異世界美少女受肉おじさんと 第8話より ©池澤真・津留崎優・Cygames / ファ美肉製作委員会
こんにちは
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がんべあです。
今回は「異世界美少女受肉おじさんと」（ファ美肉おじさん）を解説します。
ファ美肉おじさんは異世界転生のお話。主人公でサラリーマンの橘は転生した際に男から女になってしまいます。そんな主人公の橘と幼馴染の神宮寺がおりなす「おっさんと元おっさんのラブコメディ」。それがファ美肉おじさんのストーリー。
このアニメはなんと「闇落ちルート」をギャグとして活用しているのが特徴。分析していて驚かされました。
「闇落ちルート」の仕掛けを詳しく解説する前にまずはこのアニメの「三角関係」から見ていきましょう。
【エニアグラムを知らない方はこちらからどうぞ】
三角関係とは？
三角関係はWIKIによると以下の定義となっており、他の辞書で調べてもおおむね似た意味として述べられています。
このブログではもう少し意味を広げて恋愛だけでなく友情、尊敬、憧れ、敵意などの強い感情を抱く相手との関係として捕えていきます。
三角関係のルール：その①
基本的な三角関係は「主人公」・「主人公を導く者」・「主人公の憧れ」の3人で構成されています。
三角関係のルール：その②
三角関係を構成する3人の関係は立場の上下があり、その順番は以下の様になります。
立場が強い：「主人公の憧れ」
立場が中間：「主人公」
立場が弱い：「主人公を導く者」
三角関係のルール：その③
主人公が成長する為には「主人公を導く者」との関係を深める必要があります。主人公が成長する前に「主人公の憧れ」との関係を深めようとすると闇落ちの危険性が高まります。
多くのドラマの主人公はまずは「主人公を導く者」との関係を深める事で成長し、最終的に「主人公の憧れ」との関係を築く流れとなっています。
ファ美肉おじさんの三角関係
ファ美肉おじさんの主人公は橘 日向（たちばな ひなた）。
橘 日向を中心とした三角関係
【主人公（タイプ7：楽天家）】
橘 日向（たちばな ひなた）
【主人公を導く者（タイプ5：観察者）】
？（未登場）
【主人公の憧れ（タイプ1：完璧主義者）】
神宮寺 司（じんぐうじ つかさ）
このブログを書いている現在（第9話）でいまだに主人公の「成長方向」であるタイプ5（観察者）のキャラクターが登場していません。
それどころか物語が進むにつれ主人公（橘）に対する「闇落ち」方向のキャラクターが次々と登場する展開となっています。具体的に見ていきましょう。
【主人公（タイプ7ｗ8：現実主義者）】
第１話では主人公の憧れ方向である神宮寺が登場。これは普通のアニメと同じ基本的な展開。
【主人公の憧れ＝闇落ち方向（タイプ1：完璧主義者）】
神宮寺 司（じんぐうじ つかさ）（第1話）
第2話では裏の主人公、エルフ族の頭目ルーが登場。これも普通のアニメと同じ展開です。
【裏の主人公（タイプ3ｗ2：魅了する人）】：ティロリロ・リリリ・ルー（第2話）
しかし主人公（橘）は裏の主人公（ルー）と真面目に向き合おうとしません。この流れは闇落ちルートとなります。
※ルーは一方的に橘にライバル心を抱いていますが…。
そしてこの次は通常では「主人公を導く者（タイプ5）」が現れるのがパターン。
しかしこのアニメではタイプ5のキャラではなく、主人公を「闇落ち方向」へと誘うキャラクター達が次々と（第2段階→第４段階まで）現れる展開となっています。
まず登場するのはタイプ4。タイプ4はタイプ7が闇落ちする第2段階の位置にあります。
【闇落ち方向・第2段階（タイプ4：芸術家）】
シェン（第6話）
そしてこの後、更に闇落ち方向のキャラが登場し、主人公に進むべき行く先を示していきます。
【闇落ち方向・第3段階（タイプ2：献身家）】
ムリア（第9話）
シェン：「おや上司殿 まだ自己紹介ないので？」
神宮寺：「上司？」
ムリア：「申し遅れました 私この国の諜報などを任せられておりますムリアと申します（中略）勇者さま方 この先で王がお待ちです」
第9話ではシェンの上司ムリアが登場、そして更に上の王様が現れ主人公を導こうとします。
【闇落ち方向・第4段階（タイプ8：統率者）】
王様（第9話）
