鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
「鬼滅の刃」の13フェイズ分析、第5回目
この連載もそろそろ大詰め、いよいよ無限列車編へ突入です
今回、解説を行うのは第6フェイズ【成長】
このお話は炭治郎と善逸・伊之助の3人が主人公のお話となっています
3人のお話がどう絡んで進んでいくのか、順番に見ていきましょう
今回のお話構成にはちょっと面白い仕掛けもありますので楽しみにしてください
※TVアニメと今回の映画「無限列車編」までのネタバレがありますのでご注意ください
【第1回目がまだの方はこちらでどうぞ】
今回はこの中の第6フェイズ【成長】をピックアップして詳しく見ていきます
「蝶屋敷での修行」から「無限列車編」までのお話が第6フェイズ
この第6フェイズはフェイズ自体が13に分かれた13フェイズ構成となっています
第6フエィズ【成長】のお話構成
13フェイズのお話は「主人公が抱える問題点」を「成長」によって解決していく流れでできています
このフェイズの主人公は竈門 炭治郎(かまど たんじろう)、我妻善逸(あがつま ぜんいつ)、嘴平伊之助(はしびら いのすけ)の3人
【竈門 炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助】
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
今回のお話は炭治郎一人ではなく、善逸と伊之助を加えた3人が主人公として描かれています
第6フェイズの始まりでの主人公(3人)の抱える問題点は「全集中・常中の呼吸ができていない事」
炭治郎達3人はこれまでのフェイズで「鬼」と闘う為にはまだ何かが足りない事を実感してきました
その何かが「全集中・常中の呼吸」
これが第6フェイズ始めの3人が抱える問題点
第6フェイズ【成長】では「3人が鬼と闘う為に必要な力(全集中・常中の呼吸)を修行によって身につける事で成長する様子」が描かれます
物語で定番の「特訓による成長パート」がこのフェイズとなります
13フェイズ構成のお話では「前半何かの助け」で成長する主人公が、後半は「その助けなし」で成長する構成となっています
今回、主人公の3人を助けるのは
炭治郎には、なほちゃん・すみちゃん・きよちゃんの3人
善逸と伊之助には、胡蝶 しのぶとなります
【なほちゃん・すみちゃん・きよちゃん】
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
【胡蝶 しのぶ】
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
ではフェイズ毎に詳しく見ていきましょう
物語の前半(第1フェイズ~第7フェイズ)
第1フェイズ【日常】
「鬼殺隊として鬼と闘う炭治郎・善逸・伊之助」
3人の抱える問題は『全集中・常中の呼吸が使えない事』
第2フェイズ【事件】
「蝶屋敷で機能回復訓練が行われる」
しのぶ:「ではそろそろ機能回復訓練に入りましょうか」
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第3フェイズ【決意】
「3人がそれぞれの決意を表す」
善逸:「女の子に触れるんだぞー 身体揉んでもらえて 湯飲みで遊んでる時は手を 鬼ごっこの時は体触れるだろうがアア!」
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
伊之助:「俺もやるぜー!」
第4フェイズ【苦境】
「しかしどうしても栗花落 カナヲ(つゆり かなを)には勝てない ボロボロに負けてヘコむ3人」
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第5フェイズ【助け】(炭治郎)
「なほちゃん・すみちゃん・きよちゃんの3人による助け」
なほちゃん・すみちゃん・きよちゃん:「あの…炭治郎さんは全集中の呼吸を四六時中やっておられますか?」
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第6フェイズ【成長】(炭治郎)
「全集中の呼吸を一日中使える様に厳しい訓練を行う炭治郎」
炭治郎:「頑張ることしかできないんだから 俺は昔から…努力は日々の積み重ねだ 少しずつでいい 前に進め!」
鬼滅の刃 第24話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
鬼滅の刃 第25話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
地道な努力を続ける事で確実に成長していく炭治郎
その姿を見て焦る善逸と伊之助の2人
※第3フェイズ【決意】(善逸・伊之助)
このシーンが善逸と伊之助にとっての「真の決意フェイズ」先に描かれたおちゃらけた決意(女の子に触れるんだぞー!)は作者の仕掛けた罠、”フェイク”の決意シーンとなります
善逸:「…やばい…」
鬼滅の刃 第25話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
伊之助:「行くぞ、善逸!」
鬼滅の刃 第25話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎の頑張りを見せ付けられた善逸と伊之助は訓練に挑む決意を新たにします
※第5フェイズ【助け】(善逸・伊之助)
「しのぶの助け」
しのぶ:「炭治郎君が会得しようとしているのは全集中・常中と言う技です」
鬼滅の刃 第25話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
※第6フェイズ【成長】(善逸・伊之助)
鬼滅の刃 第25話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第7フェイズ【転換】
「全集中・常中の呼吸を使える様になり、蝶屋敷にお別れを告げる3人」
鬼滅の刃 第25話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
なほちゃん・すみちゃん・きよちゃん:「がんばれ がんばれ がんばれ!
