「表の性格」と「裏の性格」獣の奏者エリン「エリン」について考察する　エニアグラム6ｗ5→1ｗ2

f:id:gunber:20200815081748j:plain 獣の奏者エリン OPより　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

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「エニアグラムの裏表」についての考察

アニメの中に登場する「裏表の性格の差」が激しいキャラクターを分析するこのシリーズ

今回取り上げるのは「獣の奏者エリン」の主人公エリン

大好きな作品の一つで、何回観直したか分かりません

このお話は異世界で暮らす一人の女の子エリンが主人公

物語は彼女の子供時代から始まり、数々の出来事を経験し大人へと成長していく様子が、50話に渡る壮大なスケールで見事に描かれている実に骨太な作品

あまりにこの作品の存在が大きく、今までブログで解説する事を躊躇していましたが、今回は頑張って分析をしていきたいと思います

【獣の奏者エリンあらすじ】

「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の地を舞台とするファンタジー巨編。運命に翻弄される少女・エリンを軸に人と獣の関わりを描く。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』より

【エリン】

f:id:gunber:20200815082300j:plain 獣の奏者エリン第8話「蜂飼いのジョウン」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

エニアグラムの性格には裏表があり、困難に追い詰められて「表の性格」では対処ができなくなった時に「裏の性格」が現れると言う仮説があります

【エニアグラムを知らない方はこちらから】

gunber.hatenablog.com

エニアグラムの「円周上の正反対の位置」にある性格が同一人物の性格の表裏と言う仮説ですが、これが不思議なことに意外とあっているのです

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エリンは性格の差が激しいキャラクター

彼女の性格の変化について

今回のブログではその変化の謎を解き明かしていきたいと思います

では早速解説を始めましょう

※ネタバレありです、ご注意を

エリンの「表」と「裏」の性格

まずはエリンの表と裏の性格について詳しく見ていきましょう

エリンの通常の姿は「自然を愛する内向的」な性格、しかし時折人が変わったかの様に「攻撃的」な性格へと変化します

性格が変わる前を「表」、変化後を「裏」として分析していきます

エリン（表）の性格はタイプ6ｗ5（守る人）

通常のエリンは心配性で依存性が高いお嬢様気質、タイプ6の性格

エリンは母と死に別れて気絶していた所を蜂飼いのジョウンに拾われ、そこで暮らす事になります

【ジョウン】

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f:id:gunber:20200815104317j:plain 獣の奏者エリン第9話「ハチミツとエリン」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

ナレーション：（ジョウンに優しい言葉をかけてもらっても　エリンの心は楽にはなりませんでした　エリンには家族でない人に　タダで甘える事が心苦しく思えてなりませんでした

もしここに置いてもらえなくなったら　お母さんを失ってもうどこにも居場所がないんだと言う心細さがエリンの胸に冷たく込み上げてきました）

f:id:gunber:20200815091952j:plain 獣の奏者エリン第9話「ハチミツとエリン」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

タイプ6は他のタイプに比べ人一倍心配性、孤独を恐れます

しかしその一方で向こう見ずな一面も併せ持っています

誰かの加護を求める為に、頼れる存在に対して順応性を高く発揮するが、一方で頼りにならない人物やシステムには強く反発する二面性を持っているのがタイプ6の特徴

そして、エリンは更にタイプ6の性格に加えて観察眼がするどく論理的なタイプ5の性格も持っています（6ｗ5）

エリン：「おじさん、それって匂い消しの為ですか？」

ジョウン：「な、何故そう思った？」

エリン：「その液を使うのは　何かの匂いを消して　大丈夫だよって教える為じゃないかなと思って…」

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ジョウン：「正解だぁ　こりゃあ驚いたなぁ…」

f:id:gunber:20200815111428j:plain 獣の奏者エリン第8話「蜂飼いのジョウン」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

【タイプ6】（堅実家）の特徴

こだわり＝「ルール・堅実・責任感」

肯定的な呼び方「絆の人タイプ」

否定的な呼び方「心配性の人タイプ」

・心配性で、不安に飲み込まれやすい

・実力を認める人にはいたって従順だが、実力の伴わない上司や体制には反抗的

・友情や絆を求めて積極的に行動する

・考え過ぎで右往左往する

・誠実

・状況に合わせて、自分自身の生き方を変えられる

・孤独が怖くて頼りになる人を探す

・勤勉で礼儀正しい

・人とは付き合い上手だが、自分との付き合い方は下手

・我慢強さが足りず、コントロール不足

更に細かく分析をするとタイプ6の中でもタイプ5寄りの性格6ｗ5（守る人：The Defender）となります

【6w5の特徴】

①「6ｗ7より独立的」

②「集めた知識を分析して活用する事が得意」

③「6ｗ7より感情的」

【6ｗ5と6ｗ7の見分け方に興味がある方はこちらの記事をどうぞ】

gunber.hatenablog.com

次に攻撃的な時の性格、「裏の性格」

エリン（裏）の性格はタイプ1ｗ2（擁護者）

エリンはジョウンと共に町へ出かけた時、兵隊に捕まった男の子とその母親に出会います

男の子は病弱の母の為に兵役を抜け出し薬を届けようとしていました

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引き離されようとする母と子の姿を見てエリンは思わず飛び出します

