鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
その中でも人気を誇る「史上最大のロボット」をエニアグラム分析します
このお話は小さい時にドキドキワクワクしながら読みました
次々と現れる最強ロボットとの対決!
週間少年ジャンプに代表される「格闘対戦マンガ」の元祖とも言える作品です
この物語の構成をエニアグラムで分析してみると興味深い事が分かります
一緒に魅惑の手塚ワールドを探索しましょう
「史上最大のロボット」ストーリー
世界で一番強い7人のロボット
この7人を倒し世界の王者となる事
作られたばかりのロボット「プルートゥ」は主人にそう命令される
そして次々と7人のロボットに闘いを挑んでいく
その中に日本のアトムも含まれていた
登場ロボットの性格
プルートゥと闘うロボットは全部で8体
彼自身を含めて9タイプのロボットが登場します
各ロボットの性格をエニアグラムで表すとこうなりました
エニアグラムとは、自分本来の性格や思考、行動パターンを知ることができるツール
個人の特性を9つのタイプに分類して考える分析方法です
プルートゥ(タイプ9)
アブラー博士によって造られた100万馬力のロボット、頭に生える2本の角から強力な電磁波を出す
主人の命令のまま世界中の強力なロボットに対して闘いを挑むが、次第に自分の生き方に疑問を持つようになっていく
(こだわり=平和・安らぎ・マイペース)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
アトム (タイプ6)
10万馬力、7つの能力を持つ
プルートゥと闘うためにお茶の水博士に自分を100万馬力にして欲しいと頼むが断られる
後に天馬博士に100万馬力に改造されプルートゥとの勝負に挑む
(こだわり=「ルール・堅実・責任感」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
ボラー(タイプ3)
プルートゥが戦う最後の敵、ラスボス
世界最強の7人のロボットをはるかに超えるパワーを持つ
ゴジ博士によってプルートゥを倒す為だけに造られた200万馬力のロボット
知性は無いので、タイプ3とするのはおかしいのですが、この位置に入れました
その理由は後で解説します
(こだわり=「名誉・目標の達成・ステイタス」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
ゲジヒト(タイプ1)
ドイツのロボット刑事
超合金製のボディはプルートゥの攻撃も跳ね返す
刑事らしく真面目で正義感がある性格
(こだわり=「完璧主義・理想・正義」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
ブランド(タイプ2)
トルコのロボット力士 親友であるモンブランの仇を取るためにプルートゥを追ってきた 仲間思いの性格
(こだわり=「人助け・思いやり・慈愛」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
エプシロン(タイプ4)
オーストラリアの孤児院の先生ロボット
闘いは嫌いだが、プルートゥに「いままでで一番手ごわいやつかもしれん」と言わせる力を持つ
他のロボットが「原子力」を動力としているのに対してエプシロンのみ「光」をエネルギーとする個性的なロボット
(こだわり=「個性・ロマン・創造性」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
ノース2号(タイプ5)
スコットランドの執事ロボット 6本の腕を持つ
分析が得意、プルートゥが近づくのを事前に察知し、主人の博士に闘う許可をもらう
(こだわり=「知識・分析・倹約」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
モンブラン(タイプ7)
スイスの山岳案内用ロボット 13万5000馬力 明るく楽天的な性格
物語開始早々プルートゥに破壊されてしまう
(こだわり=「楽しさ・夢・冒険」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
ヘラクレス(タイプ8)
ギリシャの戦闘用ロボット 誇り高い戦士
強力な盾と槍を武器に持つ
(こだわり=「力、戦い・義理人情」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
プルートゥの成長
主人公はプルートゥ(タイプ9)
このお話は「自分の意思が無く主人の命令のままに生きていたプルートゥが、自分自身の判断基準を持って動く事ができる様になる」と言うお話
ストーリーの中で、プルートゥは「2段階の成長」をします
キーとなるキャラクターは「アトム」とその妹「ウラン」
ウラン(タイプ3)
アトムの妹 アトムと同じく10万馬力だが、7つの能力は持っていない
感情的になって後先考えず行動してしまい大きな事件に発展する事が多い