やったーっ!!」
鬼滅の刃 第26話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎:「じゃあ みんな 行ってきます!」
鬼滅の刃 第26話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎と善逸、伊之助の3人がしのぶを中心とする蝶屋敷のみんなの助けによって成長していく姿が描かれる、ここまでが物語の前半部分
しかし後半の第8フェイズから3人は蝶屋敷を旅立ち、助け無しで本当の試練へ挑み、成長していくお話となります
物語の後半(第8フェイズ~第13フェイズ)
第8フェイズ【試練】
「無限列車編、魘夢との闘い」
ここからが物語の後半、無限列車編
修行の成果を示す為に3人は魘夢との闘いに挑みます
※魘夢との闘いは今回とは「別のお話」が重なっています、炭治郎の夢のシーンなどは次回詳しく解説を行います
マンガ鬼滅の刃 第7巻より ©吾峠呼世晴 2017,2017
第9フェイズ【破滅】
「乗客200人を人質に取られ絶対絶命」
しかし魘夢に人質を取られ、窮地に立たされます
マンガ鬼滅の刃 第7巻より ©吾峠呼世晴 2017,2017
第10フェイズ【契機】
「3人(+禰豆子+煉獄 杏寿郎)が力を合わせる事で契機を掴む」
追い詰められた炭治郎はある事に気が付きます
それは仲間たちの存在
マンガ鬼滅の刃 第7巻より ©吾峠呼世晴 2017,2017
炭治郎は仲間たちと力を合わせ魘夢の策略に対抗しようと気付きます
第11フェイズ【対決】
「魘夢との最終決戦」
無限列車の中にいる鬼殺隊を総動員した魘夢との対決、炭治郎と伊之助は魘夢の弱点に迫りまります
マンガ鬼滅の刃 第7巻より ©吾峠呼世晴 2017,2017
第12フェイズ【排除】
「魘夢との闘いに勝利」
息詰まる闘い、ついに魘夢の頚を落とす事に成功
マンガ鬼滅の刃 第8巻より ©吾峠呼世晴 2017,2017
第13フェイズ【満足】
「全集中・常中の呼吸を実践で使いこなす事ができた3人は修行による成長を煉獄 杏寿郎に認められる」
魘夢を倒し乗客を守る事ができた3人は修行の成果を杏寿郎に認められます
※こちらのシーンは「杏寿郎の死」と言う悲しい場面もありますが、こちら(猗窩座との対決)も今回とは「別のお話」となりますので、次回に詳しく解説します
マンガ鬼滅の刃 第8巻より ©吾峠呼世晴 2017,2017
こうして炭治郎達は全集中・常中の呼吸を会得
それは半人前で助けられてばかりいた3人が、一人前の鬼殺隊として独り立ちできる最低限のスタートラインに立った事を表します
ここまでのお話が、丸ごと「鬼滅の刃」本編での第6フェイズ【成長】を構成しています
おまけ
今回のお話構成でお気に入りなのは【決意】フェイズ
最初は善逸が女の子とウフフする事を求めて訓練への参加を【決意】すると言う何とも言えない軽さで???と言う思いが拭えませんでした
しかしそれは作者のミスリード、本当の【決意】フェイズは「炭治郎の頑張りを見て2人が訓練に参加する決意を固める」と言う構成
見ていて「こちらが本命かー!!」と言うやられた感が半端なかったです
読者の想像を予想し、その一歩先を計算した物語構成が鬼滅の刃の大きな魅力の一つだと思いました
おまけ2
今回の解説を書いていて疑問点が湧きました
それは物語後半の「魘夢との闘い」
この闘いで炭治郎達3人は炎柱である煉獄 杏寿郎の助けを得て闘っています
13フェイズの物語では「前半は助け有り」、「後半は助け無し」で主人公が成長していく流れとなっています
物語後半で助けを得ている構成に疑問を感じます
この疑問を解消する為には「助け」を更に細かく分類して考える事が必要となります
「助け」には2種類の形があります
1つ目は「前に進もうとする主人公を後押し助けるもの」
2つ目は「主人公の手を取り前に導くもの」
13フェイズ前半での「助け」は2つ目の「主人公の手を取り前に導く」助けを表しており、1つ目の「前に進もうとする主人公を後押し助けるもの」とは全く別ものなのです
魘夢との闘いで炭治郎は「乗客を守り、魘夢を倒す」と言う目的に向かって、柱である杏寿郎を含む仲間たちに協力を呼びかけます
そんな炭治郎を助ける仲間たち
これは1つ目の助け「前に進もうとする主人公を後押し助けるもの」
2種類の「助け」は13フェイズ構成の物語を作る時には使い分けが必要となるので注意してください
※物語前半でまだ半人前の主人公に対して「前に進もうとする主人公を後押し助けるもの」を使うと説得力がない嘘っぽいお話となってしまいますし、逆に後半で一人前に成長した主人公に対して「主人公の手を取り前に導く助け」があると前半の成長シーンが台無しとなってしまいます
今回はここまで
次回はこの連載の最終回
「無限列車編」を解説します
今回は軽く流しましたが、無限列車編は3つの13フェイズのお話が重ね合わせられた複雑な構成となっています
次回はその「無限列車編」を更に詳しく分析していきますので、お楽しみにしていてください
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【この記事の続きはこちら】
【13フェイズについて詳しく知りたい方へ】
gunber.hatenablog.com
【鬼滅の刃の関連記事はこちらからどうぞ】
【13フェイズ理論については沼田やすひろ先生の本で勉強させていただきました】
超簡単!売れるストーリー&キャラクターの作り方 [ 沼田やすひろ ] 価格:1,944円 |