響け! ユーフォニアム 第8話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
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最近6ｗ5（守る人）と1ｗ2（擁護者）のペアについてエニアグラム考察するのにハマっています。
今回の考察も6ｗ5と1ｗ2。
「響け! ユーフォニアム」に登場する黄前 久美子と高坂 麗奈。黄前 久美子はメイン主人公。高坂 麗奈は裏の主人公の関係となっています。
「響け! ユーフォニアム」は京都アニメーション制作の人気アニメ。京都府にある北宇治高校吹奏楽部部員たちの人間模様が描かれた作品。
多くのキャラクターが登場する中、さすが今回解説する黄前 久美子と高坂 麗奈の2人は実に存在感があります。
2015年4月：『響け！ユーフォニアム』（TVシリーズ全13話）
2016年4月：『劇場版 響け！ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏楽部へようこそ〜』（劇場映画）
2016年10月：『響け！ユーフォニアム2』（TVシリーズ全13話）
2017年9月『劇場版 響け！ユーフォニアム〜届けたいメロディ〜』（劇場映画）
2018年4月『リズと青い鳥』（完全新作劇場映画）
2019年4月『劇場版 響け！ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜』（完全新作劇場映画）
2023年8月『特別編 響け！ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』（完全新作劇場映画）
2024年4月予定『響け！ユーフォニアム3』（TVシリーズ）
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主人公：黄前 久美子（6ｗ5）
主人公の黄前 久美子は北宇治高校1年（物語の最初）の吹奏楽部メンバー。担当楽器はユーフォニアム。
現在劇場公開されている『特別編 響け！ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜』では２年生。
そして2025年春から始まるTVシリーズでは3年生となった久美子の姿が描かれます。
【黄前 久美子（おうまえ くみこ）】（タイプ6ｗ5：主人公）
タイプ6w5（守る人）は自分の事より周りの共同体の事を気にする心配性（タイプ6）、それに加えて独立心が強く、集めた知識を分析して活用する事が得意（タイプ5）な性格。
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
タイプ6の彼女はとても心配性、自分に自信が無く悩みを抱えています。
黄前 久美子：「わざわざ同じ中学の子が少ないこの学校を選んだのは 憧れのセーラー服の高校がここだけだったのと 色んな事を一度リセットしたかったから…」
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
主人公「黄前 久美子」と裏の主人公「高坂 麗奈」が北宇治高校吹奏楽部で共に全国大会を目指してぶつかり合いながらも切磋琢磨し成長していく姿を描いたのが響け! ユーフォニアムのメインストーリー。
裏の主人公：高坂 麗奈（1ｗ2）
高坂 麗奈は理想を掲げる完璧主義者。特別な何かになりたい彼女は憧れの指揮者の滝 昇を追って北宇治高校吹奏楽部に入部します。
【高坂 麗奈（こうさか れいな）】（タイプ1ｗ2：裏の主人公）
1ｗ2は基本的に真面目で理想を求める（タイプ1）完璧主義者、それに加えて理想を示す為の方法として人々を救おうとする（タイプ2）性格。
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
裏の主人公の麗奈は久美子とは正反対の性格。
「主人公」の黄前 久美子が将来の夢を持てない状態なのに対して「裏の主人公」高坂 麗奈は目標に向い真剣な毎日を過ごしています。
高坂 麗奈：「私 特別になりたいの 他の奴らと同じになりたくない」
響け! ユーフォニアム 第8話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
裏の主人公の役割は「主人公を否定する存在」である事。主人公（テーゼ）に対するアンチテーゼが裏の主人公。
