鬼滅の刃 第2話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
「鬼滅の刃」の13フェイズ分析、第2回目
※TVアニメと今回の映画「無限列車編」までのネタバレがありますのでご注意ください
鬼滅の刃のお話は全体を通して13フェイズ構成となっている事を前回解説いたしました
【第1回目がまだの方はこちらでどうぞ】
今回は全体の物語の中の第2フェイズ【事件】に注目、このお話を詳しく見ていきます
「炭治郎の家族が無惨に襲われ」てから、「炭治郎が鱗滝に認められる」シーンまでが第2フェイズ
実はこの第2フェイズはフェイズ自体が独立したお話であり、13に分かれた13フェイズ構成となっているのです
この構成を13フェイズの重ねがけと呼びます
詳しく分析してみましょう
第2フェイズ【事件】のお話構成
13フェイズのお話は「主人公が抱える問題点」を「成長」によって解決していく流れでできています
鬼滅の刃の主人公は竈門 炭治郎(かまど たんじろう)
【竈門 炭治郎】
鬼滅の刃 第1話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第2フェイズの始まりでの主人公炭治郎の抱える問題点は「過酷な現実に向かい合う覚悟がない事」
炭治郎は薄氷の上の平和・幸せに甘んじる事で判断が遅く、力が無い状態、そのため過酷な現実に向かい合う事ができていない状態です
これが第2フェイズ始めの炭治郎が抱える問題点
第2フェイズでは「炭治郎が過酷な現実に向かい合う覚悟を示す」までの様子が丁寧に描かれます
そして物語の中で炭治郎は成長をする事で、抱えていた問題(現実の残酷な面に向かい合えていない)を解決し成長していくお話の構成となっています
13フェイズ構成のお話では「前半何かの助け」で成長する主人公が、後半は「その助けなし」で成長する構成となっています
今回のお話で炭治郎を助けるのは鬼殺隊の柱の一人、冨岡 義勇
ではフェイズ毎に詳しく見ていきましょう
物語の前半(第1フェイズ~第7フェイズ)
第1フェイズ【日常】
「家族を殺され、ただ一人息のある妹、禰豆子を救うおうと、山の麓の村へと急ぐ炭治郎」
炭治郎のかかえる問題点は『過酷な現実に向かい合う覚悟がない事』
鬼滅の刃 第1話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第2フェイズ【事件】
「禰豆子が鬼となって炭治郎に襲いかかる」
鬼滅の刃 第1話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
第3フェイズ【決意】
「襲われながらも禰豆子を助ける決意をする炭治郎:頑張れ禰豆子ぉ!」
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第4フェイズ【苦境】
「しかし炭治郎の力ではどうする事もできない」
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第5フェイズ【助け】
「冨岡 義勇の助け」
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第6フェイズ【成長】
「現実から目を逸していた炭治郎、義勇に叱咤され、目の前の現実を受け入れた行動を行う」
炭治郎:「止めてください どうか妹を殺さないでください…お願いします…お願いします」
義勇:「くっ、生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
義勇:「惨めったらしくうずくまるのは止めろ そんな事が通用するなら お前の家族は殺されていない!」
鬼滅の刃 第1話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
義勇に叱咤された炭治郎は持てる力を総動員して目の前の現実に立ち向かいます
炭治郎:「うわわわぁーっ!」
義勇:「感情に任せた単純な攻撃 愚かっ!」
義勇:「木の陰に隠れる直前 こちらに石を投げ と同時に上へ斧を投げた 丸腰であるのを悟られないよう 振りかぶった体制で手元を隠す 俺に勝てないのが分かっていたからだ 自分が切られた後で 俺を倒そうとした こいつは…」
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第7フェイズ【転換】
「義勇の心が変わる」
義勇は炭治郎と禰豆子の行動を認め、炭治郎の想い(禰豆子を助けたい)を尊重する気持ちに変化します
義勇:「起きたか 狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近寺と言う老人を訪ねよ」
鬼滅の刃 第1話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
ここまでが物語の前半部分
後半の第8フェイズからは前半助けてくれた義勇がいなくなり、助け無しで炭治郎が一人(禰豆子は一緒ですが)「残酷な現実と向き合い」成長していくお話となります
