鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
こんにちは
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がんべあです
「鬼滅の刃」の13フェイズ分析、第3回目
※TVアニメと今回の映画「無限列車編」までのネタバレがありますのでご注意ください
前回は「鬼滅の刃」のお話の中の第2フェイズ【事件】について詳しく解説を行いました
今回は引き続き第3フェイズ【決意】のお話をピックアップして詳しく見ていきたいと思います
【第1回目がまだの方はこちらでどうぞ】
上の表の中で「鱗滝の元での修行」から「最終選別合格」までのお話が第3フェイズ
今回のお話までが第一幕、主人公が「事件に飛び込む決意」を示し物語は第二幕へと進む構成となっています
この第3フェイズはフェイズ自体が13に分かれた13フェイズ構成となっていますが、鬼滅の刃ならではのちょっと変わった構成となっているのがとても面白いのです
では詳しく分析してみましょう
【第1回目がまだの方はこちらでどうぞ】
第3フエィズ【決意】のお話構成
13フェイズのお話は「主人公が抱える問題点」を「成長」によって解決していく流れでできています
鬼滅の刃の主人公は竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
【竈門 炭治郎】
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第3フェイズの始まりでの主人公炭治郎の抱える問題点は「過酷な現実に向かい合う為の力(手段)が無い事」
炭治郎は前回の第2フェイズで「鬼」と言う強大で残酷な力の存在を受け入れる事ができました
しかし、その現実に立ち向かう為に何をすればよいのか、その「手段」が分かりません
これが第3フェイズ始めの炭治郎が抱える問題点
第3フェイズ【決意】では「炭治郎が過酷な現実に向かい合う為の力(手段)を身につける」までの様子が丁寧に描かれます
そして物語の中で炭治郎は成長をする事で、抱えていた問題を解決し、これから始まる長い闘いの中に身を投じる決意を固めると言うお話の構成となっています
赤色の部分、第9・10フェイズがちょっと特殊な構成となっています
13フェイズ構成のお話では「前半何かの助け」で成長する主人公が、後半は「その助けなし」で成長する構成となっています
今回、炭治郎を助けるのは、かつての鱗滝の弟子である錆兎と真菰
【錆兎(さびと)】
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
【真菰(まこも)】
鬼滅の刃 第4話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
フェイズ毎に詳しく見ていきます
物語の前半(第1フェイズ~第7フェイズ)
第1フェイズ【日常】
「鱗滝の元に弟子入りする炭治郎」
炭治郎のかかえる問題点は『過酷な現実に向かい合う為の力(手段)が無い事』
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第2フェイズ【事件】
「最終選別試験の存在を知る」
鱗滝:「鬼殺隊に入るためには 富士重山で行われる最終選別で生き残らなければならない 最終選別を受けていいかどうかはワシが決める」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第3フェイズ【決意】
「日記を付け出す炭治郎 最終選別に挑戦し、鬼殺隊へと入る決意」
炭治郎:「禰豆子に向けて今日から日記を付けることにした 俺は今日も山を下るよ 最終選別で死なない為に鍛え抜く」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第4フェイズ【苦境】
「鱗滝の元で教えを請い、修行に励む炭治郎 しかし最終選別に挑む為の条件である巨大な岩を切る事ができない」
鱗滝:「この岩を切れたら 最終選別へ行く事を許可する」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎:「ただ 半年たっても岩は切れなかった…」
炭治郎:「俺ダメなのかな…禰豆子はあのまま死ぬのか ああ~っ、挫けそう…負けそう 頑張れ俺 頑張れー!!」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第5フェイズ【助け】
「真菰・錆兎の助け」
錆兎:「うるさいっ!」
炭治郎:「…はっ!?」
錆兎:「男が喚くな 見苦しい」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第6フェイズ【成長】
「真菰・錆兎から教えを受け全集中の呼吸を会得」
錆兎:「お前は知識としてそれを覚えただけだ お前の身体は何も分かってない」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎:「すごい一撃だった 無駄な動きが少しもない 本当に綺麗だった あんな風になりたい 俺も! 成れるかな? あんな風に!」
真菰:「きっと成れるよ 私が見てあげるもの」
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第7フェイズ【転換】
「最終選別へ挑む為の条件、大きな岩を割ることができる」
錆兎:「半年でやっと男の顔になったな」
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎:(気付くと錆兎は消えていて 錆兎の面を切ったはずの俺の刀は 岩を切っていた…)
鬼滅の刃 第3話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
一人ではくじけそうな炭治郎が錆兎と真菰の助けによって成長していく姿が描かれる、ここまでが物語の前半部分
しかし後半の第8フェイズからは前半助けてくれた真菰・錆兎がいなくなり、助け無しで炭治郎が一人で最終選別へ挑み、成長していくお話となります
物語の後半(第8フェイズ~第13フェイズ)
第8フェイズ【試練】
「鱗滝の元を離れ、一人最終試験に挑む炭治郎の前に強力な鬼、手鬼が表れる」
修行の成果で鬼と闘う力を付けた炭治郎の前に巨大な鬼、手鬼が現れます
他の鬼とは 段違いの力を持つ手鬼に炭治郎は苦戦します
鬼滅の刃 第4話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第9フェイズ【破滅】
