がんべあの「ぶれない」キャラクター&ストーリーの作り方

創作活動の強い味方「エニアグラム」と「13フェイズ」

物語の書き方 ストーリー構成を学ぼう アニメ「鬼滅の刃」を13フェイズで分析する ④第4フェイズ【苦境】(鬼舞辻無惨との邂逅から那田蜘蛛山編まで)

f:id:gunber:20201024185730j:plain鬼滅の刃 第18話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable


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がんべあです

 

 鬼滅の刃」の13フェイズ分析、第4回目

 

【第1回目がまだの方はこちらでどうぞ】

gunber.hatenablog.com

 ※このシリーズの解説はTVアニメと今回の映画「無限列車編」までのネタバレがありますのでご注意ください

  

 前回までのブログで鬼滅の刃のお話の第3フェイズ【決意】まで解説を行ってきました

 禰豆子を人間に戻す方法を見つける為に鬼と闘う決意を行った炭治郎

 第4フェイズ【苦境】ではその炭治郎に様々な苦境が襲いかかる場面が描かれていきます

 

 今回解説を行うのは「鬼舞辻 無惨との邂逅」から、「那田蜘蛛山」までのお話、第4フェイズ【苦境】

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 第4フェイズは「鬼舞辻無惨との邂逅(珠世と愈史郎との出会い)」「鼓屋敷の闘い(仲間との出会い)」「那田蜘蛛山の闘い」と盛り沢山の内容となっています

 

 今回はこの中から「那田蜘蛛山の闘い」をピックアップして詳しく見ていきたいと思います

 

 このお話は敵である下弦の伍、累(るい)が主人公の変則的な13フェイズ構成となっています

 

 では詳しく分析してみましょう

 

「那田蜘蛛山の闘い」のお話構成

 

  13フェイズのお話は「主人公が抱える問題点」を「成長」によって解決していく流れでできています

 

 今回の主人公は十二鬼月 下弦の伍の 累(るい)

 

【累(るい)】

f:id:gunber:20201024185730j:plain鬼滅の刃 第18話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

 お話の始まりでの主人公累の抱える問題点は「本当の絆が見つからない事」

 

 今回のお話では「累が本当の絆に気付くまで」の様子が切なく描かれていきます

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 13フェイズ構成のお話では「前半何かの助け」で成長する主人公が、後半は「その助けなし」で成長する構成となっています

 累を助けるのは鬼舞辻 無惨

 

【鬼舞辻 無惨(きぶつじ むざん)】

f:id:gunber:20201031065914j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

 ではフェイズ毎に詳しく見ていきましょう

 

物語の前半(第1フェイズ~第7フェイズ)

 

第1フェイズ【日常】

「病弱な累の子供時代」

 累のかかえる問題点は『本当の絆に気付いていない事』

累:「俺は身体が弱かった 生まれつきだ 走った事が無かった 歩くのでさえも苦しかった」

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鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

第2フェイズ【事件】

「鬼舞辻無惨によって鬼となる累」

累:「…無惨さまが表れるまでは…」

f:id:gunber:20201031064729j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

第3フェイズ【決意】

「両親の殺害」

 累は自分の両親を殺害する事で鬼として生きる決意を示します

f:id:gunber:20201031065046j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

第4フェイズ【苦境】

「絶望する累」

 両親を殺した後、ようやく「本物の絆」に気付く事ができる累、しかしその絆は自分自身で切ってしまった事に絶望します

累:「本物の絆を俺はあの夜、俺自身で切ってしまった…」

f:id:gunber:20201031065343j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

第5フェイズ【助け】

「鬼舞辻 無惨の助け・導き」

 絶望に打ちひしがれる累を助け、導くのは鬼舞辻 無惨

累:「それでも無惨様は俺を励ましてくださった

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無惨:「全てはお前を受け入れなかった親が悪いのだ 己の強さを誇れ」

f:id:gunber:20201031065914j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

第6フェイズ【成長】

「無惨の助けの元、鬼として成長していく累」

 無惨に導かれ、累は鬼の中でも特別に強い存在へと成長していきます

 このフェイズは省略されていますが、累は無惨に認められようと必死の努力をしたのでしょう

 

第7フェイズ【転換】

「十二鬼月となる」

 

 こちらのフェイズも省略されています

「無惨に認められようと、壮絶な努力をする事で成長した累が十二鬼月に選ばれるシーン」が物語の中盤のクライマックスだと予想されます

 

 一人ではくじけそうな累が無惨の助けによって鬼として成長していく姿が描かれる、ここまでが物語の前半部分

 

 しかし後半の第8フェイズからは前半助けてくれた無惨に見捨てられ、助け無し累が一人で成長していくお話となります

 

物語の後半(第8フェイズ~第13フェイズ)

 

第8フェイズ【試練】

「那田蜘蛛山で家族を作る、しかし累の心は晴れない」

 これも詳しくは描かれておらず、想像の域を超えませんが、おそらく上弦の力にまで成長できない累は無惨に見捨てられたのだと思われます

 

