Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 21話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
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「風立ちぬ」と「Fate/stay night」のストーリー構成の共通点をエニアグラム分析する第2回目
「風立ちぬ」の主人公、堀越二郎はどうすれば闇落ちルートを回避できたのか?
その答えが「Fate/stay night(遠坂 凛ルート)」で描かれているはず…と仮定して今回の分析を進めていきます。
【前回の記事はこちら】
本当にそうなのか私もまだ確信は持てていないのでドキドキしながらこの記事を書き始めています。
まあ、異なる結果が出たらそれはそれで楽しいので、笑って許して下さい。
では解説を行っていきましょう。
【前回記事のまとめ】
「風立ちぬ」と「Fate/stay night(セイバールート)」のストーリー構成の共通点
①「主人公が闇落ちする」
②「ヒロインと別れ離れとなる」
主人公は夢を叶えるために現実世界を破壊します。
テーゼ(空想の世界の平和)とアンチテーゼ(現実の世界での平和)双方の主張の議論は行わなわれず、「物語の黄金パターン」であるジンテーゼには導かれません。
アンチテーゼ(現実)が一方的に勝利するバットエンドなお話。
「Fate/stay night(遠坂 凛ルート)」では主人公、衛宮 士郎は「ヒロインと共に人生を進み」「闇落ちする事もない」グッドエンディングを迎えます。
バットエンド(セイバールート)とグッドエンド(遠坂 凛ルート)
いったい2つのお話の違いは何なのでしょうか?
その「違い」はセイバールートでは謎だったアーチャーの正体が判明した事。
アーチャー:「…それがこの俺 英霊エミヤの正体だ」Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 19話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
遠坂 凛ルートではアーチャーは主人公、衛宮 士郎の未来の姿だと言うことが判明します。
そしてアーチャーは士郎に現実の厳しさ・残酷さを投げかけます。
アーチャー:「正しい救いを求めれば求めるほど お前は自己矛盾に食い尽くされる ただの殺し屋に成り下がる それが分からないのなら 死ね その思想ごと砕け散れ!」
Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 21話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
主人公のテーゼ(空想の世界での平和)に対するアンチテーゼ(現実の世界での平和)。
お話の中で主人公に対してアンチテーゼを投げかけるのが主人公の裏の性格のキャラクターの役目。
宮崎監督の別作品「もののけ姫」では「主人公の裏の性格のキャラクター」であるモロはアシタカ(主人公)に向かって強烈なアンチテーゼを投げかけています。
モロ:「黙れ小僧!お前にあの娘の不幸が癒せるのか?森を侵した人間が、わが牙を逃れるために投げてよこした赤子がサンだ。人間にもなれず、山犬にもなりきれぬ、哀れで醜い、かわいい我が娘だ。お前にサンを救えるか?」
「もののけ姫」より Ⓒ 1997 Studio Ghibli・ND
テーゼとアンチテーゼのぶつかり合いの中、双方が納得できる第3の道(ジンテーゼ)を見つけるのが「物語の黄金パターン」のお話の流れ。
今回解説対象の「Fate/stay night(遠坂 凛ルート)」では「セイバールート」では行われなかった「主人公」と「主人公の裏の性格のキャラクター」の激しい「議論」と「直接的な身体を使った闘い」が繰り広げられます。
アーチャー:「くだらん…くだらん くだらん くだらん! 最早見るに耐えん 愚昧ここに極まったな 衛宮 士郎!!
正義の味方になる? ただ正しいだけのもの そこまで解っていながら 何故間違いに気付かない!」Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 21話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
士郎:「お前は正しい 俺の想いは偽物だ けど美しいと感じたんだ…
自分の事より他人が大切などと言うことは偽善だと解っている」Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 21話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
お互いに譲れない主張を元にして激しく闘いを繰り広げる両者。
しかし2人の議論はいつまで続けても平行線のまま。
アーチャー:「俺は俺が救いたかったものをこそ この手で削ぎ落としてきた
正義の味方などと言うくだらない理想の果てにな…」
Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 19話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
「自らの内なる心が求める平和(テーゼ)」と「現実世界の平和(アンチテーゼ)」
セイバールートのアーチャー(未来の士郎)はその双方を満たす事ができない状態に疲れ果て、遂には闇落ちしてしまいます。
それにしてもアーチャー(士郎)が何十年もかけて得られなかった「答え」を「遠坂 凛ルート」では何故早々に見つける事ができたのでしょうか?
このブログを読んでくださっている皆様にはもうお解りですよね。
それは遠坂 凛(タイプ3:主人公を導く者)の存在があったから。
え、初めてこのブログを読んでるから解らない?
大丈夫、そんな方はこちらのブログで確認してください。
【物語の黄金パターン】
物語を詳しく見ていきましょう。
2人をジンテーゼへと導く者
主人公を導く者:「遠坂 凛」(タイプ3)
Fate/stay night 第21話より © TYPE-MOON All Rights Reserved.