物語の後半(第8フェイズ~第13フェイズ)
第8フェイズ【試練】
「義勇と分かれ、鱗滝の元へと向かう炭治郎と禰豆子に鬼が襲いかかる」
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第9フェイズ【破滅】
奮闘する炭治郎、しかし彼に決定的な破滅が訪れます
それは炭治郎が持つ優しさ
「炭治郎は鬼を殺す事ができない」
鱗滝:「ああ…この子はダメだ 思いやりが強すぎて決断できない 鬼を前にしても優しさの匂いが消えない 鬼にすら同情心を持っている 義勇…この子には無理だ…」
鬼滅の刃 第2話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
炭治郎の持つ優しさは鬼殺隊として致命的な弱点となります
その姿に鱗滝は「この子には無理だ…」と心のなかで呟きます
主人公に決定的な破滅が訪れる、これが第9フェイズ【破滅】
そして第10フェイズ【契機】ではその破滅を乗り越える為の契機が訪れます
次のフェイズでは小さいけれど、力強い希望の光が示されます
第10フェイズ【契機】
「目の前の鬼が朝日を浴びて消え去る その姿を見て禰豆子の事を思い出す炭治郎」
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朝日に焼かれる鬼の姿を見た炭治郎は自分は一人ではなく禰豆子と共にある事に気付きます
鱗滝:「妹が人を食った時、やる事は2つ 妹を殺す お前は腹を切って死ぬ 鬼になった妹を連れて行くと言うのはそういう事だ
鬼滅の刃 第2話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
一人では優しさは大きな弱点となりますが、禰豆子と共にあり、禰豆子を守る覚悟を持つ事で、その優しさは同時に大きな武器となる事に気付くのです
第11フェイズ【対決】
「鱗滝の試練、夜明けまでに罠をかいくぐり鱗滝の元へとたどり着くこと」
炭治郎:「戻れるだろうか…失神するかも…いや戻るんだ 呼吸を整えて罠の匂いを嗅ぎ分けろ!」
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第12フェイズ【排除】
「罠をかいくぐり、日の出までに鱗滝の元へたどり着く炭治郎」
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第13フェイズ【満足】
鱗滝:「お前を認める 竈門 炭治郎…」
鬼滅の刃 第2話より ©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
こうして炭治郎は「家族を殺され、妹が鬼になる」と言う残酷な現実【事件】を受け入れ、前に進む事ができる様になります
ここまでが第2フェイズ【事件】のお話となっています
しかしまだ炭治郎は事件を受け入れただけの状態、本当の決意はこの後描かれる第3フェイズ【決意】で描かれます
第3フェイズ【決意】では炭治郎が最終選別を乗り越える事で鬼殺隊に入隊し、決意を確固たるものにする姿が描かれていきます
この第3フェイズもこれ自体が独立したお話となっており、今回と同じ様に13フェイズに分かれた構成でできています
次回は第3フェイズ【決意】のお話を詳しく分析していきますので楽しみにしてください
おまけ
ここで物語の構成上で疑問点があります
13フェイズ構成のお話では第8フェイズからは主人公は助け無し一人で成長していく構成となっています
しかし物語の流れを見ていると第8フェイズ以降に鱗滝が炭治郎の「助け」に入っている様に思えます
これはいったいどうしてなのでしょうか?
その理由は物語で後に明かされる事になります
実はこの時点で鱗滝は炭治郎の成長を「助ける」のではなく、むしろ鬼殺隊に入隊する事を「妨害」しようとしている事が分かります
数々の弟子を失った鱗滝はもうこれ以上弟子を失いたくない一心で炭治郎に対して最終選別に行かせないように画策しているのです
つまり鱗滝は炭治郎にとって支え助けくれる存在ではなく、むしろ乗り越えていく壁としての存在となるのです
今回はここまで
次回は鬼滅の刃の第3フェイズ「決意」(鱗滝の元での修行から最終選別合格まで)について解説します
先程述べた通り、第3フェイズもそれだけで独立した小さな13フェイズ構成のお話となっていますが、ちょっと(かなり)変わった13フェイズ構成となっていて分析していてビックリさせられました
興味がある方は次の記事を読む前に自分自身でどの様な13フェイズ構成になっているのか分析してみると面白いと思います
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【この記事の続きはこちら】
【13フェイズについて詳しく知りたい方へ】gunber.hatenablog.com
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