ 第1期 第10話より ©桜井のりお(秋田書店)/僕ヤバ製作委員会
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「エニアグラムの裏表」についての考察
今回の考察は「僕の心のヤバイやつ」。
「僕の心のヤバイやつ」は暗くて内気な市川 京太郎と明るく活発な山田 杏奈の織りなすラブコメディ。2人は「表の主人公」と「裏の主人公」の関係となっています。
成長物語(ビルドゥングスロマン)には4人のキーキャラクターが登場します。それは「主人公」「裏の主人公」「主人公を導く者」「ヒロイン」の4人。
そして彼ら・彼女ら4人の性格と関係をエニアグラムで分析をすると決まったパターンが見受けられます。詳しく見ていきましょう。
【エニアグラムを知らない方はこちらから】
「僕の心のヤバイやつ」PV
【市川 京太郎(いちかわ きょうたろう)】(主人公)
【山田 杏奈(やまだ あんな)】(裏の主人公)
裏の主人公とは
裏の主人公の役割は「主人公を否定する存在」である事。主人公(テーゼ)に対するアンチテーゼが裏の主人公。表と裏の主人公は相反する性格となっています。
裏の主人公は主人公の成長にとって重要な位置を占めるキャラクター。
市川 京太郎は現実から離れ妄想の世界で生きています。
市川 京太郎:(僕が今 最も殺したい女 山田 杏奈 学校一の美人で雑誌のモデルもやってるらしいがそんな事はどうでもいい)
京太郎:(僕はとにかく その綺麗な顔が苦痛に歪むのが見たくて堪らないのだ)
京太郎:(はっ…クソクソクソ クソ女 そうやって見下げている事 絶対に後悔させてやる)
京太郎:(ああ そうだ きっと山田は死体になっても美しい そしてその身体は 殺人鬼 そう…僕だけのものになるのだ…)
京太郎:(そんな妄想を夜な夜な繰り返しては自己嫌悪する 僕は頭がおかしい…)
一方の山田 杏奈は現実主義者、「本能」の欲するままに現実と向き合っています。
山田 杏奈:「好きなモノを好きな時に食べる それが私のライフスタイルなんだよ」
市川 京太郎(苦しい現実から目を背け、空想の世界に生きている)と山田 杏奈(強かに現実と向き合う)とは正反対の性格。
「主人公の行動理由(テーゼ)」と「裏の主人公の行動理由(アンチテーゼ)」は正反対、相反する考えがぶつかり合いながら物語が進む、それが物語に裏の主人公が登場する理由となります。
「市川 京太郎」と「山田 杏奈」の関係
主人公、市川 京太郎の性格はタイプ4w5。
一方の裏の主人公の山田 杏奈の性格はタイプ9w8。
9w8(調停者)はマイペースなのんびり屋さん(タイプ9)、それに加えて現実的で社交的、人と仕事をするのを好む(タイプ8)性格。
二人は正反対の性格で得意・苦手も逆転しています。
市川 京太郎(4w5:ボヘミアン)は自分の「内面」と向き合う事は得意ですが、内面に潜り過ぎて「現実」を見失いがち。
市川 京太郎:「僕は頭がおかしい この平和で満ちた中学の均衡は 常に危ういと言う事を 今は誰も知らない…」
一方の山田 杏奈(9w8:調停者)はその逆で「現実」を見ることは得意ですが、自身の「内面」と深く向き合う事は苦手としています。
市川 京太郎:(社会で研究発表するやつか)
山田 杏奈:「よし」
市川 京太郎:(え 下書き無しで?)
市川 京太郎:(はぁ ほらスペース足りなくなった…)
山田 杏奈:「う…あ…」
山田 杏奈:「うんうん」
市川 京太郎:(うんうんじゃないだろっ!)
