タクト・オーパス 第5話より ©DeNA／タクトオーパスフィルハーモニック
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです。
2021年秋アニメは豊作だらけで嬉しい悲鳴を上げながら毎週大量のアニメを視聴していました。
今回解説するのは「86-エイティシックス-」と「takt op.Destiny」。
この2つの物語は同じストーリー構成で、その流れは「Fate/stay nightの”セイバールート”」と同じパターン。見ててとても興味深かったです。詳しく解説していきましょう。
- 物語の人物関係
- 物語の目的
- 86-エイティシックス-のお話
- takt op.Destinyのお話
- Fate/stay night”セイバールート”のお話
- お話の結末の共通点
- おまけ
- 4つの物語のヒロインの共通点
物語の人物関係
「86-エイティシックス-」と「takt op.Destiny」は共に9ｗ1（夢見る人）が主人公。お話の基本構成は以下の様になっています。
★物語の黄金パターン：「人物関係」
タイプ9が主人公（テーゼ）
タイプ5が裏の主人公（アンチテーゼ）
タイプ3が主人公を導く者（師匠・宿敵・パートナー）
タイプ6が主人公の憧れ（親友・ヒロイン・救い出すもの・守るもの）
主人公（9ｗ1）：シンエイ・ノウゼン
裏の主人公（5ｗ4）：
ショーレイ・ノウゼン（1クール目）※主人公の兄
エルンスト・ツィマーマン（2クール目）※大統領
主人公を導く者（タイプ3）：
ライデン（1、2クール目）
フレデリカ（2クール目）※幼い女帝
主人公の憧れ（タイプ6）：
ヴラディレーナ・ミリーゼ（1クール目）
キリヤ・ノウゼン（2クール目）※フレデリカの元騎士
【takt op.Destiny】
主人公（9ｗ1）：朝雛 タクト
裏の主人公（5ｗ4）：シントラー※主席指揮官
主人公を導く者（タイプ3）：アンナ
主人公の憧れ（タイプ6）：コゼット／ザーガン※グランドマエストロ
【物語の黄金パターンについての詳しい解説はこちらで確認してください】
物語の目的
9ｗ1が主人公の「お話の黄金パターン」は一言でいうと「ヒロインを助け出す（守る）」事が目的。それができればハッピーエンド、できなければ悲劇のお話となります。
【ヒロイン（タイプ6）の基本設定】
①彼女たちは実に心配性で、常に「より大きなもの（頼れる個人や国家・名門の家等の組織、又はルール）」の元で守られる事を欲している。
②しかし、主人公と出会う前のヒロインはその頼れる存在が危うい状態。
③全体のお話は、頼れる存在が無く不安定な状態のヒロインに主人公が安定を与える流れとなっている。
※上の文では「彼女」と書いていますが、ヒロインは「男」でもいいですし、物語によっては「人ですらない」ケースもあります。
ヒロインについて詳しく知りたい方は下の記事をどうぞ。
86-エイティシックス-のお話
主人公シンの「大きなお話」は「ヒロインであるレーナを助け出す」事が目的。
しかし今期放映された第2クールはその途中の「小さなお話」、この小さなお話のヒロイン役はキリヤとなります。
果たしてシン（主人公）はキリヤ（ヒロイン）を無事助ける事ができるのでしょうか？
【キリヤ】（タイプ6）
86-エイティシックス- 第19話より ©2020 安里アサト/KADOKAWA/Projest.86
キリヤ（タイプ6：ヒロイン）は実に心配性で、常に「より大きなもの（頼れる個人や国家・名門の家等の組織、又はルール）」の元で守られる事を欲しています。その為、幼い女帝フレデリカに仕える騎士として全力を尽くしていました。
タイプ6はリソの本では”The Loyalist”【ロイヤリスト：忠臣】、主人に対する忠誠心の塊の性格。
しかし、主人公と出会う前のキリヤはその頼れる存在（フレデリカ）を失った（と信じている）状態。
全体のお話は、頼れる存在が無く不安定な状態のキリヤ（ヒロイン）に主人公が「安定を与えられるかどうか」と言う流れとなっています。
takt op.Destinyのお話
主人公タクトの「大きなお話」は「ヒロインであるコゼットを助け出す」事が目的。
しかし第1クールはその途中の「小さなお話」、このお話のヒロイン役はザーガンとなります。
タクト（主人公）がザーガン（ヒロイン）を助ける事ができればハッピーエンド、出来なければ悲劇のお話となります。
【ザーガン】（タイプ6）
ザーガンもキリヤと同じくタイプ6。実に心配性で、常に「より大きなもの（頼れる個人や国家・名門の家等の組織、又はルール）」の元で守られる事を欲しています。
ザーガンはニューヨーク・シンフォニカと言う組織に忠誠を誓いその最高責任者まで昇り詰めました。
しかし、主人公と出会う前のザーガンはD2との闘いでニューヨーク・シンフォニカの無力さを実感しており、何もかも信じられなくなっている状態でした。
全体のお話は、頼れる存在が無く不安定な状態のザーガン（ヒロイン）に主人公が「安定を与えるかどうか」と言う流れとなっています。
この2つの物語はFate/stay night”セイバールート”のお話と同じ結末を迎えます。こちらのお話構成も確認してみましょう。
Fate/stay night”セイバールート”のお話
主人公衛宮 士郎の「大きなお話」は「ヒロインである桜を助け出す」事が目的。
しかし”セイバールート”はその途中の「小さなお話」、このお話のヒロイン役はセイバーとなります。
【セイバー】（タイプ6）
Fate/stay night 第4話より © TYPE-MOON All Rights Reserved.
