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今回の「人気作品の黄金パターン」は宮崎監督映画の中からタイプ9が主人公の作品をエニアグラム分析します。
【エニアグラムを知らない方はこちらで】
宮崎監督の作品(タイプ9が主人公)は「物語の黄金パターン」に則ったキャクター構成。
「物語の黄金パターン」は多くの人に共感される気持ち良い物語のパターンとなっています。
人気作品の黄金パターンとは
★物語の黄金パターン:「人物関係」
タイプ9が主人公
タイプ3が師匠・宿敵・パートナー(主人公を導く者)
タイプ6が親友・ヒロイン(主人公の憧れ)
※「黄金パターン」についての過去記事
【ジャンプアニメ人間関係の法則① 人気作品の黄金パターンをエニアグラム分析】
【新世紀エヴァンゲリオン(TV版)の「人間関係」をエニアグラム分析する】
しかし宮崎監督の作品は何故かハッピーエンドではなく、先が見えない苦しい終わり方。
いったいどう言う理由なのでしょうか?
不思議でたまりません。
今回はその点について詳しく分析していきます。
主人公-ヒロイン-主人公を導く者 3人の関係
宮崎監督作品の中でタイプ9が主人公のお話は「紅の豚」「もののけ姫」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」の4作品。
今回はこの4作品に加えて「千と千尋の神隠し」を取り上げながら解説を行います。
「主人公」-「ヒロイン」-「主人公を導く者(師匠)(宿敵)(パートナー)」
「タイプ9(調停者)」-「タイプ6(堅実家)」-「タイプ3(成功者)」
【紅の豚】
「ポルコ」-「フィオ」-「ジーナ」
【もののけ姫】
「アシタカ」-「サン」-「エボシ御前」
【崖の上のポニョ】
「宗介」-「ポニョ」-「?」
【風立ちぬ】
「堀越 二郎」-「里見 菜穂子」-「本庄」
※【千と千尋の神隠し】
「ハク」-「千尋」-「湯婆婆」
※「千と千尋の神隠し」は千尋が主人公ですが、今回はハクが主人公と仮定して考察を進めます。
「主人公を導く者」に注目、3つのパターンに分けてそれぞれの物語の流れを確認します。
①主人公を導く者が「師匠」のパターン
【該当作品無し】
②主人公を導く者が「宿敵」のパターン
【もののけ姫】「エボシ御前」
「もののけ姫」より Ⓒ 1997 Studio Ghibli・ND
【千と千尋の神隠し】「湯婆婆」
③対等な「パートナー」のパターン
「紅の豚」より ©1992 Studio Ghibli・NN
【風立ちぬ】「本庄」
④どれでも無いパターン
【崖の上のポニョ】「?」
①:主人公を導く者が「師匠」のパターン
【該当作品無し】
いきなり核心を付きますが、宮崎監督作品が先が見えない暗い結末になるのは主人公(作品そのもの)を導く「師匠」の存在が無いためでしょう。
主人公は物語の中で師匠に導かれ成長していきます。
そしていつしか師匠に追い付き、対等なパートナーとして同じ目標(周りの仲間の平和の実現)の実現に向けて突き進む。
そして頼るべきものを失っているヒロインと心の交流を重ねる事でヒロインの新たな心の支えとなるストーリー展開が基本の流れ。
【前回ブログの解説より】
宮崎監督作品に登場する「師匠」(主人公を導く者)と言えば「風の谷のナウシカ」のユパや「千と千尋の神隠し」のハクなどが上げられます。
【風の谷のナウシカ】
「ユパ」
風の谷のナウシカ より © 1984 Studio Ghibli・H
【千と千尋の神隠し】
「ハク」
しかし彼らの性格は共にタイプ9。
「ナウシカ」や「千尋」(共にタイプ6)の師匠としては最適ですが、タイプ9(宮崎監督自身)の師匠にはなれません。
「タイプ9の主人公」には「タイプ3の師匠」が必要となります。
主人公(タイプ9)が導き手(タイプ3の師匠)の無いまま迷走している状態がそのままストーリーに現れているのだと分析します。
②:主人公を導く者が「宿敵」のパターン
【もののけ姫】
「アシタカ」-「サン」-「エボシ御前」
「もののけ姫」より Ⓒ 1997 Studio Ghibli・ND
※【千と千尋の神隠し】
「ハク」-「千尋」-「湯婆婆」
宮崎監督の(タイプ9が主人公の)作品には「師匠」がいない為、主人公の成長が描ききれていないとの解説を行いました。
では「師匠の代わりに宿敵が登場するパターン」として作品を見るとどうなのでしょうか?
師匠の代わりに宿敵が登場するパターン。
最後に宿敵を倒して終了する場合と、闘いの結果、宿敵が主人公の頼れるパートナーとなって新たな敵との闘いに発展するケースが見られます。
師匠が登場しない(形だけは登場しても影が薄い作品を含む)パターンは「師匠の元で主人公の成長をしっかりと描く」側面よりも「宿敵と戦って勝つ」と言う即物的な娯楽性が高い作品。
主人公の心の成長が深く描かれない分、主人公とヒロインとの心の関係も予定調和のお話が多く、深い葛藤を乗り越えて結ばれる所は省略されて描かれる傾向があります。
一般人の認識としての「マンガ的内容」で少年向きの作品に多く見られます。
【前回ブログの解説より】
(タイプ9が主人公の)宮崎監督作品に登場する宿敵は「エボシ御前」と「湯婆婆」
しかしこの2人は絶対的な悪としては描かれていません。
タタラ場の長:「どうかその人を殺さないでおくれ その人は俺等を人として扱ってくれたのじゃ」
「もののけ姫」より Ⓒ 1997 Studio Ghibli・ND
湯婆婆:「お止めっ! お客様に失礼だよ」
娯楽性を求める作品には「ディオ」(ジョジョの奇妙な冒険)や「鬼舞辻 無惨」(鬼滅の刃)等の「強烈な悪の宿敵」が必要。
宮崎監督は初期の作品(いずれもタイプ7が主人公)で「レプカ」(未来少年コナン)や「ムスカ」(天空の城ラピュタ)、「カリオストロ公爵」(ルパン三世カリオストロの城)等の魅力的な悪役を登場させ、爽快感のあるアニメを作ってきました。
しかし少年向けの勧善懲悪的な作品に飽きたらなかった宮崎監督は「主人公の成長を描く」作品を作ろうとします。
そのため中期以降の作品では完全な悪役としての魅力的な宿敵は登場しなくなります。
③:対等なパートナーのパターン
タイプ3の魅力的な「師匠」や「宿敵」が存在しない(タイプ9が主人公の)宮崎監督作品。
では「パートナー」としてのパターンはどうなのでしょうか?