黄前 久美子と高坂 麗奈は正反対の性格ですが、どちらも社会的に必要なものを守るために正しさを武器にしている似たもの同士でもあります。違いは、守りたいもの。
表6ｗ5（黄前 久美子）：金銭などの物質を「守り」、その物質の安全性を確保する。
裏1w2（高坂 麗奈）：思想などの概念を「擁護」し、その思想の正当性を主張する。
高坂 麗奈は黄前 久美子を否定します。
黄前 久美子：「高坂さん 泣くほど嬉しかったんだ 良かったね 金賞で…」
高坂 麗奈：「悔しい 悔しくって死にそう なんでみんなダメ金なんかで喜べるの 私ら全国目指してたんじゃないの？」
黄前 久美子：「本気で全国行けると思ってたの？…あっ」
高坂 麗奈：「あんたは悔しくない訳？」
高坂 麗奈：「あたしは悔しい むちゃくちゃ悔しい」
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
主人公と裏の主人公のお話のガイドライン
6w5（主人公）のお話は通常以下の流れとなっています。
【ストーリーライン（世界観）】
6ｗ5（守る人）：「現実の物質（や関係）」を守っていた主人公が「それを守るべき理由」を見つけ出す。
「響け! ユーフォニアム」のお話は２段階で作られています。
第1段階は「黄前 久美子が守るべきものを見つけるお話」。
第2段階は「それを守るべき理由を見つけるお話」。
物語の当初、主人公の黄前 久美子は自分が守りたいものを持っていません。
黄前 久美子：「下手すぎる （中略）でも まあ 全国目指してる感じじゃないんだろうなぁ」
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
そんな久美子が「北宇治高校吹奏楽部に入部して高坂 麗奈との関係を深める」事を通じて自分が守りたいものを見つける。それが物語前半のお話となっています。
黄前 久美子：「全国に行けたらいいな 中学生の頃からそう思ってた だけどそれは 口先だけの約束みたいなもので 本当に実現させようなんて一度も思った事なかった だって 期待すれば恥をかく 叶いもしない夢を見るのは馬鹿げた事だって思ってたから だけど 願いは口にしないと叶わない 絶対 全国に行く」
響け! ユーフォニアム 第13話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
物語りの前半では黄前 久美子は全国大会出場に向けて北宇治高校吹奏楽部を守ろうと奮闘します。
中川 夏紀：「ま そのくらい去年と今年の空気は違うって事 あれだけやる気が無かった私がちょっとやる気になってるくらいだからね」
響け! ユーフォニアム 第7話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
田中 あすか：「流石黄前ちゃんだね いい所嗅ぎつける」
響け! ユーフォニアム 第10話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
黄前 久美子：「先輩 私が聞いてみます あすか先輩に 戻っちゃダメな理由 私が聞いてみます」
響け! ユーフォニアム2 第2話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
黄前 久美子：「鎧塚先輩 どうしたんですか 大丈夫ですか」
響け! ユーフォニアム2 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
そして後半は久美子は何故北宇治高校吹奏楽部を守るのか。その（守るべき）理由を見つけるお話の構成となっています。
黄前 久美子：「なんか本当にこれで終わりでいいのかなって 心残りって言うか」
響け! ユーフォニアム 第13話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
主人公を導く者
「主人公」の黄前 久美子と「裏の主人公」の高坂 麗奈は相反する性格。そのままでは水と油の関係でお互いを理解する事はできません。
2人の相互理解の為には「主人公を導く者」の存在が必要となります。
タイプ6の「主人公」黄前 久美子にとっての「主人公を導く者」はタイプ9。
「響け! ユーフォニアム」のお話に登場するタイプ9のキャラクターを上げて見ました。
塚本 秀一（つかもと しゅういち）（タイプ9ｗ8）
[1年生。担当楽器はトロンボーン。久美子とは幼なじみ。中学生時代にも吹奏楽部に所属しており、ホルンを担当。（WIKIより）]