王様：「勇者様達は神託の内容まではご存じないのか？（中略）我が女神の神託は複雑で毎回解読に時間がかかるが 女神さまの手によって作られし美少女が勇者として召喚される聖なる紋章を持った者を捜し出し 助け導く様に…と言うことだろう」
王様：「愛と美の女神によって召喚されし勇者達よ 我が女神の威光を示す為にも 何としても一番に魔王を倒すのだ その為には我々も援助を惜しまないつもりだ」
通常のお話の場合、この流れは主人公は闇落ちへとまっしぐらのコース、かなりやばい展開。
しかし主人公の橘は闇落ちする気配は全くありません。いったいどうした事でしょうか？
その理由は「このお話はギャグストーリーであり、主人公の成長（や闇落ち）を描こうとしていないから」。
ギャグとしての「闇落ちルート」
主人公が成長せずにただ単に面白おかしい日々を過ごすストーリーはその単調さに退屈してしまいます。
その危険性を避ける為に先ほど述べた「闇落ちルート」が設定されているのだと推測します。
ファ美肉おじさんを見ていると我々視聴者はお話が進むにつれ主人公が闇落ちルートをひたすら進んでいく事に対して「無意識のレベル」でハラハラしてしまいます。しかし主人公は実にあっけらかんとしており、心の中に渦巻いていたハラハラがぶっ飛んでしまいます。
お笑いは「心配させてから安心させる」のが基本。人は「危険だと思った状態が実は問題無い」事が分ると思わず笑ってしまいます。笑うと言う事は「もう大丈夫だよ」と言う合図。
「ファ美肉おじさん」は「闇落ちルートの不安感をギャグ（笑い）として活用」した見事なストーリー展開だと考察します………ホントかな？？？
けどそうとしか考えられないのですよね。
おまけ
橘と神宮司、それぞれの人物関係をまとめてみました。
まずは橘から紹介しましょう。
「橘 日向を主人公とした三角関係」は1（神宮寺）-7（橘）-1（ユグレイン）となっていて、タイプ5のキャラクターは絡んできません。
ユグレインは橘にとって理想の女性。主人公の憧れ方向にいます。そして神宮司もまた橘にとって憧れの方向にいるのです。
橘：「理想は金髪美少女のはず できれば少し幼くて きりっとしてて 若干物憂げな感じのある そう まさにこんな感じの…」
橘：「なんでだ なんでいつも神宮司なんだよ ほんと嫌な奴だよお前 モテるし カッコいいし ずるい くそバーカ…」
神宮寺 司を主人公としたキャラクター関係
主人公：神宮寺 司（じんぐうじ つかさ）【タイプ1ｗ2】
裏の主人公：ルシウス【タイプ6ｗ5】
主人公の憧れ：シェン【タイプ4】
主人公を導く者：橘 日向（たちばな ひなた）・シュバルツ・フォン・リヒテンシュタイン・ローエングラム【タイプ7】
「神宮寺 司を主人公とした三角関係」は7（橘）-1（神宮寺）-4（シェン）となっています。
神宮司：「聞きたい事がある どうして俺たちに付きまとう 目的を言え」（中略）
シェン：「目的なら前にお話したじゃないですか あなたとお付き合いさせて頂きたいと…」
しかし4は闇落ち方向なので十分な注意が必要（笑）。
ムリア：「！？」
分析していて良くできているアニメだなぁと改めて笑ってしまいました。
ただし主人公がタイプ7のギャグアニメは「けものフレンズ」の様に時折ギャグと安心させておいて実は深刻なストーリーが裏に隠されていると言うパターンも存在しますので注意が必要。
主人公の橘のお話が「闇落ち方向」に進んでいる事はギャグではなく、作者が最後に本当に危険な状態を描くための布石なのかも…。
…とここまで書いて重大な事に気が付きました。ファ美肉おじさんのお話は「おっさんと元おっさんのラブコメディ」。最初から闇落ちルート確定のお話。今のストーリー展開はこれで正しいのかもしれません。
今回はここまで。
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います。
疑問点などありましたら是非教えてください。
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います。
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように！
【三角関係の記事】
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