(こだわり=「名誉・目標の達成・ステイタス」)
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
彼女の存在がプルートゥに大きな影響を与え、話は進みます
「青の矢印」がプルートゥの成長方向
エニアグラムを見ると「人の成長方向」が分かります
人はこの順番に従って成長していくと言うのがエニアグラムの考え方
プルートゥもこの順番に従って成長していきます
その成長を追ってみましょう
【最初のプルートゥ】
主人の命令に従い、「自分の意思を持たず」本能まま闘うプルートゥ
ノース2号との闘いの前にこう言います
プルートゥ:「おれはきみに
なんのうらみもないが
主人に命令されたのだ
おれは命令にしたがわなければ
ならないのでね」
【第1段階の成長】
アトムに決闘の申し込みをするプルートゥ
しかし決闘場所に来たのはアトムの妹ウラン
彼女は戦おうとしない兄に苛立ち、身代わりとしてやってきたのです
プルートゥの心はウランに出会う事で変化していきます
次第に彼女に心が惹かれていく自分に気付くプルートゥ
アトムとの闘いの前にしてプルートゥはこう言います
プルートゥ:「アトム ひとつ聞きたいことがある
おまえの妹のウランはどうしてる?」
アトム:「どうしてそんなことが気になるんだっ」
プルートゥ:「いや・・・・べつだん なんでもないが・・・・ただ・・・・
ただおまえがこわれたらウランがさぞ
悲しむだとうなと思ってな」
主人の命令通り、自分の意思を持たずロボットを壊していたプルートゥが「他人(ウラン)の感情」を大切にする事で、自分の行動に疑問を持ち始めます
「自分の意思を持たず周りの環境に流されるまま本能のみで動くタイプ9が他人の感情を大切にする心を学ぶ」
これが第一段階の成長
しかし、その感情はウランだけにむけられているもの
思い入れのない赤の他人の感情は理解できません
孤児院の先生イプシロンとの闘いの後、破壊されたイプシロンの前で泣き叫ぶ子供に目もくれず、平然と去っていきます
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
【第2段階の成長】
アトムとの最終決戦
決闘場所は火山の火口
100万馬力同士、強力なパワーを持つ二人の決闘により火山が活性化
噴火の危機が訪れます
このままではふもとの街に大きな被害が出てしまう!
噴火を抑える為に火口を岩で塞ごうとするアトム
しかしプルートゥは動きません
アトムはプルートゥに叫びます
アトム「プルートゥ、どうしてつったってるんだ
この危機がわからないのかっ」
プルートゥ「おれはただ決闘をするためにつくられたんだ」
アトム「それでもロボットとしてつくられたのかっ なんのために生まれてきたんだ」
アトムの行動に心を動かされたプルートゥは共に火山の噴火を阻止する為に岩を運び、無事噴火を抑える事ができるます
プルートゥ「ア、アトム おれは生まれてはじめてこんなことをした・・・」
アトム「いいんだよ それでいんだよプルートゥ」
鉄腕アトム13巻「史上最大のロボット」より ©TEZUKA PRODUCTIONS
「眼の前の個人に対する感情を知らない人々にも広げる思考の力を学ぶ」
これが第二段階の成長
プルートゥは思考・感情・本能の3つの力によって自分の意思・行動を決定できるように成長したのです
火山の噴火を阻止した後、プルートゥは主人の命令に反してアトムとの決闘を断ります
しかし、最後は200万馬力のボラーとの闘いでボラーと共にプルートゥは破壊されてしまうのです
まとめ
ボラーがタイプ3らしくなかった理由は「ウラン」の存在に注目して欲しかったから
「プルートゥとウランの関係をしっかりと読者に見せる為」にウランと同じタイプ3のボラーは敢えて「知能を持たないロボット」に設定したのだと思います
知性を持たせない事でタイプ3の特徴である「目標の達成(プルートゥを破壊する)」と言う所だけがクローズアップされて、不気味なキャラクターとして良い味になっています
お話の最後はアトムとお茶の水博士の言葉でこう締めくくられています
アトム:「ねえ博士 どうして ロボット同士
うらみもないのに戦うんでしょう」
お茶の水博士:「さあね わしにもよくわからんが
人間がそうしむけるのかもしれんな」
アトム:「ぼく・・・・いまにきっとロボット同士仲よくけんかなんかしないような時代になると思いますよ きっと・・・」
このセリフを「ロボット→人間」「人間→神さま・業・運命」と読み替えると面白く感じます
『人間自体の存在は悪くない、しかし人間を超える神さま(業・運命)が人間同士を戦わせているのかもしれない』
人間は何の疑問も持たず、「本能」に流されるまま生きるのではなく、「感情」と「思考」によって自分の意思で正しい行動をしていけるよう成長する事で、戦いの無い平和な世界が来ると私は信じている
この作品を読んで手塚治虫先生からのそういうメッセージを感じました
今回はここまで
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!