新世紀エヴァンゲリオン第1話より ©カラー/Project Eva.
こんにちは
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がんべあです。
今回は新世紀エヴァンゲリオン(TV版)の「人間関係」と「ストーリー」をエニアグラムで分析します。
現在(2021年)シン・エヴァンゲリオン劇場版:||が公開されています。
実にTVシリーズから25年かけてシンジ君のお話が完結する事になりました。
今回はTV版のエヴァの人物関係とストーリーの流れを振り返り、何故TVでエヴァのお話は完結しなかったのかを分析します。
(映画版の分析は今回はありません)
※ネタバレありです、ご注意を
【エニアグラムを知らない方はこちらで】
人気作品の黄金パターン!
万人に受け入れられる人気作品には人物関係とストーリーの両方に一定のパターンがあります。
その「黄金パターン」に沿って新世紀エヴァンゲリオンの人物関係とお話の流れを見ていきましょう。
※「黄金パターン」についての過去記事(今回の記事を読む前に確認しなくても大丈夫ですが、今回のブログを読んだ後に目を通すと更に理解が進むと思います♪)
【ジャンプアニメ人間関係の法則① 人気作品の黄金パターンをエニアグラム分析】
物語の黄金パターンは以下の通りとなります。
★物語の黄金パターン:「人物関係」①
タイプ9が主人公
タイプ3が主人公を導く者
タイプ6が親友・ヒロイン
★物語の黄金パターン:ストーリーの流れ①
①「狭い世界」で「マイペースの暮らしをしていたタイプ9の主人公」が
②「目的意識と実行力の高いタイプ3の師匠」に導かれ現実の世界で成長を行い
③「人の輪を大切にするタイプ6のヒロイン(親友)」と理解し合うことで、共に「広い世界」の中で生きていく
★物語の黄金パターン:「人物関係」②。
タイプ5:主人公(裏の性格含めて)
タイプ7:主人公に引っ張られて共に成長する人
(又は主人公の憧れ)
タイプ8:主人公を引っ張りながら共に成長する人
★物語の黄金パターン:ストーリーの流れ②。
「主人公」と「主人公の裏の性格のキャラクター」が戦いながらお互いを認め合う事で手を取り合い、共通の目的を達成しようとする事で成長していく物語。
★物語の黄金パターン:「テーゼとアンチテーゼ」
「本能」の赴くままに平和を求める主人公(テーゼ)に対し、主人公の裏の性格のキャラクター(アンチテーゼ)は「理性(思考)」によって平和を実現しようと試みます。
しかし2人のアプローチは相反する物でこのままではお互いに上手く歩み寄る事はできません。
そんな膠着状態に「感情」と言うアプローチを加え、本能・思考・感情の3つを総合(ジンテーゼ)する事で初めて問題を解決する道が開かれる。
ではこのパターンを踏まえて、エヴァンゲリオンのキャラクターとストーリーを詳しく見ていきましょう。
主人公(タイプ9w1)
【碇シンジ(いかり シンジ)】
新世紀エヴァンゲリオン第1話「使徒、襲来」より ©カラー/Project Eva.
碇 シンジ(9w1)は基本的に平和を愛する(タイプ9)おっとりタイプ、それに加えて生真面目で融通が利かない(タイプ1)性格。
主人公(シンジ)は現実から逃避して「夢の中で平和を築いて」います。
これがテーゼ。
ミサト:「ダメよ逃げちゃ お父さんから 何よりも自分から…」
シンジ:「分かってるよ! でも…できる訳ないよぉ!!!」
新世紀エヴァンゲリオン第1話「使徒、襲来」より ©カラー/Project Eva.
現実から逃げている主人公の前にヒロインが登場します。
この事によって主人公に「厳しい現実に向かい合う必要性」が発生します。
ヒロイン(タイプ6)
【綾波レイ(あやなみ レイ)】
新世紀エヴァンゲリオン第1話「使徒、襲来」より ©カラー/Project Eva.
ヒロイン(タイプ6)はエニアグラムで主人公(タイプ9)の憧れ、成長の終着地点。
新世紀エヴァンゲリオン第1話「使徒、襲来」より ©カラー/Project Eva.