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
長瀬 梨子（ながせ りこ）（タイプ9ｗ8）
[2年生。担当楽器はチューバ。後藤と付き合っている。]
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
後藤 卓也（ごとう たくや）（タイプ9ｗ1）
[2年生。担当楽器はチューバ。黒縁の眼鏡をかけた大柄で寡黙な男子生徒。（WIKIより）]
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
小笠原 晴香（おがさわら はるか）（タイプ9ｗ8）
[3年生。担当楽器はバリトンサックス。部長兼サックスパートリーダー。（WIKIより）]
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
傘木 希美（かさき のぞみ）（タイプ9ｗ8）
[[2年生。フルート担当だったが昨年の大量退部事件で吹奏楽部を退部している。吹奏楽の強豪「南中」で部長を務めていた。映画『リズと青い鳥』の主人公。（WIKIより）]
響け! ユーフォニアム2 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
響け! ユーフォニアムにはタイプ9、特にタイプ9ｗ8のキャラクターが非常に多く登場しています。
久美子の幼馴染み塚本 秀一。吹奏楽部部長の小笠原 晴香。低音パートの先輩、長瀬 梨子と後藤 卓也。リズと青い鳥の主人公の傘木 希美と、沢山の人物が主人公の久美子を「導く存在」として活躍しています。
しかし彼・彼女達の中に黄前 久美子と高坂 麗奈を結びつける決定的な存在は見当たりません。
では響け! ユーフォニアムは「主人公を導く者」不在の物語なのでしょうか？
この点については何年もの間悩みの種でした。
最近、新作映画を見る為に改めてTVシリーズや過去の劇場映画を見直している内に思い立った事があります。
久美子にとっての「主人公を導く者」。それは「北宇治高校吹奏楽部」なのではないでしょうか。
響け! ユーフォニアム 第13話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
物語を構成するキャラクターは人間とは限りません。
新海誠監督の「言の葉の庭」では「雨」が主人公を導く存在として描かれています。
響け! ユーフォニアムも同様に主人公を導く存在は個々の人間ではなく「北宇治高校吹奏楽部」なのだと考えると物語の構成がとてもすっきりとします。
タイプ6の主人公にとって「主人公を導く者（タイプ9）」の役割は「安心できる自分の居場所を作る事」。
夢や目標の無かった久美子は北宇治高校吹奏楽部に入部する事（導き）で自分の居場所を見つけ、相反する性格の麗奈（裏の主人公）との交流を深める事ができます。
北宇治高校吹奏楽部は「マイペースなのんびり屋さん（タイプ9）、それに加えて上昇気質を持ち、現実的で社交的、人と仕事をするのを好む（タイプ8）」とても9ｗ8らしい雰囲気（性格）を持って描かれています。
また先ほど挙げた様に北宇治高校吹奏楽部（特に久美子の周り）には部長を筆頭に9ｗ8のメンバーが非常に多く存在しているのは原作者の計算があるのでしょう。
これに加えて9w8は顧問の滝先生（4ｗ5）の裏の性格に当たります。本編では深く描かれていませんが、滝先生の奥さんの性格もおそらく9ｗ8。
亡くなった妻（9ｗ8）の想いを引き継ぐために顧問となった北宇治高校吹奏楽部は彼女の性格（＝滝先生の裏の性格）（9ｗ8）が深く影響されているのだと思うのですが、こちらは少し考え過ぎかもしれません。
北宇治高校吹奏楽部自体が9ｗ8のキャラクターとして黄前 久美子と高坂 麗奈の2人を導く存在として描かれていると考えると物語構成がとても分かりやすくなります。
ヒロイン
「響け! ユーフォニアム」のお話では「主人公」黄前 久美子にとって助け出すべき「ヒロイン」は中川 夏紀と黄前 麻美子。
中川 夏紀（なかがわ なつき）（タイプ9ｗ8）
[2年生。担当楽器はユーフォニアム。髪型はポニーテール。「やる気のない部員」の一人。（WIKIより）]
響け! ユーフォニアム 第4話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
