こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
今回はアニメ「風立ちぬ」のキャラクターをエニアグラム分析します
それまでのファンタジー的な作品と異なり、現実である「太平洋戦争中の日本」を舞台とした物語となっています
彼は自分が創っている兵器が人殺しの為に使われる事を知りながら、その事実に眼をそらしています
そんな二郎が物語の中でどうなっていったのか、そしてどうすれば良かったのかをエニアグラム的な視点で観ていきたいと思います
【「エニアグラム」を知らない方はまずはこちらの記事をどうぞ】
風立ちぬに登場するキャラクター達
タイプ9の「主人公・堀越二郎」が憧れるのがタイプ6の「ヒロイン・里見菜穂子」、「二郎のライバルであり親友・本庄」がタイプ3と言う関係になっています
タイプ9 こだわり=【平和・安らぎ・マイペース】
「寛容な人」「怠惰な人」
タイプ6 こだわり=【ルール・堅実・責任感】
「絆の人」「心配性の人」
タイプ3 こだわり=【名誉・目標の達成・ステイタス】
「進取の人」「見栄っ張りな人」
タイプ3-6-9の人物関係は多くの宮崎監督作品で使われていて、「宮崎監督作品の基本人物構成」とも言ってよいでしょう
主人公の闇落ち
エニアグラムでは人の「成長」と「後退(闇落ち)」について述べられています
【エニアグラムにおける成長とは】
成長とは自分や他人へのおもいやりが深まり、受容力が豊かになり、周囲に合わせて自分をコントロールでき、長所がさらに豊かになり、短所があまり目につかず、自信がついて余裕があり、人々と仲良く平和に暮らせるような状態である
(究極のエニアグラム:竜頭万里子著より)
【エニアグラムにおける後退(闇落ち)とは】
後退とは自分や他人へのおもいやりがなくなり、どんな些細なことでも受容できなくなり、周囲に合わせられず、自分をコントロールできず、長所が見えなくなり短所ばかりが目について、自信がなくて余裕もない、傷つきやすく怒りっぽい、そして衝動的にもなって、人々と争いをおこしやすい状態にある
(究極のエニアグラム:竜頭万里子著より)
そして、エニアグラムによると、人が成長する為には「憧れ」と逆方向に進む必要があります
「憧れ」方向にまっすぐ進むと「後退(闇落ち)」してしまうのです
【詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください】
風立ちぬの主人公二郎は菜穂子との絆を深め、二人の愛の力で飛行機は完成します
しかし、それは二郎の闇落ちを意味しています
「自分の行っている事が世界に与える影響から眼をそらし、純粋に自分の欲望・理想のために突き進む」
この状態は宮崎監督の作品に登場するムスカ・レプカ・カリオストロ公爵等の悪役と瓜二つ
二郎の物語がとても美しく描かれているので、観ている我々は騙されそうになりますが、実は二郎は闇落ちしています
タイプ9の二郎にとって「憧れ方向」のタイプ6菜穂子との関係を深めるのは、そのまま闇落ち方向となるのです
(下図参照)
安定と不安定
タイプ6と9のコンビがいた場合、6のキャラクターの精神は「安定」しますが、9の精神は「不安定」となります
具体的に観てみましょう
【タイプ6-9キャラクターの組み合わせ】
6:ナウシカ(安定)ー9:ユパ(不安定)
6:フィオ(安定)ー9:ポルコ(不安定)
6:サン(安定)ー9:アシタカ(不安定)
6:千尋(安定)ー9:ハク(不安定)
宮崎作品以外では
6:アムロ(安定)ー9:ララァ(不安定)【機動戦士ガンダム】
6:高嶺ツボミ(安定)ー9:影山茂夫(不安定)【モブサイコ100】
6:戦場ヶ原 ひたぎ(安定)ー9:阿良々木 暦(不安定)【物語シリーズ】
6:綾波レイ(安定)ー9:碇シンジ(不安定)【エンヴァンゲリオン】
こうしてキャラクターを当てはめると、二人の絆が深まれば深まるほど、タイプ6側のキャクター(ナウシカ・フィオ・サン・千尋)の精神は安定していくイメージが判るかと思います
しかし、一方のタイプ9のキャラクター(ユパ・ポルコ・アシタカ・ハク)は精神的にどんどん不安定になっていきます
なぜならば、タイプ6にとってはタイプ9は「成長方向」
しかし、タイプ9にとってはタイプ6は「後退方向」となるからです
タイプ9の成長方向
ではタイプ9のキャラクターが闇落ちせずに「正常な成長」をする為にはどうすればいいのでしょうか?
