ヴァイオレット・エヴァーガーデン 第13話より ©暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のキャラクターをエニアグラム分析する連載第4回目、最終回です
「人の成長」と言うものはとても難しい
しかし人はお互いに助け合うことで成長できます
そんなヴァイオレットの成長について考察していきます
【連載第1回がまだの方はこちらからどうぞ】
(今回もネタバレありです、ご注意を!!)
ヴァイオレットが出会うキャラクター達
前回紹介した8人のキャラクター達
ヴァイオレットは彼ら・彼女らとの交流を通じて成長していきます
その様子をもう少し詳しく観ることで、ヴァイオレットがどんな順番で成長していったのかを分析していきます
第1話:「「愛してる」と自動手記人形」より
【クラウディア・ホッジンズ】
C.H郵便社の社長、ギルベルト少佐の上司であり友人
人生を楽しむ楽天家気質
エニアグラムでは【タイプ7】(楽天家)
こだわり=「楽しさ・夢・冒険」
ホッジンズ:「安心してよ…ヴァイオレットちゃん。俺はアイツから頼まれてきたんだ」
(第1話「「愛してる」と自動手記人形」より)
深刻な事情を分かりながら気楽な感じでヴァイオレットに声をかけるホッジンズ
タイプ7のよい所が感じられます
タイプ7はいつも目の前の何かに興味津々、人生を楽しもうとしています
第2話:「戻ってこない」より
【エリカ・ブラウン】
ヴァイオレットの先輩、C.H郵便社の自動手記人形
本好き、盲目の小説家・モリー・オーランドの小説に感動し、自動手記人形を志す
エニアグラムでは【タイプ5】(観察者)
こだわり=「知識・分析・倹約」
エリカ:「あの子と出会って実感した。忘れそうになってた自分の夢…埋もれてしまってた自分の気持ち
オーランド夫人が書いた小説が私の心を震わせたように…」
エリカ:「私もいつか…人の心を動かすような素敵な手紙を書きたい」
エリカは本が大好き、その感動を本の中だけではなく、自分自身で他人に伝えたい
ヴァイオレットと出会いエリカはそんな想いを思い出します
タイプ5の長所は「知識を大切にして学ぶこと」
ヴァイオレットはエリカとの触れ合いを通じて「学ぶ事」の大切さ、素晴らしさを勉強し身に着けていきます
第1段階の成長と合わせて「目の前の何かに興味を持ち、それを楽しみながら知識として学んでいく」
これが彼女(タイプ1)の第2段階の成長の姿です
第4話:
「君は道具ではなく、その名が似合う人になるんだ」より
【アイリス・カナリー】
ヴァイオレットの先輩、C.H郵便社の自動手記人形
がさつで大雑把な性格だが人情深い
失恋のショックで田舎から飛び出し自動手記人形になる
エニアグラムでは【タイプ8】(統率者)
こだわり=「力、戦い・義理人情」
エイモン「…ゴメン。幼馴染としか思えない」
アイリス「もう消えたくなっちゃった。ここに居たくなくなって…
文章を書くのなんて苦手だったのに…必死で勉強して、ライデンの町に出てドールになったわけよ…」
(第4話「君は道具でなく、その名が似合う人になるんだ」より)
アイリスはタイプ8
考えるより行動が先に立つタイプ
タイプ8の長所は「行動力」
アイリスはヴァイオレットと出会うことで、両親への感謝の気持ちを表すことができます
ヴァイオレットもまたアイリスからその行動力を学び成長していきます
ヴァイオレット:「私、良い手紙、書きました」
アイリス:「なんで片言なのよ?」
(第4話「君は道具でなく、その名が似合う人になるんだ」より)
これまでの成長と合わせると「目の前の何かに興味を持ち、それを楽しみながら知識として学び、学んだ事を現実に実行していく」
これがヴァイレットの第3段階の成長の姿です
第5話:「人を結ぶ手紙を書くのか?」より
ドロッセル王国王女、隣国の王子との政略結婚のため、公開恋文の作成をヴァイオレットに依頼する
我が強く負けず嫌いだが、他人には尽くすタイプ
エニアグラムでは【タイプ2】(献身家)
こだわり=「人助け・思いやり・慈愛」
ヴァイオレット:「恥じらって…いらっしゃるのでしょうか」
アルベルタ:「いいえ。あの泣き方はそういうものではありませんね。思い通りにいかない時に見せる泣き顔です」