黄前 久美子：「中川先輩 みんなで合わせてみませんか」
中川 夏紀：「…いいよ」
響け! ユーフォニアム 第4話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
物語の最初（第4話）ではやる気が起きずに練習をさぼっている中川先輩（タイプ3：ヒロイン）を久美子（タイプ6：主人公）が助けます。このエピソードが久美子（主人公）の成長の第一歩として描かれています。
中川 夏紀：「ありがとね 黄前ちゃんのおかげで少し上手くなれたような気がするよ」
響け! ユーフォニアム 第10話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
しかし黄前 久美子にとって真に助けなければいけないヒロインは別にいます。彼女を助ける為には久美子の更なる成長が必要。
久美子が成長し最終的に助け出すべきヒロイン。それは久美子に音楽を教えてくれた姉の黄前 麻美子。
黄前 麻美子（おうまえ まみこ）（タイプ3ｗ2：ヒロイン）
[久美子の姉。大学3年生。元吹奏楽部でトロンボーン奏者だったが、大学受験のため辞めている。（WIKIより）]
響け! ユーフォニアム 第1話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
黄前 麻美子：「ほんとにやりたいの？」
黄前 久美子：「うん やりたい お姉ちゃんと一緒に吹きたい」
響け! ユーフォニアム2 第10話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
そして久美子は第2シーズン物語のラストで本命のヒロインである姉の麻美子を助けるまでに成長する事ができます。
黄前 麻美子：「私も大好きだよっ」
響け! ユーフォニアム2 第12話より ©武田綾乃・宝島社／『響け！』製作委員会
「響け! ユーフォニアム」の物語（第1～2シーズン）の基本構成は『黄前 久美子（タイプ6ｗ5：表の人公）が北宇治高校吹奏楽部（タイプ9：主人公を導く者）に導かれ、高坂 麗奈（タイプ1ｗ2：裏の主人公）と共に成長し、黄前 麻美子（タイプ3：ヒロイン）を助けるお話』で作られています。
おまけ（訂正）
このブログを書くまでの長い間「響け! ユーフォニアム」の主人公黄前 久美子の性格はタイプ7（楽天家）。高坂 麗奈とはタイプ7-1の関係だと思っていました。
【タイプ7：熱中する人（The Enthusiast）】
（明るく人生を楽しみたい楽天家）
楽しいことが好きで、多忙なタイプ 自然体。 多才。 欲しがり。 散漫。
これはリコリスリコイルの千尋（タイプ7）とたきな（タイプ1）と同じ関係。
リコリス・リコイル 第1話より ©Spider Lily／アニプレックス・ABCアニメーション・BS11
7-1のコンビは黄金パターン。
そんな訳で深く考えずに久美子と麗奈の関係もすっかり7-1だと思い込んでいました。しかし久美子がタイプ7だとすると高坂 麗奈以外の周りの登場人物との関係の整合性がとれず（※）に悩んでいた時期が長かったです。
（※）加藤 葉月がどうみてもタイプ7なので性格がかぶる等。
最近、久美子はタイプ6ｗ5かもと思う様になり、タイプ6とタイプ7の違いを彼女達（久美子と千尋）の性格と照らし合わせて検証してみました。
【囚われ】
タイプ6：恐れ
タイプ7：貪欲
【根源的恐れ】
タイプ6：支えや導きがなく、自力で生存できないこと
タイプ7：必要なものを奪われてしまって、痛みに囚われること
【根源的欲求】
タイプ6：安全と支えを見つけること
タイプ7：幸福で、満足していて、充足していること
黄前 久美子（タイプ6）が「みんなと共に生きる臆病な性格」なのに対して錦木 千束（タイプ7）は「一人で生きる楽観的な性格」だと思うと彼女達の行動が納得できます。
また今回のブログで解説した通り、久美子がタイプ6ｗ5だと考えると周りの登場人物関係が実に上手くかみ合います。
長年の謎が解けてほんとスッキリしました。
来年春から始まる第3シーズンはどんなお話になるのでしょうか？とても楽しみにしています。
今日はここまで。
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まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
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