ベルセルク 第2話より ©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会
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アニメの中で主人公と裏の主人公が「助け合わず」に仲違いをしていたり、時には相手を殺してしまう姿を見ていると、胸が締め付けられてとても辛い気持ちになります。主人公と裏の主人公は同一人物の表と裏の関係。「裏の主人公を殺す」と言うのは「自分を殺す」事と同じ。
表と裏の主人公は真剣に戦い合う必要があります。しかしそれは「相手の良さを理解する為」のぶつかり合い。そうして理解し合った2人は手を取り合って「正常な成長」へと進む事ができるのです。
今回解説を行うベルセルクは裏と表の主人公が「お互いの足りない所を助け合いながら共に成長していく様子」が実に見事に描かれていて私の大好きな作品。
主人公と裏の主人公の「理想的な関係」とは何なのかを考察していきます。
「エニアグラムの裏表」についての考察
アニメの中に登場する「裏表の性格の差」が激しいキャラクター(や裏表の関係のキャラクター)を「エニアグラム」を使って分析するこのシリーズ。今回の考察はベルセルクに登場する「ガッツ」と「ファルネーゼ」。二人の性格は表と裏の関係となっています。
【エニアグラムを知らない方はこちらから】
ではアニメを詳しく見ていきましょう。ファルネーゼ(裏の主人公)がガッツ(主人公)の前に登場するのは「断罪篇」から。マンガの単行本では14巻からと遅めの登場となります。
【ガッツ】(主人公)
【ファルネーゼ】(裏の主人公)
裏の主人公とは
裏の主人公の役割は「主人公を否定する存在」である事です。
ファルネーゼ:「殺さなきゃ…殺さなきゃ…殺さなきゃ…口を封じなけれれば…あいつに生きていられたら あたし」
そして主人公(テーゼ)に対するアンチテーゼが裏の主人公となります。
ガッツ(主人公)は「自由でありたい(テーゼ)」性格。一方のファルネーゼ(裏の主人公)は「誰かに評価される事(アンチテーゼ)」を最重視した行動をしています。
ガッツ:「いや…つくづく神様とかそう言うのと相性悪いんだなと思ってよぉ」
ファルネーゼ:「神を冒涜するがごとき言動 二度とは許さん」
ガッツは神(この世の理)から逃れ自分の意志で「自由」に生きようとあがいています。一方のファルネーゼは神に仕える事で「周りから評価される」為に行動しています。
「主人公の行動理由(テーゼ)」と「裏の主人公の行動理由(アンチテーゼ)」は正反対、相反する考えがぶつかり合いながら物語が進む、それが物語に裏の主人公が登場する理由です。
【裏の主人公を詳しく知りたい方はこちらの記事で】
主人公と裏の主人公の関係
主人公のガッツの性格はタイプ7w8。
タイプ7w8(現実主義者)は基本的に明るく人生を楽しみたい(タイプ7)タイプ、それに加えて現実的で社交的、人と仕事をするのを好む(タイプ8)性格。
一方の裏の主人公、ファルネーゼの性格はタイプ3w2。
二人は正反対の性格で得意・苦手も逆転しています。
ガッツ(7w8:現実主義者)は「現実」を見据え、利益を得るために勝利できる戦略を練る事が得意。しかし周りの人々の心理を考慮する事は苦手。
ガッツ:「俺にはどうしても辿り着かないといけない奴がいる 邪魔する奴らがどんな目に合おうとも知ったこっちゃねぇ…」
ファルネーゼ(3w2:魅了する人)はその逆、周りの人々の賞賛を得る為に行動する事は得意ですが、現実の中で自分自身が関心のあるふるまいを見つける事は苦手としています。
ファルネーゼ:「神よ…お導きください…」
ファルネーゼが苦手な「現実世界を見据えた戦略を練る」事はガッツの得意分野。一方ガッツの苦手な「周りの評価を気にかける」のはファルネーゼの得意とする所となります。
主人公と裏の主人公のお話のガイドライン
ガッツ(主人公)のお話
【ストーリーライン(世界観)】
7w8:「現実」の利益を得る為に勝利できる戦略を練ってきた主人公が壁にあたり、その問題を解決するために「人々の賞賛」を得ようとする。
ファルネーゼ(裏の主人公)のお話
【ストーリーライン(世界観)】
3w4:「人々からの賞賛を得るふるまい」をしてきた主人公が壁にあたり、その問題を解決するために「自分自身が関心のあるふるまい」を見つけようとする。
【7w8と3w2のお話についての詳しい解説はこちら】
「ベルセルク」のストーリーはガッツにとっては「周りの人々と共感できる道」を見つけるお話、ファルネーゼにとっては「本心の自分が望む道」を見つけるお話。
ガッツ(テーゼ)とファルネーゼ(アンチテーゼ)は互いに戦う必要があります。しかしその戦いは相手を倒すものではなく、新たな道(ジンテーゼ)を見つける手段でなくてはいけません。
ベルセルクのお話の基本構造