セイバーは実に心配性で、常に「より大きなもの（頼れる個人や国家・名門の家等の組織、又はルール）」の元で守られる事を欲しています。
セイバーは過去に英雄として祖国に対する忠誠心を抱きながら戦いを続けてきました。
しかし、主人公と出会う前のセイバーはその戦いに疑問を抱き、何を信じていいのか解らなくなっています。
全体のお話は、頼れる存在が無く不安定な状態のセイバー（ヒロイン）に主人公が「安定を与えられるかどうか」と言う流れとなっています。
お話の結末の共通点
これら3つのお話は共に「ヒロインを助け出す事ができない」バットエンディングのストーリーと言う共通点があります。
フレデリカ：「さらばじゃ…」
86-エイティシックス- 第21話より ©2020 安里アサト/KADOKAWA/Projest.86
【takt op.Destiny】
ザーガン：「彼に喝さいを 我が喜劇は終わった…」
【Fate/stay night”セイバールート”】
セイバー：「ベディヴィエール 今度の眠りは 少し…長く…」
Fate/stay night 第24話より © TYPE-MOON All Rights Reserved.
主人公はなぜヒロインを助け出す事ができなかったのでしょうか？
その原因は「主人公（シン）（タクト）」が「裏の主人公（ショーレイ・ノウゼン、エルンスト大統領）（シントラー）」と分かり合えないまま「ヒロイン（キリヤ）（ザーガン）を救い出す最終決戦」に挑んでしまったから。
Fate/stay night”桜ルート [Heaven's Feel]”では、桜（ヒロイン）を救い出す最後の戦いに士郎（主人公）は1人ではなく、3人（タイプ9・5・3）で協力して立ち向かいます。
これがハッピーエンド（トゥルーエンド）に繋がる為の必要条件。その結果、士郎（主人公）は桜（ヒロイン）を助け出しハッピーエンドを迎える事ができています。
イリア：「それじゃあ行くのね…凛（タイプ3）、ライダー（タイプ5）、士郎（タイプ9）…」
劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel]Ⅲより ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON
主人公一人ではヒロインを助け出す事はできません。
主人公（タイプ9）がヒロイン（タイプ6）を助け出す為には「主人公を導く者（タイプ3）」「裏の主人公（タイプ5）」の3人（タイプ9・3・5）で力を合わせて「ヒロイン（タイプ6）」を救い出す流れが必要なのです。
【正確に言うと「最後の戦いで3人が揃う事」はヒロインを助け出す為の「4つの条件」の中の1つとなります。他の3つの条件が気になる方はこちらの記事をご覧ください】
今回はここまで…にしようかと思ってましたが、おまけにもう1作品の紹介をしましょう。その作品とは「王様ランキング」。
王様ランキング 第1話より © 十日草輔・KADOKAWA刊／アニメ「王様ランキング」製作委員会
おまけ
上で紹介した作品とは異なり「王様ランキング（第1クール）」はハッピーエンドの流れで物語が進んでいます。
【王様ランキング】
主人公（9ｗ1）：ボッジ
裏の主人公（5ｗ4）：カゲ
主人公を導く者（タイプ3）：ヒリング王妃・ダイダ
主人公の憧れ（タイプ6）：ミランジョ
主人公ボッジのお話は「ヒロインであるミランジョを助け出す（＝王国を救う）」事が目的。
【ミランジョ】（タイプ6）
王様ランキング 第9より © 十日草輔・KADOKAWA刊／アニメ「王様ランキング」製作委員会
ミランジョは実に心配性で、常に「より大きなもの（頼れる個人や国家・名門の家等の組織、又はルール）」の元で守られる事を欲しています。
ミランジョはボッス王の元で守られていました。
しかし王は病気にかかり遂には死亡してしまいます。主人公と出会う前のミランジョは頼れる存在を失っている状態。
全体のお話は、頼れる存在が無く不安定な状態のミランジョ（ヒロイン）に主人公が「安定を与えられるかどうか」と言う流れとなっています。
王様ランキングの第1シーズン最後は、主人公のボッジが「ヒリング・ダイダ：主人公を導く者（タイプ3）」に導かれ、「カゲ：裏の主人公（タイプ5）」と分かり合い、3人（タイプ3が2人なので4人になりますが）で力を合わせて「ミランジョ：ヒロイン（タイプ6）」を救い出そうと決意を固める展開。
※正確には「ボッジはヒリング王妃を助け出そう」とし、「ヒリング王妃はダイダ」を、「ダイダはミランジョを助けよう」とする流れ。（助けようとする対象：ボッジ→ヒリング→ダイダ→ミランジョ）その為、それぞれの想いが最終的に力を合わせ「ミランジョを助け出す」お話になると予想されます。
ダイダ：「必ずここから連れ出してやるぞ ミランジョ 心配するな」
ヒリング：「待っていてダイダ…」
冥府の騎士：「さあ 先を急ぎます」
ボッジ：「うん！」
王様ランキング 第11より © 十日草輔・KADOKAWA刊／アニメ「王様ランキング」製作委員会
王様ランキングはボッジ（主人公：タイプ9）・カゲ（裏の主人公：タイプ5）・ヒリング・ダイダ（共にタイプ3：主人公を導く者）が力を合わせてミランジョ（ヒロイン：タイプ6）を救い出す為に最後の戦いへと出陣すると言う「ハッピーエンドに向けて進む綺麗な流れ」で進んでいます。
