天気の子より ©2019「天気の子」製作委員会
こんにちは
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がんべあです
今回も「エニアグラムの裏表」について考察します
取り上げるのは「天気の子」の主人公 森嶋 帆高(もりしま ほだか)
「天気の子」は2019年劇場公開、新海 誠監督の作品
【天気の子 予報】
前作「君の名は」の大ヒット後だっただけに、その内容が気になっていましたが、観終わって大満足!
「天気の子」の中には「君の名は」公開後に「新海監督が経験し考えた事」が実に見事に表現されていると感じます
こんな事ができる新海監督の素晴らしさに改めて感動しました
さて、エニアグラムの性格には裏表があり、困難に追い詰められて「表の性格」では対処ができなくなった時に「裏の性格」が現れると言う仮説があります
その仮定を検証してみたいと思います
【エニアグラムを全く知らないと言う方はこちらの記事をどうぞ】
※ネタバレありです ご注意を!
【森嶋 帆高】(もりしま ほだか)
天気の子より ©2019「天気の子」製作委員会
森嶋 帆高の「表」と「裏」の性格
帆高:(夢を見ていた 島にいた頃の夢だ この場所から出たくて あの光に入りたくて 必死に走っていた 追いついた…と思ったとたん でもそこは行き止まりで あの光の中に行こう 僕はあの時そう決めて そしてその果てに キミがいたんだ…)
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表の帆高はタイプ4
タイプ4は現実から離れ「一人」で「夢」を追い求めようとする性格の芸術家タイプです
【タイプ4】(芸術家)の特徴
・美意識が高い、芸術家気質
・独自性を重んじる
・イメージ力があり空想にひたることが多い
・集団行動が苦手
・シャイで気が小さい
・共感能力が高く、弱者へのいたわりの気持ちが強い
・甘えん坊で寂しがりや
・建前がわからない
・気分転換や楽しむことがへた
・自意識過剰
・純粋で繊細で、傷つきやすい
・破滅的で自分を追いつめやすい
① 社会から引いており、自分の創造の世界にとどまる傾向
② できるだけシンプルで無駄を省いたライフスタイルを選択する
③ 自己表現のために、必要であればルールを破る
帆高:「記事にすれば稼げるかも」
夏美:「え、何それ?」
夏美:「キミ、だんだんケイちゃんに似てきたよ つまんない大人になりそう」
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裏の帆高はタイプ9
タイプ9は夢よりも目の前の現実を他人と交わり合いながら地道に築き上げていくタイプ
表とは真逆の性格に変化しています
【タイプ9】(調停者)の特徴
【タイプ9の特徴】
・忍耐強い
・自己主張がしにくい
・変化を好まない
・のんびり屋さん(ですが、時折すごいパワーを発揮して行動します)
・自分自身の考えを持たず、周りに流されやすい
・分析や洞察は苦手
・闘いは嫌い(ですが、追い詰められると他のタイプのどれよりも攻撃的になります)
・仲間から疎外されるのが恐怖
・不器用
・無欲
・裏表がなく誠実
・優柔不断
・無自覚な行動が多い
・忘れっぽい
①「現実的で社交的、人と仕事をするのを好む」
②「人と付き合い、楽しい時間を過ごす事を好み、その為、重要な目標に集中しにくい傾向がある」
③「感情が爆発することがあるが、突然穏やかで温和な状態に戻る」
タイプ4w5と9w8は上図の通り、エニアグラムの正反対の位置にあり、表と裏の関係にあります
森嶋 帆高の性格が変わった訳
4w5のキャラクターは特定の集団に所属せず、旅する「遊牧民」であり、旅するために自分の望みを悟って行き先を決めます
しかし、内面に潜りすぎて現実を見失いがちであり、その認識には裏人格9w8が必要となります
タイプ4のキャラクターは「夢を追いかけ、自分の内側に向けて旅をし、自分の為に個性を表現しようとします」
帆高は「自分の中にある個性を表現する何か」を「光」として認識し、それを追って東京まで出てきました
しかし東京での現実は厳しく帆高を打ちのめします
その困難に対処する為に裏人格9w8となるのです
9w8のキャラクターは周りの環境に合わせ、その状態を維持する為に闘う性格
裏人格へと変化する事で、表人格の時にはできなかった「周りとの関係」を築く事が可能となります
帆高の成長
ただ、裏の性格はあくまでサブの性格、メインの性格に比べて性能が格段に落ちてしまいます
一時的に裏の性格に支えられながらも、抜本的な対策をしていく必要があります
抜本的な対策、それは「人が成長する」事
タイプ4は次の順番で成長していきます