7w8が主人公の「お話の黄金パターン」は一言でいうと「ヒロインを助け出す(守る)」事が目的。それができればハッピーエンド、できなければ悲劇のお話となります。
ヒロインは主人公の憧れであり、助け出す存在なのです。
主人公ガッツの「大きなお話」は「憧れのヒロイン、グリフィスを助け出す(心を救う)」事が目的。ガッツとグリフィスとの関係は「断罪編」の前の「黄金時代(マンガでは3~13巻)」で詳しく描かれます。
【グリフィス】(タイプ1:完璧主義者)
グリフィス:「俺は知りたい この世界において 俺は何なのか 何ができて 何をするべきなのか 不思議だな こんな事話すのお前が初めてだよ」
ガッツ:(…その時 その男は美しく気高く絶対的なものとして俺の目に映った…)ベルセルク 第2話より ©三浦建太郎(スタジオ我画)・白泉社/ベルセルク製作委員会
ガッツは憧れであるグリフィスに追いつこうと一人(成長への)旅に出てからの物語が「断罪編」。旅に出たガッツ(主人公)の前にファルネーゼ(裏の主人公)が登場するのは実に理にかなった流れとなっています。
ガッツ(主人公:タイプ7)は旅の中で強さを手に入れ、最終的にグリフィス(ヒロイン:タイプ1)を救い出すのが物語の黄金パターン。
その為にはガッツはファルネーゼ(裏の主人公:タイプ3)と理解し合い、共にヒロインを救い出す戦いに挑む必要があるのです。
ファルネーゼ(裏の主人公)は当初、権力をかさにしているわがままでどうしようもないお嬢さまとして描かれています。
しかしファルネーゼはガッツと出会い、何もできない自分の力の無さに気が付きます。
ファルネーゼ:「私はただ逃げまどい 震え縮こまっていただけだ 神の御名すら一言も唱える事ができなかった 神の徒を名乗りながら 何千何百万回も繰り返し唱え続けてきた御名すら 私はただ矮小で惨めで無力だった」
悩み苦しむファルネーゼは大きな決断をします。それはガッツと共に行動する事。
ファルネーゼ:「どうか私どもを旅の一行にお加えください(中略)私は知りたいのです 私がすがった秩序を超えた真実を そして学びたいのです 秩序の光明無き闇の中でも生き抜く術を あなたから…どうかお導きください」
ガッツ:「坊さんだの貴族だってのはどうしてこう仰々しいんだ…好きにしな」
そして2人は共に行動をする事になります。
ガッツがファルネーゼの同行を認めた理由。それはガッツもまた自身の力の無さを感じていたから。
ガッツ(主人公)とフェルネーゼ(裏の主人公)はお互いの行き詰った状況を打破できる「期待」を相手に感じ取ったから故、共に行動をする事を選んだのでしょう。
ガッツ:「この俺が初めて赤の他人に期待している 自分の禍々しさに戦慄している 己の無力に打ちのめされる」
ファルネーゼはガッツと共に旅をする事で徐々に成長していきます。そしてその成長を導くのはシールケ(タイプ5)とキャスカ(タイプ8)。2人はガッツ(タイプ7:主人公)の成長方向に位置しています。
【シールケ】
【キャスカ(右)】
主人公が成長する為の「物語の黄金パターン」。それは「主人公」と「裏の主人公」が「主人公を導く者」によって引っ張られて成長していくお話なのです。
他人との交流が苦手なガッツは上手くキャスカと心を通わす事ができません。その為、ファルネーゼがガッツの代わりにキャスカを守る役割を担います。
ファルネーゼ:「この私が誰かを守る為に剣を振るっている」
ファルネーゼはキャスカを守る立場ですが、それは同時に「ファルネーゼがキャスカによって導かれる」関係としてアニメの中で描かれています。
ファルネーゼ:「このまましゃがみ込んでうずくまってしまいたい」(中略)
ファルネーゼ:「背中越しのこの娘のぬくもりが私にそうさせてくれない 何もできない私に始めて託された私よりも弱い存在 何も知らない何も分からない瞳が私が無力である事を許してくれない」
ガッツ:「待たせたな」
ファルネーゼ:「ガッツさん!!」
ガッツ:「キャスカを頼む」
ファルネーゼ:「はい」
ガッツ:「ファルネーゼ!」
ガッツ:「…あんたのおかげで随分救われている 感謝している…」
ファルネーゼ:「いえ そんな」
弱く何もできなかったファルネーゼは旅の中で少しずつ成長していきます。そしてその存在が主人公のガッツの成長にも繋がっていきます。
ガッツは「他人と触れ合う方法」、ファルネーゼは「自分の意志で生きていく方法」を学び成長する。
「主人公」と「裏の主人公」が「お互いの苦手な部分」を助け合うと同時に「相手の得意な部分」を学び取っていく。
私にとってベルセルクはこうした2人の成長の姿が見事に描かれている大好きな作品なのです。
今回はここまで。
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【参考資料】
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「裏と表の性格」についてはこちらのブログを参考にさせてもらっています。