一番簡単なのはタイプ3のキャラクターとの絆を深めて行く事
9:ユパ(安定)ー3:クシャナ(不安定)
9:アシタカ(安定)ー3:エボシ御前(不安定)
9:ポルコ(安定)ー3:ジーナ(不安定)
9:ハク(安定)ー3:湯婆婆(不安定)
宮崎作品以外では
9:ララァ(安定)ー3:シャア(不安定)
9:影山茂夫(安定)ー3:霊幻新隆(不安定)
9:阿良々木 暦(安定)ー3:キスショット(不安定)
9:碇シンジ(安定)ー3:アスカ・ラングレー(不安定)
タイプ9(ララァ・影山茂夫・阿良々木暦・碇シンジ)のキャラクターはタイプ3(シャア・霊幻新隆・キスショット・アスカ)のキャラクターとの絆を深めれば深めるほど精神的に安定していく事が実感できると思います
しかし一方のタイプ3は関係が深まれば深まるほど精神的に不安定となってしまうのです
上のリストで分かる通り、過去の宮崎作品ではタイプ9キャラクター(ユパ・ポルコ・アシタカ・ハク)はタイプ3キャラクター(クシャナ・ジーナ・エボシ御前・湯婆婆)と共闘はしますが、完全に心を開き「親友」となる事はありません
二郎が闇落ちしない方法
ここまで説明すると「二郎が闇落ちしない方法」は見えてきます
二郎(タイプ9)は本庄(タイプ3)との関係をもっと深めていけば闇落ちせずにすんだはずです
本庄との関係も途中まで(二郎が貧しい子供にお菓子をあげようとして本庄に「それは偽善だ」と窘められたシーン)は良かったのですが、その後関係を深めずに疎遠となり、その状態のまま闇落ち方向の菜穂子との関係を深めてしまいました
二郎が本庄と充分に関係を深め、「お互いに相手の為になら自分の命も惜しくないと言う大親友」までになってから、「菜穂子との関係」を深めて行くことができれば二郎は本庄・菜穂子の3人と共に正しい成長ルートを辿る事ができたのだと思います
スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫の書いた本にこう言う文章があります
「当初は二郎と本庄との友情物語を描こうという意図もあったりして、実際、前半はその要素も強く出ている。でも、それは途中でフェードアウトしていき、後半はがらりとトーンが変わって、菜穂子の病気と、ラブストーリーが話の中心になっていきます。」
(鈴木敏夫著「天才の思考」367ページより)
「本庄との友情を築き上げる」
宮崎監督もきちんと二郎の「成長ルート」を見つけていた様です
宮崎監督が作品内で「成長ルート」を途中でフェードアウトさせて「闇落ちルート」に変更した制作意図は分かりません
いずれにしてもこうやって「宮崎監督が作品で我々視聴者に向かって投げかけた問い」について深く考えていく事は宮崎監督が望んだ状態なのでしょう
「100人いたら100人の異なった捉え方がある」
それが作品の魅力だと思います
次回作「君たちはどう生きるのか」では果たして宮崎監督作品初めてのタイプ9と3が親友(恋人)となる話は描かれるのでしょうか?
今から楽しみにしています
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【過去の「宮崎監督作品の分析」のまとめはこちら】
【エニアグラムについてもっと知りたい方はこちら】
gunber.hatenablog.com
【参考資料】
新品価格 |
新品価格 |
中古価格 |
新品価格 |
新品価格 |