苦しむヒロイン・綾波レイを目の前にして主人公の心の中に葛藤が生まれます。
シンジ:「逃げちゃダメだ 逃げちゃダメだ 逃げちゃダメだ…」
新世紀エヴァンゲリオン第1話「使徒、襲来」より ©カラー/Project Eva.
主人公は「夢」の中ではなく「現実」の世界での平和を築く必要に迫られます。
シンジ:「やります 僕がやります!」
新世紀エヴァンゲリオン第1話「使徒、襲来」より ©カラー/Project Eva.
そして「現実の中で平和を築く」為に変化をした主人公の象徴が主人公の裏の性格のキャラクター(タイプ5)。
これがアンチテーゼとなります。
主人公の裏の性格に対応するキャラクター
【碇 ゲンドウ(いかり ゲンドウ)】(タイプ5)
新世紀エヴァンゲリオン第2話「見知らぬ、天井」より ©カラー/Project Eva.
【渚 カヲル(なぎさ カヲル)】(タイプ5)
新世紀エヴァンゲリオン第24話「最後のシ者」より ©カラー/Project Eva.
主人公(タイプ9w1)と主人公の裏キャラクター(タイプ5w4)は「どちらも現実とは異なる世界を見て正しさを追い求める」性格。
しかしそのアプローチは異なります。
主人公(タイプ9w1:夢見る人)は「空想(夢)の中で平和を創り出そう」、主人公の裏キャラクター(タイプ5w4:偶像破壊者)は「現実の中で平和を作ろう(その為には今の狂った世界を一度壊す必要がある)」とする性格。
理想(テーゼ)と現実(アンチテーゼ)との間でもがき苦しむ主人公。
現実の世界に飛び出す決心をした主人公ですが、相反するテーゼとアンチテーゼに挟まれ、どうやって前に進んで良いのか解りません。
先の見えない膠着状態の中、主人公を導くキャラクターが登場します。
テーゼとアンチテーゼの間で葛藤する主人公を導くのがタイプ3(達成者)「主人公を導く者」
主人公を導く者(タイプ3)
【惣流・アスカ・ラングレー(そうりゅう・アスカ・ラングレー】
新世紀エヴァンゲリオン第8話「アスカ来日」より ©カラー/Project Eva.
シンジはアスカと心を重ねる事で、自分の進むべき道を徐々に見出していきます。
新世紀エヴァンゲリオン第9話「瞬間、心、重ねて」より ©カラー/Project Eva.
タイプ9(主人公)・タイプ5(主人公の裏の性格)・タイプ3(主人公を導く者)の3人はそれぞれ本能・理性・感情によって動いています。
「本能」の赴くままに平和を求める主人公に対し、主人公の裏の性格のキャラクターは「理性(思考)」によって平和を実現しようと試みます。
しかし2人のアプローチは相反する物でこのままではお互いに上手く歩み寄る事はできません。
そんな膠着状態に「感情」と言うアプローチを加え、本能・思考・感情の3つを総合(ジンテーゼ)する事で初めて問題を解決する道が開かれる。
新世紀エヴァンゲリオン第9話「瞬間、心、重ねて」より ©カラー/Project Eva.
タイプ9(調停者・本能タイプ)にとってタイプ6(堅実家・思考タイプ)は成長の最終段階、そのまま進むには無理があります。
タイプ9はまずタイプ3(達成者・感情タイプ)と理解し合う事で第一段階の成長を行い、その上でタイプ6と理解し合う第二段階の成長を行う。
本能・感情・思考の3つを統合する事で人は健全な状態へと導かれる。
これがヒット作品の黄金パターンとして共通するお話の流れ。
エヴァンゲリオンはここ(アスカと心を重ねて成長していく展開)までは物語の黄金パターンに則った人物関係とストーリー展開でした。
しかしこの後、最終回に向けて物語の黄金パターンを大きく逸脱していく展開となります。
新世紀エヴァンゲリオンTV版の最終回
新世紀エヴァンゲリオンでは一時期繋がりかけたシンジとアスカの心は物語中盤から離れ離れとなり、アスカは廃人同様の姿となってしまいます。
アスカ:「汚された 私の心が…」
新世紀エヴァンゲリオン第22話「せめて、人間らしく」より ©カラー/Project Eva.