おまけが長くなりますが、興が乗ってきたので、もう少しだけ分析を続けましょう。
4つの物語のヒロインの共通点
4つの物語のヒロイン役（キリヤ・ザーガン・桜・ミランジョ）には共通点があります。
それは「ヒロインが大きな罪を犯している事」。
凛：「人殺しにはもう慣れた？」
桜：「ええ、アサシンもおじいさまも もういません」
劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel]Ⅲより ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON
ヒロイン（キリヤ・ザーガン・桜・ミランジョ）は主人公（シン・タクト・士郎・ボッジ）によって物理的な状態から助け出されるだけではなく、精神的に抱える苦しみ（罪）から救われる必要があります。
そして主人公にはヒロインの抱える「罪」を受け入れるだけの「大きな器と実力」が必要となるのです。
劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel]Ⅲより ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON
士郎：「帰ろう桜 そんな奴とは縁を切れ」
劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel]Ⅲより ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON
「86-エイティシックス-（2クール目）」「takt op.Destiny（1クール目）」「Fate/stay night”セイバールート”」は主人公がヒロイン（キリヤ・ザーガン）を助け出す為の条件を揃える事ができなかったバッドエンドのお話。
「Fate/stay night”桜ルート”」「王様ランキング（おそらく）」は主人公がヒロイン（桜・ミランジョ）を助け出す為の条件を満たすハッピーエンドのお話となります。
「86-エイティシックス-」も「takt op.Destiny」まだ物語の途中。今後「主人公」と「裏の主人公」とが理解し合い、条件を整えて最終的にはハッピーエンドのヒロイン（レーナ・コゼット）を救い出すお話になる事を強く望みます。
【86-エイティシックス-：今後のお話】
「86-エイティシックス-」はまだ先が見えませんが、キーキャラクターはフレデリカ（タイプ3：主人公を導く者）と大統領（タイプ5：裏の主人公）の2人。
86-エイティシックス- 第12話より ©2020 安里アサト/KADOKAWA/Projest.86
シン（タイプ9：主人公）がこの2人と心を通じ合い、対等な存在としてお互いを認める事で「3人が協力し共に成長する事でレーナ（タイプ6：ヒロイン）を救い出す実力が得られる」かどうかが「物語がハッピーエンドになるか、ほろ苦いバッドエンドになるか」の境目があると分析します。
【2022年1月8日補足】
シンにとっての「裏の主人公」は大統領以外にもう一人いる事を失念していました。そのキャラクターはアンリエッタ・ペンローズ。
86-エイティシックス- 第1話より ©2020 安里アサト/KADOKAWA/Projest.86
レーナを救い出す為にシン（主人公）とアンリエッタ（裏の主人公）が共に手を取り合って戦う姿はなかなか燃える展開。それにしてもこの2人（シンとアンリエッタ）、最初はめっちゃ気が合わなさそうですね。
【takt op.Destiny：今後のお話】
「takt op.Destiny」は第1シーズン最終回でアンナ（タイプ3：主人公を導く者）がコンダクターとなり、3人（タクト・アンナ・シントラー）が協力して「コゼットを救い出す為の最終決戦」に向かう為の準備が少しずつ進んでいます。
巨人（タイタン）：「でもまさかアンナたんまでシンフォニカに入っちゃうなんて…」
後はタクトとシントラーが和解できるかどうか。
まずアンナがシントラーと苦難を共にする事でお互いの存在を認め合い、その後、アンナ（タイプ：主人公を導く者）がタクト（主人公）とシントラー（裏の主人公）の関係を結びつける「導き手」となるのがよく見られる「王道パターン」となるのですが、果たしてどんな展開が用意されているのでしょうか。これからのお話がとても楽しみです。
凛：「桜 幸せ？」
桜：「………はい」
劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel]Ⅲより ©TYPE-MOON・ufotable・FSNPC ©TYPE-MOON
ハッピーエンドのお話が見たいなぁ…。
今回はここまで。
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います。
疑問点などありましたら是非教えてください。
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います。
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように！
【裏の主人公について】
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