ここで衝撃の展開となります
なんと主人公が炭治郎から真菰・錆兎にバトンタッチします
この展開には本当にビックリしてしまいました
バトンタッチした主人公、真菰と錆兎、しかし二人に決定的な破滅が訪れます
二人は共に手鬼によって殺されてしまうのです
手鬼:「俺が食った鱗滝の弟子の数だよ あいつの弟子はみんな殺してやるって決めているんだ」
手鬼:「そうだな 特に印象に残っているのは二人だな あの二人 珍しい毛色のガキだったなぁ 一番強かった 宍色の髪をしていた 口に傷がある」
手鬼:「もう一人は花柄の着物で女のガキだった 小さいし力も無かったが すばしっこかった」
鬼滅の刃 第4話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
主人公(真菰・錆兎)に決定的な破滅が訪れる、これが第9フェイズ【破滅】
そして第10フェイズ【契機】ではその破滅を乗り越える為の契機が訪れます
第10フェイズ【契機】
「死は終わりではない、その想いは後へ続くもの(炭治郎)へと引き継がれる」
真菰:「やっぱり炭治郎も負けるのかな? あいつの頚 硬いんだよね…」
錆兎:「負けるかもしれないし 勝つかもしれない ただそこには一つの事実があるのみ
炭治郎は誰よりも硬く大きな岩を斬った男だということ」
鬼滅の刃 第4話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
人は例えその身体が死んでしまっても、その想いと行動は後に続く人へと受け継がれていきます
これは鬼滅の刃に流れる大きなテーマ
真菰・錆兎はその身体は滅んでも精神だけは鱗滝の元に留まり、後に続くもの(炭治郎)に想いを繋げていくのです
「絶対的な破滅から一筋の希望を見出す」これが13フェイズ構成における契機フェイズとなります
第11フェイズ【対決】
「手鬼との対決」
ここから主人公は再び炭治郎にバトンタッチ
手鬼との最終対決へと物語は進みます
手鬼:「間合いに入られた 大丈夫だぁ 俺の頚は硬い こいつは斬れない」
鬼滅の刃 第4話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第12フェイズ【排除】
「手鬼との勝負に勝利する炭治郎」
炭治郎:「壱の型 水面斬り!」
手鬼:「!!!!」
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第13フェイズ【満足】
「手鬼に勝利し最終選別に合格 真菰・錆兎に声をかける炭治郎」
炭治郎:「錆兎 真菰 そして殺された他の子供達 勝ったよ もう安心していいよ きっと約束通り帰るんだろう 魂だけになろうと 狭霧山へ 大好きな鱗滝さんの所へ…」
鬼滅の刃 第5話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
こうして炭治郎は残酷な現実に向かい合う(鬼と戦う為)の手段(力)を身に着け、これから始まる長い闘いの中に身を投じる決意を固めると言う物語
ここまでが第3フェイズ【決意】のお話となっています
次回に解説する第4フェイズ【苦境】・第5フェイズ【助け】では炭治郎が闘いの中、苦境に陥り、柱によって助けられる姿が描かれます
これらのフェイズの中では「炭治郎に対しての13フェイズの重ねがけ」はありませんが、敵方の鬼に対して13フェイズでの物語が個別に語られていく構成となっています
次回は第4フェイズ【決意】のお話を詳しく分析していきますので楽しみにしてください
おまけ
今回のお話を分析していて第9フェイズ【破滅】と第10フェイズ【契機】の所には3日間くらい悩まされました
主人公の炭治郎が決定的な破滅に陥るシーンがとても弱いと思ったからです
炭治郎は手鬼との闘いの中、気絶をして、その後夢の中で弟の声によって気を取り戻す場面があります
しかし一瞬の出来事でその前後の盛り上がりに欠けています
話の順番的にはここをこのお話の第9フェイズ【破滅】と第10フェイズ【契機】と考えても良いのですが、物語の肝とも言える重要な【破滅】からの【契機】としては非常に物足りない感じが拭えなかったからです
鬼滅の刃 第4話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
しかし真菰・錆兎がこのフェイズでの主人公なのだと言う事が理解できた時に物語が繋がり感動しました
この場面では炭治郎と真菰・錆兎はその想いを繋ぐ事によって物語の上で「同一人物」となっている構成なのだと考察します
「人は死んだら終わりではなく、次の人に想いを繋げる事ができる、それが人なのだ」と言う作者のメッセージがあってこその物語構成となっているのだと私は思います
先程書いた炭治郎の弟が登場する場面は、鬼になる前の手鬼とお兄さんとのエピソードの前振りでしょう
手鬼(鬼になる前、子供時代):「にいちゃーん 兄ちゃん 兄ちゃん 手握ってくれよぉ」
兄:「しょうがねえなぁ いつまでも怖がりで」
鬼滅の刃 第5話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎:「悲しい匂い…神様 どうか この人が今度生まれてくる時は 鬼になんて 成りませんように…」
鬼滅の刃 第5話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
最終選別の話は炭治郎のお話であると共に、手鬼が兄弟の絆を取り戻すお話でもあるのです
このブログでは「断定形」の形で文章を書いていますが、あくまで私の個人的な分析となります
決して「このお話はこう理解しないといけない」とか「作者はこう考えて物語を作っている」と断定するものではありません
「私はこう感じている」と言う想いを述べているので、その点はご理解、ご了承ください
今回はここまで
次回は鬼滅の刃の第4フェイズ【困難】と第5フェイズ【助け】について解説します
※鬼舞辻無惨との邂逅から鼓屋敷・那田蜘蛛山の闘いまで
洗練され無駄のない物語構成、調べれば調べるほど鬼滅の刃の物語構成の素晴らしさに感動しながらブログを書いています
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【「鬼滅の刃」13フェイズで分析する 続きはこちら】
【13フェイズについて詳しく知りたい方へ】
gunber.hatenablog.com
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