かげきしょうじょ!! 第5話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです。
今回は「かげきしょうじょ」に登場する主人公 奈良田 愛についてエニアグラム分析を行います。
「かげきしょうじょ」は未婚女性達のみで構成されている「紅華歌劇団」のメンバー育成を目的とした「紅華歌劇音楽学校」に通う女の子たちの物語。
本作のメイン主人公の一人が奈良田 愛。
前回のブログでは愛のタイプが分からなかったので、頑張って考察を進めてみました。
【前回のブログ：渡辺さらさと星野 薫の分析】
かげきしょうじょは渡辺 さらさ・奈良田 愛・星野 薫・杉本紗和・沢田千夏と沢田千秋・山田彩子、7人の主人公が織りなすお話。その中でも中心となるのが渡辺さらさと奈良田 愛の2人。
今回、愛のエニアグラム分析をする事で改めてかげきしょうじょ全体の複雑な人物関係に驚かされました。その魅力の秘密を微力ながらお伝えしていきたいと思います。
奈良田 愛の性格
【表の性格】6ｗ5（守る人）：基本的にシステムや信念の中に安心を得る一方、懐疑性を保つ（タイプ6）性格、それに加えて専門的な知識に秀でて（タイプ5）います。
【裏の性格】1ｗ2（擁護者）：基本的に理想や高次の原理（正義）を求める（タイプ1）タイプ、それに加えて情熱的で、人とつき合い、政治的なかかわりのギブ・アンド・テイクを楽しむ（タイプ2）性格。
愛のお話
タイプ6ｗ5が主人公のお話・世界観は以下のパターンとなっています。
6ｗ5：「現実の物質」を守っていた主人公が「それを守るべき理由」を見つけ出す。
このパターンを踏まえて検証を進めていきます。
タイプ6ｗ5【主人公】：奈良田 愛（ならた あい）
タイプ1ｗ2【裏の主人公】：?
タイプ9【主人公の成長方向】：奈良田 太一（ならた たいち）・山田 彩子（やまだ あやこ）
タイプ3【主人公の憧れ方向】：奈良田 君子（ならた きみこ）・星野 薫（ほしの かおる）・渡辺 さらさ（裏）
主人公の目的・テーマ：「平穏な暮らしを守りたい」
【主人公】（役割：テーゼ）
【裏の主人公】（役割：アンチテーゼ）
【主人公の成長方向】（役割：主人公を導く者）
【主人公の憧れ】（役割：主人公の目標、目的・助け出すべき者：ヒロイン・攻略すべき者：宿敵）
愛の性格はタイプ6ｗ5（守る人）。
6w5が主人公のお話は共通して以下の世界観に従ってストーリーが進みます。
「現実の物質」を守っていた主人公が「それを守るべき理由（理想の世界）」を見つけ出そうとする。
愛は母の愛人から性的虐待（ディープキス）を受けた事がきっかけで男性不信となっており、男性の居ない紅華歌劇音楽学校に自分の居場所を見つけようとしていました。
愛：「男の人の匂いがしない 落ち着く… これでやっと安心できる暮らしが始まる」
かげきしょうじょ!! 第1話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
しかし愛は寮で同室となったさらさに拒否反応を示します。
愛：「部屋を変えて欲しいんです」
寮母：「奈良田さん それはダメよ ここでは誰も特別扱いしません」
かげきしょうじょ!! 第6話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
嫌々始まったさらさとの生活でしたが、愛は徐々にさらさの人柄に惚れていきます。
愛：「あの星 一番高く大きく輝く星 あれは渡辺さらさ あの人はあそこへ行くべき人だ 私もそこへ 同じ高さで あの世界を見たい」
愛は安心して過ごせる生活を望み守ろうとしていました。しかし愛の生活は満たされず、感情を殺し一人の世界に閉じこもっていました。
そんな彼女が「心が休まる暮らし」を手に入れる為に他人との理想的な関係を築き上げようとする。
愛：「あの…私 渡辺さんとお友達になりたいの」
かげきしょうじょ!! 第5話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
6ｗ5のお話：「現実の物質（暮らし）」を守っていた主人公が「それを守るべき理由（理想の世界）」を見つけ出そうとする。
愛の物語は6ｗ5の基本的なストーリーラインに従った展開となっています。
さらさ：「よかった さらさの永遠の片思いじゃなかったんですね さらさはずっと 愛ちゃんと初めて会った時からずっとずっと お友達になりたいと思ってたんです」
かげきしょうじょ!! 第5話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
しかし「現実の世界を守る（テーゼ）」事と「理想の世界を追求する（アンチテーゼ）」事は相反するもの。そのままではこの２つを同時に満たす事はできません。真に心の平穏を得る為には愛が成長し「現実と理想」を同時に満たす方法（ジンテーゼ）を見つけ出す事が必要なのです。
主人公の「成長方向」と「憧れ方向」
愛が成長する為には「主人公を導く者」の存在が不可欠となります。
タイプ6（愛）の成長方向（役割：主人公を導く者）はタイプ9（奈良田 太一・山田彩子）。
奈良田 太一（ならた たいち）（タイプ9：調停者）
かげきしょうじょ!! 第3話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
奈良田 太一は紅華女学院のバレエ講師。
愛：「あの人 無理やり私の視界に入ってくるから目障りなのよ イラっとする」
奈良田 太一：「違うよ それはきっと 愛の目が渡辺さんを追っているんだ」
かげきしょうじょ!! 第3話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