シャルロッテ:「それで良いんです!それが良いんです。貴方が狩りに行くのなら、私も行きます!ドロッセルの王女を舐めないで下さい!どんな殿方にも嫁げるように教育されています。遠乗りなら私の方が速いわ!」
気が強く負けず嫌いだが、好きな人にはとことん尽くす、それがタイプ2
ヴァイオレットは彼女から「人に尽くすこと、人助け・思いやり・慈愛」の姿を学びます
これまでの成長と合わせると「目の前の何かに興味を持ち、それを楽しみながら知識として学び、学んだ事を現実に実行していく事で、人の役に立つ慈愛の心を育てていく」
これがヴァイオレットの第4段階の成長の姿となります
第6話:「どこかの星空の下で」より
【リオン・ステファノティス】
保存状態の悪い書物の写本をヴァイオレットと共に行う
夢見がちな芸術家タイプ
エニアグラムでは【タイプ4】(芸術家)
こだわり=「個性・ロマン・創造性」
ヴァイオレット:「最初は任務だと思っておりました。ですが、いろいろなお客様のもとでその想いを紡ぐ…
そして…時にこのような古い書物を書いた方の考えを受け取ってそれを書き記すというのはとても特別で…
素晴らしいことだと思えるようになりました
果たして…私はそのような素晴らしい仕事に相応しいのでしょうか」
ここまで順調に成長してきたヴァイオレットですが「自分とは何か?」に思い悩み始めます
ヴァイオレット:「私にとってあの方の存在はまるで世界そのもので…それが無くなるくらいなら私が死んだ方が良いのです」
リオン:「いや…驚いた。お前…そういうこと、言わなそうなのに」
ヴァイオレット:「そうなのでしょうか?」
リオン:「それじゃあまるで…まるで…そうか!お前そいつのことを愛して…」
リオンとの出会いでヴァイオレットは自分自身を振り返ります
タイプ4の長所は「個性を大切にする」こと
まだこのお話ではヴァイオレットは「自分自身が持つ個性」を見つける事はできません
しかし、そのヒントをリオンから得る事ができるのです
ヴァイオレット:「はい…見ています。素晴らしいです」
《その別離は悲劇に非ず。永遠の時流れる妖精の国にて、新たな器を授かりて、その魂は未来永劫護られるが故に…》
第7話:(タイトルなし)より
【オスカー・ウェブスター】
有名な劇作家。娘と妻の死によって酒浸りの生活を送っていたが、ヴァイオレットとの出会いで新作を完成させる事ができる
こちらも芸術家タイプ
エニアグラムでは【タイプ4】(芸術家)
こだわり=「個性・ロマン・創造性」
ヴァイオレット:「それでは…お芝居が完成しません!オリーブの物語が完結しません!
旦那様は…心になにか隠していらっしゃるのですか?
私には…それを汲み取る能力がなく…本当に申し訳ございません」
オスカーが心の中に隠しているもの
自分自身と向き合うのが怖く、彼は人里離れた別荘で一人酒浸りの日々を過ごしています
そんな彼の所に呼ばれるヴァイオレット
ヴァイオレットはオスカーとの交流の中で彼が恐れ逃げている「何か」を知る事になります
オスカー:「久しぶりの…娘の笑顔。穏やかで優しい日々…だが…
たった一筋の希望が…神は…どれだけ俺の大切な物を…」
ヴァイオレット:「大切な人と…別れるということは…
二度と…会えないということは…こんなにも寂しく…
こんなにも辛いことなのですね」
「愛する娘との死別」
それがオスカーを苦しめていたもの
しかしヴァイオレットとの出会いによってオスカーはその苦しみに向き合い、作品を完成させる事ができるのです
オスカー:「君は死んだ娘の…“いつかきっと”を叶えてくれた」
そしてこの出会いを通じてヴァイオレットもまた自分自身と向き合う事ができるようになります
それは今まで目を逸してきた自分自身の過去の行い
ディート:「多くの命を奪ったその手で…人を結ぶ手紙を書くのか」
ホッジンズ:「君は…自分がしてきたことで、どんどん身体に火が付いて…燃え上がっていることをまだ知らない」
ヴァイオレット:「私は…」
ホッジンズ:「燃えてるよ。いつか…俺が言ったことが分かる時が来る。そして初めて…自分がたくさん火傷している事に気付くんだ」
ヴァイオレット:「少佐…」
ギルベルト:「生きて…」
ヴァイオレット:「良いのですか…?」
ギルベルト:「自由になりなさい…」
ヴァイオレット:「武器として人を殺めてきた私が…それで良いのですか?