①:自分の内面から外の世界、現実の中に飛び出す
②:現実の世界の中で楽しみを見つける
③:現実の中で楽しみながら何かを勉強する
④:勉強する事で力を身に付ける
⑤:身に付けた力を使って周りの人を助ける
これがエニアグラムにおける帆高の成長ルート
物語の中で帆高(表:タイプ4)は上の順番に従った成長をしていきます
【第1段階の成長】
「現実の中に飛び出す」(タイプ1の良い所)
夢の中に留まらず、東京へ出て来て厳しい現実(住む所も働く所も見つけられない)を実感する
帆高:「東京って怖ぇー そろそろ節約しないとなぁ…」
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【第2段階の成長】
「現実の中での楽しみを見つける」(タイプ7の良い所)
須賀の事務所で他人と共に働く楽しさを見つける
【須賀 圭介】(すが けいすけ)
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この成長の段階で帆高は周りの環境に適応する為、「裏」の性格へと変化します
帆高:「とにかく必死の毎日で…でもこんな風に誰かに頼られるのは初めてで 雨続きの東京での日々はまたたく間に過ぎていった」
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【第3段階の成長】
「勉強する」(タイプ5の良い所)
取材の仕方、記事となる文章の書き方など仕事について現実の中で生きていく為の勉強する
須賀:「この後、取材アポがあるんだけど ちょっと試しに話聴いてきてよ」
帆高:「え? 俺が…今から??」
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須賀:「まだこれしか書けてないのかよ 遅っせなー」
帆高:「さーせん」
須賀:「…ああ、でもまあ文章は悪くないな」
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世の中で生きていく為に必要な事を学んでいく帆高
この成長段階の途中、帆高の前である「事件」が発生します
木村(風俗嬢のスカウトマン):「ちょーっとだけやって パーっと稼ごうよ ほらすぐそこ…」
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風俗嬢のスカウトマンに迫られる陽菜を助けようとする帆高
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この行動もタイプ9w8らしい行動、タイプ9w8は地道に他人との関係を平和に築いていこうとする一方、その平和が脅かされそうになった時には突然暴力的となり平和を脅かす存在と闘おうとします
しかしその行動は瞬間的なものであり、すぐに元の穏やかな性格に戻ります
①「現実的で社交的、人と仕事をするのを好む」
②「人と付き合い、楽しい時間を過ごす事を好み、その為、重要な目標に集中しにくい傾向がある」
③「感情が爆発することがあるが、突然穏やかで温和な状態に戻る」
9w8のキャラクターは「温和で人との付き合いが得意」
しかし突然感情が爆発し「凶暴な力」を振るう事があります
この事件後、帆高は陽菜と共に行動する事になります
【天野 陽菜】(あまの ひな)
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この段階の帆高は裏面の性格(9w8:安定している)の方が強く出ており、表の性格(4w5:夢を追う不安定さ)は薄れてきています
帆高:「記事にすれば稼げるかも」
夏美:「え、何それ?」
夏美:「キミ、だんだんケイちゃんに似てきたよ つまんない大人になりそう」
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【第4段階の成長】
「力を付ける」(タイプ8の良い所)
勉強した事を実践し実力を身に付けていく
陽菜:「ちょっと帆高、これって本気?」
帆高:「だってヒナさん 本物の晴れ女なんですよね
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帆高:「だったら、仕事が必要なんでしょ?」
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帆高は須賀の元で学んだ「仕事のやり方の知恵」を使い、陽菜と共に「晴れを届ける」ビジネスを立ち上げます
知恵(タイプ5)を現実の力(タイプ8)に変えていく
これが帆高の第3段階を経て第4段階の成長へと続く第1歩となります
帆高・陽菜:「できたー!」