エリン：「待って、お母さんとのお別れくらい　ちゃんとさせてあげてください！」

f:id:gunber:20200815105543j:plain 獣の奏者エリン第10話「夜明けの鳥」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

真面目（タイプ1）で人を助けたい（タイプ2）性格、それがタイプ1ｗ2（擁護者）

1ｗ2は以下の特性を持っています

①「人類の行方をよりよいものとすることに純粋に関心をもっている」

②「自分が求める理想や改革のためにはかなり強く主張し、パワフルにもなり得る」

③「ｗ9より気性が激しく、行動的」

【タイプ1】（完璧主義者）の特徴

こだわり＝「完璧主義・理想・正義」

肯定的な呼び方「公正な人タイプ」

否定的な呼び方「堅苦しいタイプ」

・リラックス下手、怠け方が分からない

・神経質で几帳面

・公正・公平であろうとする

・約束や時間は守る

・シャイで人見知り

・自分の感情を素直に出せない

・気が小さくて臆病

・堅実で現実的

・人にも自分にも厳しい

・柔軟な考え方は苦手

更に細かく分析をするとタイプ1の中でもタイプ2寄りの性格1ｗ2（擁護者：The Advocate）となります

【1w2の特徴】

①「人類の行方をよりよいものとすることに純粋に関心をもっている」

②「自分が求める理想や改革のためにはかなり強く主張し、パワフルにもなり得る」

③「ｗ9より気性が激しく、行動的」

【1ｗ9と1ｗ2の見分け方に興味がある方はこちらの記事をどうぞ】

gunber.hatenablog.com

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タイプ6ｗ5と1ｗ2は上図の通り、エニアグラムの正反対の位置にあり、表と裏の関係にあります

表と裏の性格の違い、それぞれの性格の長所短所についてエニアグラム的に詳しく見ていきましょう

表と裏の性格、それぞれの得手不得手

エリン（表）（6ｗ5）の性格は基本的にシステムや信念の中に安心を得る一方、懐疑性を保つ（タイプ6）性格、それに加えて専門的な知識に秀でて（タイプ5）います

6ｗ5は目の前の問題に対処し行動する事は得意ですが、その行動の元となる「自分の行動原理」を考えるのはとても苦手な性格

ナレーション：（その中でエリンは母の言葉を思い出していました

「生き延びて幸せにお成りなさい」

何が幸せなのか　どう生きるべきか　まだ解りませんでした　

ただエリンは　まず生きてみようと思うのでした）

f:id:gunber:20200820072741j:plain 獣の奏者エリン第8話「蜂飼いのジョウン」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

表人格の時のエリンは「エリンの母親である獣ノ医術師のソヨン」や「蜂飼いのトーサナ・ジョウン」「カザルム学舎教導師長コルマ・エサル」等、頼れる実力者の庇護の元で自身の行動を定めています

しかし、時折そうした庇護がエリンを護れない状況が発生します

そんな時、エリンは自分自身で行動原理を見つけていかなくてはなりません

エリン（裏）（1ｗ2）の性格は基本的に理想や高次の原理（正義）を求める（タイプ1）タイプ、それに加えて情熱的で、人とつき合い、政治的なかかわりのギブ・アンド・テイクを楽しむ（タイプ2）性格

エリンの性格が変化した訳

エリンの本来の性格（表）であるタイプ6は他人に依存し行動する傾向があり、自分自身で自分の行動を決定するのは苦手

一方、変化後（裏）性格であるタイプ1は他人と行動するのは苦手な代わりに一人で自分自身の「正義」を作り出し、その正義を基準として自身の行動を決めていく事が得意です

エリンは庇護を受けられなくなった状況で「自分自身の行動原理を見つける為」に裏の人格であるタイプ1となったのだと分析します

エリンは母親と死に別れ、蜂飼いのジョウンの元で成長していきますが、次第に「自分自身」で物事を決めなくてはと言う想いが湧き上がっていきます

その大きなきっかけは山の中で王獣と出会った事

エリン：「…あれが　王獣」

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f:id:gunber:20200826074402j:plain 獣の奏者エリン第13話「王獣の谷」より　©上橋菜穂子・講談社／ＮＨＫ・ＮＥＰ

王獣の気高さ、美しさに魅せられたエリンは「自分の行動原理」を見つけるため、ジョウンの元を離れカザルム学舎に入舎し、獣の医術士の勉強をする事を決意します

エリン：「何故、獣の医術士に成りたいのか　自分はこの世に生きるものが　何故この様にあるのかを知りたいのです

生き物であれ　命無きものであれ　この世にあるものが何故　その様にあるのか　自分は不思議でなりません

私はミツバチを飼育していました　ミツバチひとつひとつはとても小さな生き物です

ですが、小さなミツバチ達は群れを作って生活を営み　子供を残すと言うことにおいて　信じられない位に効率が良い方法を取るのです

その一つが分蜂なのです

ハチを例に取りましたが　王獣や人間と言うものが　どうして存在するのか　そして　自分を含め　生き物は何故ここにあるのかを知りたいのです

獣について学ぶ事は　きっと自分が知りたいと思っている事について　繋がっているはずだと思うのです

私が獣の医術士に成りたい理由は以上です」