タイプ3の「主人公を導く者」は現実の中で成功を求める行動派。
物語の中でなかなか動こうとしない(動く事が苦手な)主人公を無理やり引っ張り、現実の世界へと導くのが彼・彼女達の役割、お話の定石。
今まで自分の中の狭い世界に閉じこもっていた主人公は広大な現実の世界に対応する術を持っていません。
「主人公を導く者」はそんな主人公を引っ張り、導く役割を持っています。
アーチャー:「待て、正気かマスター そんな事で令呪を使う奴が…」
凛:「うるさいっ! いい あんたは私のサーバント なら私の言い分には絶対服従ってもんでしょう!」
Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 0話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
アーチャー:「か 考えなしかキミは こんな大雑把な事に令呪を使うなど」
Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 0話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
感情の赴くままに行動する凛にアーチャー(士郎)は戸惑います。
凛は自らと他人の「感情」を大切にします。
その行動は実に非論理的で「理性」で動くアーチャーには理解する事できません。
しかし凛と共に聖杯戦争の戦いに挑むアーチャーは次第に凛の行動(感情の機微)の大切さを認めていきます。
”動物的”に「本能」で動く士郎と”非人間的”に「理性」で行動するアーチャー。
アーチャー(士郎)は「感情」で動く凛こそが一番”人間的”である事、そしてその「人間性(感情)」にこそテーゼ(本能)とアンチテーゼ(理性)との間で行き詰まった状況を打破する力がある事を感じ取る事ができます。
遠坂 凛:「士郎! アーチャー!
士郎 無事? …ってアーチャー!
あんたその傷 どうしちゃったのぉ?
アーチャー:「…全く つくづく甘い 彼女がもう少し非道な人間なら 私もかつての自分に戻らなかったものを…」
アーチャー:「ともあれ決着は着いた お前を認めてしまった以上 エミヤ等と言う英雄はここにはいられない 敗者は早々に立ち去るとしよう」Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 21話より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
こうして物語はグッドエンド(ハッピーエンド)を迎えます。
グッドエンドへと繋がる「正しい道のり」(主人公の選択・お話の分岐点)は①表と裏の人格が真剣に「議論と闘い」を繰り広げた上で、②主人公を導く者(凛)の「導き」を得る事。
遠坂 凛ルートのラストシーンでは闇落ちしていたアーチャーが正気を取り戻し、士郎と凛は共に未来に向かって進む事になります。
士郎:「今度は俺が遠坂を連れ回す番か」
遠坂:「ええ 少し先の話だけどね どうあれ 色々楽しんで 苦しんで 見て回って めでたしめでたしになるのが 私達の未来だもの」
Fate/stay night [Unlimited Blade Works] 26話(最終話)より ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC
セイバールートの苦しさを克服した実に見事なエンディング。
Fate/stay nightが名作と呼ばれる理由が解ります。
ではこのお話の構成を基に「風立ちぬ」について考察してみましょう。
「風立ちぬ」のお話をハッピーエンドにするために必要なもの。
それは先程挙げた通り2つの出来事(主人公の選択・お話の分岐点)が必要となります。
1つ目は「カプローニ(タイプ5)」(アンチテーゼ)との「議論」と「直接の対決」。
2つ目は一人では結論の出ないテーゼとアンチテーゼの対決に向かって「本庄(タイプ3)」(主人公を導く者)と協調して戦う事。
宮崎監督は「風立ちぬ」の物語を当初二郎と本庄の「バディ物」にするつもりだったと鈴木プロデューサーは著書「天才の思考」の中で延べています。
このタッグが実現すれは物語は良い方向へと進むはずだったのですが、何故か「宮崎監督は途中から方針転換してしまった」事が本の中に書かれています。
実に不思議ですが今回はこの謎には深く立ち入りません。
【結論】
「風立ちぬ」をハッピーエンドのお話にするために
それは①カプローニから投げかけられた解決の糸口の掴めない問題に向かって、②バディである本庄と共に色々楽しんで 苦しんで 見て回って めでたしめでたしになるのがハッピーエンドのお話の流れとなるのでしょう。
いかがでしょうか?
なんとか結論が出て一安心。
しかし実はまだ考察すべき重要な要素が抜けています。
それはヒロイン里見 菜穂子の存在。
次回の考察では「風立ちぬ」を「里見 菜穂子(ヒロイン)をからめたハッピーエンドの展開になるようにするにはどうすればいいのか?」について考えていきます。
そのお話はFate/stay nightの第3のお話「間桐 桜ルート」で描かれています(まだ未検証ですが、私の直感は描かれているはずと言っていますので…)。
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
【連載の続きはこちら】
【宮崎監督作品関連記事はこちら】
gunber.hatenablog.com
【Fate関連記事はこちら】
【参考資料(兼オススメ本)】
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私のブログはほぼこの本に書かれている内容を元にしています。
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