 物語の前半で助けてくれた無惨の助けを失った累

 無惨との関係の中で「本当の絆」を見つけようと努力してきた累は物語後半では無惨の助け無しで、一人「本当の絆」を見つける為に努力します

 その努力が「偽りの家族を作る」と言う累の行動だったのでしょう

累:「ようこそ 君も今日から僕の家族だ」

f:id:gunber:20201031075158j:plain鬼滅の刃 第20話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

第9フェイズ【破滅】

 「今のやり方では本当の絆は決して得る事はできないことに気付く」

 

 累は薄々気付いていた事実に直面する事になります

 炭治郎と禰豆子の本当の絆を見せ付けられる事で、累は自分のやってきた事が全て意味がない事に気付いてしまいます

炭治郎:「ふざけるのも大概にしろぉ!! 恐怖でがんじがらめに縛り付ける事を 家族の絆とは言わないっ! その根本的な心得違いを正さなければ お前の欲しいものは手に入らないぞ」

f:id:gunber:20201031080319j:plain鬼滅の刃 第19話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable 

 禰豆子を抱きしめる炭治郎の姿を見た累は絶望の想いを込めて手を差し出します

 主人公に決定的な破滅が訪れる、これが第9フェイズ【破滅】

累:「どうやっても もう手に入らない絆を求めて 必死に手を伸ばして見ようが 届きもしないのに…」

f:id:gunber:20201031080902j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable
  

 しかし次の第10フェイズ【契機】ではその破滅を乗り越える為の契機が訪れます

 

第10フェイズ【契機】

「炭治郎が累の背中に手を当てる」

 どうしようもない絶望の中、崩れ行く累の背中に炭治郎が手を当てます

炭治郎:「小さな身体から 抱えきれない程大きな悲しみの匂いがする 」

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 その行為に破滅からの立ち直り(契機)を見出す事ができる累

累:「暖かい 陽の光の様な優しい手…」

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累:「思い出した はっきりと… 僕は謝りたかった ごめんなさい 全部、全部僕が悪かったんだ どうか 許して欲しい 

f:id:gunber:20201031081730j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

 本当の絆は決して消えたのではありません

 ずっと累は本当の絆を持っていました

 ただそれに気付く事が出来なかっただけなのです

 

 

 「絶対的な破滅から一筋の希望を見出す」これが13フェイズ構成における契機フェイズとなります

 

第11フェイズ【対決】~13フェイズ【満足】

 通常の13フェイズの流れはこうなります

 第10フェイズ【契機】:本当の絆を思い出す契機を掴んだ累

 第11フェイズ【対決】:その事を実証する為に最後の闘いに挑む

 第12フェイズ【排除】:自分の中にあった障害物を排除する

 第13フェイズ【満足】:勝利による満足を勝ち取る

 

 しかしアニメ(那田蜘蛛山の闘い 15~21話)では累のお話の対決フェイズ以降のお話は描かれていません

 

 おそらくその「対決」は炭治郎と無惨の最終対決に持ち越されているのだと思います

 

 人は例えその身体が死んでしまっても、その行動は後に続く人へと受け継がれていきます

 これは鬼滅の刃に流れる大きなテーマ

 

 累のその身体は滅びますが、その想い(本当の絆の強さ)は後に続くもの(炭治郎)に繋がっていきます

 

 お話の決着(第11フェイズ以降)は「累の想いを受け継いだ炭治郎」が「”本当の絆”の強さを実証する」為に無惨との「最終対決で勝利する」と言う物語の構成になっているのだと分析します

 

f:id:gunber:20201031082137j:plain鬼滅の刃 第21話より ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

おまけ

 

 今回は那田蜘蛛山の闘い」に絞って解説をしましたが、この闘いの前に行われる「鼓屋敷の闘い」も同じ構成

 基本的な流れは

「鬼になる前に何かしらの問題を抱える主人公」

「鬼の姿となる(事件)」

「無惨の助けを得て成長(前半)」

「無惨に見捨てられる(後半)」

「破滅の中、炭治郎が契機となる

「炭治郎にその想いを託しながら消滅していく」

「第11フェイズ(対決)以降は描かれない」

と言う構成になっています

 

 「鬼滅の刃」の物語は炭治郎がその強さと優しさによって、多くの鬼達(累・お堂の鬼・手鬼・朱紗丸・響凱など)の想い(お話)を引き継ぎ、無惨との最終決戦に挑んでいくストーリー構成になっているのだと分析します

 その為、鬼たちの対決フェイズ以降のお話は描かれていないのでしょう


今回はここまで

 

 次回は鬼滅の刃第6フェイズ【成長】について解説します

※蝶屋敷での修行から無限列車編まで

 

 いよいよ無限列車編に到達しました

 無限列車編は3つの「13フェイズの物語」が重なり合う複雑な構成となっています

 鬼滅の刃物語構成の真骨頂を2回に分けて解説していきますので、お楽しみに!

 

 まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います

 疑問点などありましたら是非教えてください

 

この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います

みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!

 

【この記事の続きはこちら】

gunber.hatenablog.com

【13フェイズについて詳しく知りたい方へ】
gunber.hatenablog.com

鬼滅の刃の関連記事はこちらからどうぞ】

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