「崖の上のポニョ」より © 2007 STUDIO GHIBLI Inc.
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
今回は宮崎駿監督「崖の上のポニョ」の13フェイズ解説を行います
この作品は2008年(平成20年)公開作品
日本での興行収益は155億円
アニメ映画としては歴代6位
(2018年11月時点)
「崖の上のポニョ」と言えば海の表現が圧巻
宮崎監督と言えば「空」を描くのが上手いイメージがありますが、「海」を描いても抜群の表現力があります
つくづくすごい監督ですよね
さて、このお話の主人公は誰でしょうか?
それは言わずと知れた宗介
しかし実はもう一人の「影の主人公」がいるのです
それはポニョのお父さんフジモト
ストーリーを分析していくと影の主人公フジモトこそ、このお話の本当の主人公かもしれないと思い始めました
では2人のお話の詳しい解説を始めましょう
※物語は人によって千差万別な捉え方ができると思っています、このブログはあくまで私の目から見た意見ですのでご了承下さい
※「」と
OO:「OOO」
は引用部分 引用はアニメ「崖の上のポニョ」から
※ネタバレありです、ご注意を
「崖の上のポニョ」のお話
宗介が主人公の物語の構成は以下の通り
宗介の抱える問題点は「守るべき人」がいない事
物語前半、第7フェイズまでは宗介はポニョの助けを得てリサを捜す冒険の旅を進む事で二人の関係を深めていきます
人と人との関係を深める為には「共通の目標」に向かって協力して行動する事が一番
二人は「リサを捜す」と言う共通の目標に向かって旅をします
しかし第8フェイズ以降の後半では宗介はポニョの助け無しで目標に向かう旅を続けなくてはなりません
そして旅を終えた宗介はポニョの両親に認められ、お話はハッピーエンドを迎えます
しかし、このお話はちょっと綺麗すぎる感じがします
「人の欲望、苦しさ、葛藤、そしてその克服」と言った宮崎監督が今まで描いてきたドラマが感じられません
悪く言うと絵空事の様な気がしてしまいます
どうしてしまったのでしょうか?
もちろん、宮崎監督が自身の物語の中に人間性のドラマを描かない訳はありません
それは「崖の上のポニョ」の中にきちんと存在していますが、敢えて巧妙に隠されており、影の主人公フジモトがそれを担っているのです
フジモトのお話
フジモトの問題点は「子離れができない事」
物語前半、第7フェイズまではフジモトは「生命の水」の助けを得てポニョを自分の元へ留めようとします
しかし第8フェイズ以降の後半ではフジモトを助けてくれた生命の水は逆にポニョの力となってしまい、その助けを得る事はできません
途方に暮れるフジモトにグランマンマーレは提案します
フジモト:「このままにしておいては世界は破滅する!」
マンマーレ:「ねえ、あなた ポニョを人間にしてしまえばいいのよ」
フジモト:「エエッ!?」
マンマーレ:「ふるーい魔法 男の子の心が揺るがなければポニョは人間になって魔法を失うわ」
フジモト:「し、しかし あの方法は…しくじるとポニョは泡になってしまう」
マンマーレ:「あら、わたし達はもともと泡から生まれたのよ」
それでも諦めきれないフジモトは最後の戦いで宗介からポニョを取り戻そうと戦いを行います
このシーンは「フジモトがポニョを攫おうと誤解された」として描かれていますが、私はフジモトは本気で宗介からポニョを取り戻そうと戦ったのだと思います
そんなフジモトの本気を感じたからこそ、宗介は必死でポニョを守ろうとしたのでしょう
たとえ世界が滅ぼうとも、自分が本気で戦って負けるような奴(宗介)にポニョを渡す訳にはいかないと
そして本気で戦ったからこそ、相手を認めフジモトはようやく子離れする事ができたのだと思います
フジモトは宮崎監督の分身
「崖の上のポニョ」の影の主人公はフジモトだと分析してきましたが、フジモトはそのまま宮崎監督の分身だと思います
フジモトの手元に置いておきたい愛すべき子供はポニョ
宮崎監督にとっての「愛すべき子供」とは何なのでしょう
それは監督自身の「作品」なのだと私は分析します
「自ら創り上げた愛すべき作品からの子離れ」
それがこの作品で本当に描きたかった宮崎監督のテーマなのだと思います
「自らが創りあげた作品」は観客の手に渡った瞬間、自分の想いとは反した方向へとてつもないエネルギーを持って動き始めます
そして製作者の願いや意図に反して勝手な行動を取り、創った本人と言えどもそのコントロールを行う事はできません
かつて宮崎監督は「野山の良さを理解し、外で遊んで欲しい」と言う願いを込めて子どもたち向けのアニメを創ってきました
そうして作品は大ヒット
しかしその結果は、子どもたちは外へ出ずに家でDVDを繰り返し見ると言う監督の想いとは別の結果を生み出してしまいます
「自分の作品が想いと反して独り歩きを始める」「作品がいい子ちゃんに育ってくれない」そんな現象に心を痛めていた宮崎監督
監督は悩んだ末に決意したのでしょう
自分の子供である「作品」(ポニョ)をいつまでも自分の手元で良い子としてコントロールするのではなく、観客(宗介)に委ねようと
そう考えると「宗介(観客)が認めてくれなかったら、ポニョ(自分の子供=作品)は泡になって消えてしまう」と言うのも意味深なセリフですね
宮崎監督の本音
マンマーレと宗介のセリフから
マンマーレ:「ポニョの正体が半魚人でもいいですか?」
宗介:「うん、ぼく、おさかなのポニョも半魚人のポニョも人間のポニョもみんな好きだよ」
宮崎監督が「観客(宗介)から自分の作品(ポニョ)に対して一番投げかけて欲しい言葉」がこのセリフ
しかも「(しかたがないから)今はお前を信じて私の育てた可愛い作品を預けるけど、私の作品を”愛する”事を忘れたら世界は滅びるからな!」とのおまけ付き
こんなにも切ない「監督の本音」が込められた「崖の上のポニョ」はとても人間的で魅力的なお話だと感じました
見れば見るほど作品の深さが伝わってくる宮崎監督の作品、私はいつまでも大好きです
繰り返しますが、物語は人によって千差万別な捉え方ができると思っています、このブログはあくまで私の目から見た意見ですのでご了承下さい
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【宮崎監督作品に関する過去記事はこちらから】
【13フェイズについて詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ】
【参考資料】
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