市川 京太郎が「考え過ぎで行動ができない」のに対して山田 杏奈は「考え無しでガンガン行動する」性格。
二人は「内面」と「現実」と言う相反する世界に生きています。
「市川 京太郎」と「山田 杏奈」のお話のガイドライン
市川 京太郎(主人公)のお話
4w5:「空想世界」に引きこもっていた主人公が壁に当たり、その問題を解決するためにリア
ルな「現実世界」へ飛び出す(認識する・目を向ける)決心をする。
山田 杏奈(裏の主人公)のお話
【ストーリーライン(世界観)】
9w8:「リアルな現実世界」に「不可思議な空想(人の内面)世界」が侵入してくる。
【9w8のお話についての詳しい解説はこちら】
「僕の心のヤバイやつ」のストーリーは市川 京太郎にとっては「内面から現実」へ歩みだすお話、山田 杏奈にとっては「現実から内面」へ進むお話。
表と裏の相反する主人公、そのままでは二人の世界は交わりません。そんな主人公を導くのが第3のキーキャラクター「主人公を導く者」の役割。
【イマジナリー京太郎】(タイプ1w2:主人公を導く者)
タイプ1w2:基本的に真面目で理想を求める(タイプ1)完璧主義者、それに加えて理想を示す為の方法として人々を救おうとする(タイプ2)性格
1w9より現実にかかわりをもつことを好む。気性が激しく、行動的。
イマジナリー京太郎は京太郎が妄想によって作り出したイマジナリーフレンド。イマジナリー京太郎は京太郎に対して現実を直視するようにアドバイスを行います。
イマジナリー京太郎:「思い出してみろ 昨日の事」
市川 京太郎にとって身の回りの世界は空想(憧れ)の世界でしかありませんでした。
しかしイマジナリー京太郎によって身の回りの世界は「空想から現実」へと変化します。
始めは必死で現実から目を背け空想の世界へ戻ろうとする京太郎。しかしイマジナリー京太郎はそんな京太郎を現実の世界に導いていきます。
イマジナリー京太郎:「本当は感じてるんじゃないか 山田との可能性を…(中略)男らしく鍛えてみたらどうだ?」
イマジナリー京太郎の導きによって京太郎は今まで憧れだけの存在だった山田 杏奈と交流を深める事ができるのです。
『主人公を導く者』の導きによって”空想の世界”から”現実の世界”へと踏み出した『主人公』は『裏の主人公』と交流する事で成長をしていきます。そして最終的に二人で力を合わせて『ヒロイン』の心を救う。
成長物語(ビルドゥングスロマン)のお話のパターンはどれもこの4人によって構成されています。
では市川 京太郎にとってのヒロインは誰なのでしょうか?
それは京太郎の姉である市川 香菜と思われます。
【市川 香菜(いちかわ かな)】(タイプ2w1:ヒロイン)
タイプ2w1:弱きものを「助ける(守る)(タイプ2)」為に「正義(タイプ1)」を教示する性格。
2w3よりも内向的。裏方で働くことを好み、真面目で面倒見が良い。
「僕の心のヤバイやつ」の基本的な物語の構成は『市川 京太郎(主人公)』が『イマジナリー京太郎(主人公を導く者)』の導きによって『山田 杏奈(裏の主人公)』と相反する想いを統合し、『市川 香菜(ヒロイン)』を救う(=山田との交際を認めてもらう)お話なのでしょう。
市川 香菜:「かわいいのいっぱいあるでしょ~」
市川 京太郎:「!!!」
山田 杏奈:「ぱらっぱ ぱらっぱー♪」
市川 京太郎:「しー!!」
杏奈:「ん?」
京太郎:「あ 姉が…」
杏奈:「姉?」
杏奈:「あ 挨拶は」
京太郎:「え い いいっ」
京太郎:「い…今じゃない」
杏奈:「…」(中略)
杏奈:「ね さっきの”今じゃない”ってどう言う意味」杏奈:「何時ならいい?」
市川 京太郎:「おいおい 改めて…」
杏奈:「約束だよ」
ホント甘酸っぱくて見ていて照れてしまいますが、この感覚が溜まりません。
4人のキーキャラクター達の関係はエニアグラムで表すと下図の様になっています。
エニアグラムでの配役を見つけてお話の流れを推測するのはとても楽しい作業。あなたの創作活動にも是非活用してみてください。
今日はここまで。
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まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
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【4w5⇔9w8:表と裏の関係他記事】
【用語出典まとめ】
【参考資料】
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「裏と表の性格」についてはこちらのブログを参考にさせてもらっています。