太一は愛（主人公）をやさしく導く存在として描かれています。
愛にはもう一人「導く存在（タイプ9）」が登場しています。それはあいと同じくジュリエット役を目指している山田 彩子。
山田 彩子（やまだ あやこ）（タイプ9：調停者）
かげきしょうじょ!! 第12話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
山田 彩子は温厚でおっとりした性格。しかし抜群の歌唱力によって「歴代屈指のエトワールになれる」と声楽担当の小野寺先生から強い支持を受けています。
小野寺先生：「私の眼は間違っていなかった…」
かげきしょうじょ!! 第12話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
彼女の歌声を聞いた愛は彩子にライバル宣言をします。
愛：「さすが ライバルね」
かげきしょうじょ!! 第12話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
物語の中では愛が太一、彩子の2人に導かれ成長していく姿が描かれています。
「主人公を導く者」と並んで主人公の成長にとってもう一つの大切な存在、それが「主人公の憧れ」。
アニメを見返すと愛の憧れ方向（タイプ3）には奈良田 君子・星野 薫・渡辺 さらさ（裏）の3人のキャラクターが確認できます。
奈良田 君子（タイプ3：達成者）
かげきしょうじょ!! 第10話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
君子は愛の母親であり映画女優。母である事より女優である事を選んでおり、愛にとって母親としては失格でも女優としては大きな影響力（憧れ）を与えています。
愛：「大切なのはいかに役に寄り添えるか 個性とは役者本人からにじみ出るもの」
さらさ：「ああーっ 金言頂きました」
愛：「私も人に教えてもらったの」
かげきしょうじょ!! 第11話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
愛の周りのもう一人タイプ3（愛の憧れ方向）のキャラクター、それは星野 薫。
かげきしょうじょ!! 第1話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
薫もタイプ3ですが、現在の所、愛と薫が直接深い関係が描かれてるエピソードは見当たりません。今後の展開が気になります。
そして何と言っても愛の「憧れ」としての大きな存在となるのが渡辺 さらさ。さらさの表の性格はタイプ7（楽天家）ですが、その裏の性格はタイプ3。愛は最初「楽天家」のさらさを毛嫌いしていましたが、時折見せるさらさの裏の性格「3ｗ2：魅了する人」の姿に強く心が惹かれていきます。
愛：「あの星 一番高く大きく輝く星 あれは渡辺さらさ あの人はあそこへ行くべき人だ 私もそこへ 同じ高さで あの世界を見たい」
かげきしょうじょ!! 第5話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
愛がさらさと君子に憧れて成長しようとする様子がアニメでは描かれています。
裏の主人公
愛の裏の主人公はタイプ1ｗ2となりますが、見渡す限りそれらしいキャラクターは見当たりません。強いて言えば愛自身が最初タイプ1ｗ2の性格そのもので描かれています。自分自身が裏の主人公の位置にいるのかもしれません。
裏の主人公の役割は主人公に対するアンチテーゼ。
主人公（愛）のテーゼは「現実の世界（平穏な世界）を守る」事
対するアンチテーゼは「理想の世界を追求する」事。
愛は自らが裏の性格（1ｗ2）となる事で自分にとっての「理想の世界」を見つけ出そうとしています。
（※「Fate/stay night」の衛宮 士郎とアーチャーや「物語シリーズ」の阿良々木 暦と忍野 扇の様に「自分自身が裏の主人公」として物語の中に配置されているケースは多く見受けられます）
おまけ：主人公「最初」のライバル
この記事を書いている時点で、アニメは第1期（13話）が終了した所。物語の中で奈良田 愛がジュリエット役を競い合うライバルは愛（タイプ6）の成長方向（タイプ9）の山田 彩子。
一方、渡辺 さらさとティボルト役を競い合うライバルはさらさ（タイプ7）の成長方向（タイプ5）の杉本 紗和。
かげきしょうじょ!! 第12話より © 斉木久美子・白泉社／「かげきしょうじょ!!」製作委員会
物語の分析をすると2人のメイン主人公が最初に対決するライバルが共に成長方向である「導く者」である事が判明。計算され尽くされた物語の構成がとても印象的でした。
今回、愛の分析を進める事で私の中でかげきしょうじょの人物関係がすっきりしてきました。多くの主人公が登場していますがどの人物も物語全体において必要不可欠な位置に配置されていて驚くばかり。
「かげきしょうじょ」は2021年夏アニメの中で「小林さんちのメイドラゴンS」と並んで超お気に入りの作品。今回のブログを書くことでその魅力の秘密が少し解ったような気がしました。
今回はここまで。
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います。
疑問点などありましたら是非教えてください。
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います。
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように！
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