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フリーマーケットのスタッフ(女):「君たちすごいよ」
フリーマーケットのスタッフ(男):「本物の晴れ女じゃん まさか本当に晴れるなんてね」
帆高・陽菜:「あははっ…」
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晴れ女ビジネスは順調に軌道にのるかと思われましたが、思わぬ落とし穴が二人を待ち受けていました
陽菜の天気を操る力はとても強力で、帆高の手に追える力ではありません
第4段階で身につけるべき「力」はその前の第3段階で身につけた「知恵」によって制御する必要があります
知恵によってコントロールできない大き過ぎる力は暴走し、我が身を滅ぼす事に繋がります
陽菜:「晴れを願うほどね 身体が透明になっていくの…」
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それと同時に帆高は「未成年と言う立場の力の無さ」を実感する事になります
須賀:「お前さぁ 明日実家に帰れよ それで全部元通りだろう 誰にとっても それが一番いい もう大人になれよ 少年」
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この2つの問題を解決する為に帆高は「大き過ぎる力を封印する事」と「成年になって社会に認められるまで待つ」と言う道を選びます
【第5段階の成長】
「他人を助ける」(タイプ2の良い所)
第4段階の成長として「社会に認められる力(成年)」を身に着けた帆高は最後の成長(他人を助ける)を行う為に陽菜の元へ向かいます
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これから先、二人の未来にはどんな物語が待ち受けているのでしょうか
きっと、帆高と陽菜は二人で人々に喜びを与え、助けていく道を歩んでいくのでしょう
それは本編のセリフとして表されています
陽菜:「私好きだな…」
帆高:「え?」
陽菜:「この仕事、晴れ女の仕事 私ね自分の役割みたいなものが やっと分かった…ような気がぁ しなくも無くもぉ 無くも無くも無くも無くも無いっ!」
帆高:「えっ? しなくも無くも無くも無くも…どっち!?」
天気の子より ©2019「天気の子」製作委員会
初めて君を見た日
まるで迷子の子猫みたいで
でも君が私の意味を見つけてくれて
誰かを笑顔にできるのが嬉しくて
私は晴れ女を続けたの
…君に会えて良かった
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帆高:(人の心って 不思議だ…
例えば朝 窓の外が晴れているだけで 元気になれてしまう
空が青いだけで 生きていて良かったと思えたり
隣にいる誰かを もっと愛おしく思えたりする)
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帆高:(雨ばかりの東京では 皆が様々な理由で晴れを求めていた
ヒナさんが呼べるのは 小さな範囲の短い晴れだったけど でも必ず空は彼女の願いに答えた)
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帆高:(僕は何て素敵な世界に生まれてきたんだろう そう思えた)
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「人々に喜びを与え、助けていく道」を進もう
それがきっと二人の選んだ道
陽菜(タイプ2)の本分であり、帆高(タイプ4)の第5段階(最終段階)の成長だからです
「君の名は」の大ヒットによる「自分の手に負えない大きすぎる力」に振り回された新海監督
その体験が詰まった作品が「天気の子」
「この苦しい(狂った)世界から目をそらし、映画を観る事によって観客に束の間の感動(晴れ間)を届ける作品」
ではなく
「苦しい(狂った)世界から目をそらさずに、ありのままの現実を真摯に受け止め、観客がその中で生きる楽しみを見つけていけるような作品」を創ろう
それがこの映画に込めた監督の想い、そしてこれからの帆高と陽菜の進む道なのだと感じました
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【参考資料(兼オススメ本)】
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これからエニアグラムを学びたい方にオススメ
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