【紅の豚】
「ポルコ」-「フィオ」-「ジーナ」
「紅の豚」より ©1992 Studio Ghibli・NN
【風立ちぬ】
「堀越 二郎」-「里見 菜穂子」-「本庄」
宮崎監督作品(タイプ9が主人公)では「紅の豚」と「風立ちぬ」に主人公のパートナーが登場します。
今回の分類ではパートナーとしていますが、実際の物語を細かく分析すると、物語の最初から主人公のパートナーとして登場するケースは少ないです。
最初は主人公と敵対する宿敵(とまでは言わなくても馬が合わない)の位置で登場し、闘いを通じてお互いに信頼できるパートナーとなるパターンが基本の物語構成。
このケース(パートナー)の場合、タイプ6のヒロインと主人公の奪い合いするシュチエーションに発展する場合が多く、俗に言う「三角関係」のお話の傾向が強くなります。
このパターンのお話では「主人公の成長」よりも「3者の関係の変化」にスポットが強く当てられる傾向があります。
先に解説した「宿敵のパターン」とは異なり、主人公とヒロインとの心の葛藤がパートナーを交えて深く描かれているのが特徴。
思春期の青年向き(青年前半?)の作品に多く見られるパターンでしょう。
【前回ブログの解説より】
「物語の黄金パターン」では価値観の異なる主人公(タイプ9:本能主体で内向き)とパートナー(タイプ3:感情主体で外向き)がぶつかり合いながらも次第にお互いの長所を認め合い絆を深めていくのが本来のストーリーとなります。
バーナビー:「なんの冗談ですか」
ワイルドタイガー:「お前が引っかかってきたんだろう」
TIGER & BUNNY第2話より ©BNP/T&B PARTNERS ©BNP/T&B MOVIE PARTNERS ©BNP/T&B2 PARTNERS
しかし宮崎監督作品では主人公とパートナーの絆は深まらず、物語が進む程2人の交流は薄くなっていきます。
ジーナ:「私がこの庭にいる時、その人が訪ねて来たら今度こそ愛そうって賭けをしてるの」
「紅の豚」より ©1992 Studio Ghibli・NN
本庄:「次郎 今回の技術導入でユンカース社にどれだけお金を払うか知ってるか? 日本中の子供に天丼とシベリアを毎日食わせてもお釣りが出る金額だ それでも俺は与えられたチャンスを無駄にしないつもりだ」
スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫の書いた本にこう言う文章があります
「当初は二郎と本庄との友情物語を描こうという意図もあったりして、実際、前半はその要素も強く出ている。でも、それは途中でフェードアウトしていき、後半はがらりとトーンが変わって、菜穂子の病気と、ラブストーリーが話の中心になっていきます。」
(鈴木敏夫著「天才の思考」367ページより)
まとめ
物語の黄金パターンの作品は「主人公を導く者」のタイプによって話の傾向が変化します。
★物語の黄金パターン
「主人公を導く者」の役割によって物語の対象年齢が変化する。
「師匠の場合」:心と体の成長を重視(大人向き)
主人公が成長しヒロインに相応しい力を身に付けていくお話。
「宿敵の場合」:爽快感重視(少年向き)
主人公が宿敵を倒しヒロインを獲得するお話。
「パートナーの場合」:人物関係重視(青年向き)
主人公の心がヒロインとパートナーの間で揺れるお話。
※「主人公を導く者」の役割(師匠・宿敵・パートナー)が変化するのと同様、お話も上の3つの要素が入り混じって展開していく形が多いです。
宮崎監督は未来少年コナンや天空の城ラピュタの様な子供向けの作品(宿敵を倒しヒロインを手に入れる爽快感)ではなく、大人の物語を作りたいと願っています。
それにはパートナー(とヒロインを交えた三角関係)との絆を描く作品か、主人公が師匠に導かれ成長する物語が必要。
しかし今回の分析で宮崎監督の今までの作品(タイプ9が主人公)では主人公とパートナー・師匠の関係が共に描かれていない事がわかりました。
この事が作品が後味の悪い終わり方になっている原因だと分析します。
黄金パターンに足りないモノ
宮崎監督作品が後味良いエンディングを迎える為には魅力あふれる「師匠」「宿敵」「パートナー」と主人公・ヒロインの熱い交流が描かれる事がポイント。
今までの宮崎作品で「黄金パターンに足りないモノ」をより深く考察していくと宮崎監督が現在制作している次回作のストーリー展開について興味深い予想が成り立ちます。
次回、後編ではこの点について考えていきます。
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
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【後編の記事はこちら】
【宮崎監督作品についての記事はこちら】
【参考資料(兼オススメ本)】
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