新世紀エヴァンゲリオン第24話「最後のシ者」より ©カラー/Project Eva.
シンジと一緒に成長をしていく鈴原トウジ(すずはら トウジ)[タイプ8]と相田ケンスケ(あいだ ケンスケ)[タイプ7]
新世紀エヴァンゲリオン第4話「雨、逃げ出した後」より ©カラー/Project Eva.
この2人とシンジの成長は4話「雨、逃げ出した後」で描かれています。
トウジ:「碇の事、ごちゃごちゃ抜かす奴がおってみい、ワシがパチキかましたる!」
新世紀エヴァンゲリオン第4話「雨、逃げ出した後」より ©カラー/Project Eva.
エヴァの搭乗を拒否して逃げ出そうとするシンジは2人の心意気に心を動かされ、再びエヴァに乗る決心をします。
しかし物語の黄金パターンに沿っているのはここまで
その後、トウジとケンスケの成長はTVでは描かれません。
タイプ7(楽天家):主人公に引っ張られて共に成長する人
ケンスケ:「はーあ、やる気なら俺が一番なんだし 予備でもいいから使ってくれりゃあいいのに…」
新世紀エヴァンゲリオン第18話「命の選択を」より ©カラー/Project Eva.
タイプ8(統率者):主人公を引っ張りながら共に成長する人
シンジ:「トウジ…」
新世紀エヴァンゲリオン第18話「命の選択を」より ©カラー/Project Eva.
共に成長すべき仲間達は倒れ、次々と物語の舞台から去っていきます。
TVシリーズではシンジは最後まで第一段階の成長(現実の世界での成長)ができません。
新世紀エヴァンゲリオンのTV版の最終回は主人公のシンジがみんなからの拍手を受けてエンディングを迎えます。
碇 ゲンドウ・ユイ:「おめでとう」
新世紀エヴァンゲリオン最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」より ©カラー/Project Eva.
しかしこのエンディングは物語の黄金パターンからは外れたストーリー。
シンジが最後にたどり着いたのは「自分(現実)のことが好きになれるかもしれない」と言う一筋の可能性を掴む所まで。
碇 シンジ:「そうだエヴァのパイロットではないぼくもあり得るんだ」
葛城 ミサト:「そう思えばこの現実世界も決して悪いものではないわ」
新世紀エヴァンゲリオン最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」より ©カラー/Project Eva.
碇 シンジ:「ぼくはぼくが嫌いだ…でも好きになれるかもしれない」
新世紀エヴァンゲリオン最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」より ©カラー/Project Eva.
どうしてTV版ではこのような終わり方になってしまったのでしょうか?
それは庵野監督のこだわりからだと分析します。
エヴァンゲリオンはアニメの中のお話なので、物語の黄金パターンに沿って、シンジはアスカと心を合わせる事で成長し、最後はレイと心を通わせる結末にする事は充分できたと思います。
しかし自分自身の実感が伴わない単なる予定調和の「お話」を描く事が庵野監督は許せませんでした。
TV版のもやもやしたラストから25年後、碇 シンジの物語は「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」(2021年公開)でようやく完結します。
映画のラストでシンジは自身の空想の世界から卒業し、現実の世界へと飛び出す決心ができます。
これこそが「物語の黄金パターン」
TVシリーズ制作の時にどうしても予定調和のお話を作る事ができなかった庵野監督は25年かけて、自身を成長させる事で嘘の物語ではなく、自分自身の真実として「物語の黄金パターン」のストーリーを描く事ができたのです。
ではどうしてTVシリーズの時に描けなかった「物語の黄金パターン」を今回の映画で描く事ができたのでしょうか?
シンジが現実の世界に進む決心ができたのは劇場版で登場する新キャラクター真希波・マリ・イラストリアスのおかげですが、それはまた次の機会で分析・解説を行いたいと思います。
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
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「表と裏の性格」については”スバルのブログ”を参考にさせてもらっています。
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