私は誰かの…“いつかきっと”を…奪ったのではないのですか?そして…その人達にも…愛する相手が居たのではないですか?」
《燃えていません》
「燃えています…」
《燃えていません》
「燃えています!自分がしてきたことで…どんどん身体に火が付いて、燃え上がっています!」
第8話:(タイトルなし)より
【ギルベルト・ブーゲンビリア】
ヴァイオレットの軍人時代の上官、ギルベルト少佐
言葉もしゃべれなかったヴァイオレットを引き取り見守る内に彼女を愛するようになる
エニアグラムでは【タイプ4】(芸術家)
こだわり=「個性・ロマン・創造性」
ギルベルト:「そうだ。なんでも欲しいものを言いなさい」
ヴァイオレット:「はい。少佐が命令されるのでしたら…」
ギルベルト:「命令じゃあ…ない。私が君に…感謝、したいんだ」
ヴァイオレット:「感謝…」
ギルベルト少佐とヴァイオレットの過去が描かれます
ヴァイオレット:「少佐。私は、なにを、欲しがるのが適切なのでしょう?」
ギルベルト:「そうだな…君くらいの女の子なら、ドレスや…アクセサリー」
ヴァイオレット:「はい。ドレスやアクセサリーを欲しがります」
そして屋台で売っている宝石に目が留まるヴァイオレット
ギルベルト:「どうした?」
ヴァイオレット:「少佐の瞳があります…
少佐の瞳と…同じ色です
これを見た時の――こういうのを…なんと、言うのでしょう?」
自分の欲しいものが分からない、自分自身が分からないヴァイオレットですが、その心の奥深くに「まだ言葉で表せない素直な気持ち」が芽生えてきます
第9話:「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」より
ヴァイオレットの成長を描く前半部分の最後のお話、第9話
ヴァイオレットは自分の中に隠されていた本当の自分と「出会う」ことができるのです
エニアグラムでは【タイプ1】(完璧主義)
こだわり=「完璧主義・理想・正義」
ようやく芽生え始めたヴァイオレットの素直な心
しかしギルベルト少佐はもうこの世にはいません
ヴァイオレットは少佐を失った悲しみと、過去に自分が行ってきた罪の両方に苦しめられます
ホッジンズ:「どうすれば良いかは自分で決めるしかない。燃え上がった身体と向き合って…受け入れた後も」
カトレア:「でも…あの子、少佐も…なにもかも無くしてしまったのよ?」
ホッジンズ:「大丈夫
無くしてないよ…なにも」
『少佐…少佐…私は…どうしたら…』
『命令を…命令を…下さい』
その苦しみからヴァイオレットを救ったのは同僚のエリカとアイリスからの一通の手紙
『それは…私が生まれて初めて貰った手紙です』
『手紙を貰う、と言うのは…とても…嬉しい事なのだと分かりました』
その手紙がきっかけでヴァイオレットは自動手記人形になってから出会った多くの人々の姿に目を向ける事ができます
エリカ・ルクリア・スペンサー・シャルロッテ・リオン・オスカー…
そこにはヴァイオレットと関わることで苦しみから逃れ、幸せを手にした人々の姿が
ヴァイオレット:「社長の仰る通り、私は…沢山の火傷をしていました――良いのでしょうか?
生きて…生きていて…良いのでしょうか?」
ホッジンズ:「してきた事は消せない…でも…
でも!君が自動手記人形としてやってきた事も…
消えないんだよ」
ヴァイオレットは悲しみ・喜び、その両方を感じるありのままの自分自身の姿を素直な気持ちを持って向き合う事ができるようになります
そして自分自身を見つけたヴァイオレットは目の前の現実を受け入れる事ができるようになるのです
「目の前の何かに興味を持ち、それを楽しみながら知識として学び、学んだ事を現実に実行して、人の役に立つ慈愛の心を持つ交流を周りと行う、人に対する互いの慈善の関わりの中で自分とは何か、自分らしさを見つける。自分らしさを確立する事で、ありのままの世界の現実を受け入れることができる」
これがヴァイオレットの第5~6段階の成長の姿となります
ヴァイオレットの成長
タイプ1:「現実的な所」
タイプ7:「何かに興味を持つ所」
タイプ5:「知識欲がある所」
タイプ8:「実際に行動し実行する所」
タイプ2:「人を助ける所」
タイプ4:「個性・自分をしっかりと持っている所」
タイプ1:「現実的な所」(1周して戻ってくる)
成長とは一歩一歩行うもの
人が成長する為には多くの段階を一歩一歩進んでいく必要があります
よくできたお話・ストーリーはそんな「人間の成長」の姿がしっかりと描かれています
人生に悩み立ち止まってしまった時、先人たちの残してくれた「物語」を読むことで、そこから成長のヒントが見つかるかもしれません
「物語」は過去から現在、未来へと受け継がれていく人類の財産だと思うのです
ヴァイオレットのエニアグラム分析はここまで
長い連載にお付き合いくださり、ありがとうございます
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
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