がんべあの「ぶれない」キャラクター&ストーリーの作り方

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物語の書き方 ストーリー構成を学ぼう アニメ「千と千尋の神隠し」を13フェイズで分析する②

f:id:gunber:20200914095910j:plain千と千尋の神隠し より ©「千と千尋の神隠し」製作委員会

 

こんにちは

みんなと一緒に幸せになりたい

がんべあです

 

 宮崎駿監督作品「千と千尋の神隠し」の13フェイズ解説、第2回目

 

前回、本編の「決意」フェイズ自体が「一つの完結したお話」になっているとの解説を行いました

 

本編が大きなお話だとすると、決意フェイズのそれは小さなお話

今回はその小さなお話を詳しく解説していきます

 

 【前回の解説はこちらから】

gunber.hatenablog.com

 

※物語は人によって千差万別な捉え方ができると思っています、このブログはあくまで私の目から見た意見ですのでご了承下さい

   

※「」と

OO:「OOO

は引用部分 引用はアニメ「千と千尋の神隠し」から

 

 ※ネタバレありです、ご注意を

千と千尋の神隠し」決意フェイズのお話

 

「決意フェイズ」(小さなお話のテーマは「一人で生きていく決心をする事」

 

千尋はどのようにその「決心」をしていくのでしょうか?

 

千尋の決心」を後押しするその過程は千尋「行動」によって彼女「プライド」「自信」に変化、成長していくと言う流れで描かれています

 

「プライド」「自信」は根本は同じもの

よく似てはいますが、大きな違いもあります

 

それは「自信」には「実績」が必要なのに対して、「プライド」は「実績」を必要としない事

 

物語の最初、千尋には何の実績もありません

自信が無いのは当たり前

 

しかし千尋は小さなプライドを持っていました

自分自身でも気付かなかった彼女の中に小さく隠れていたプライド

両親の庇護の元、緊張感の欠片もない日常生活ではそのプライドは表に出る機会はありませんでした

 

しかし異世界に迷い込み状況は変化します

 

あさましくご馳走にむしゃぶりつく両親の姿に嫌悪感を持った千尋は両親の元を離れ、一人別行動をする事になります

 

物語の主人公を描くにあたってプライドはとても大切

なぜなら、何の力も実績も持っていない主人公が唯一すがる事ができるのが自分の心の中にあるプライドだからです

 

心の中のプライドに従い、安心できる両親の元を離れ、見知らぬ世界へと一人旅立つ主人公

プライドは主人公を安住できる日常から危険な冒険へと導く原動力になります

 

危機的な状況の中、プライドを捨て両親と共に目の前の快楽に逃避すると言う選択肢も千尋にはありました

しかし彼女は前に進み、別の選択肢を模索します

 

そして、その結果、千尋は不思議な雰囲気を持つ少年ハクと出会う事ができるのです

 

物語に沿ってプライドが自信に変化し、少しずつ大きくなっていく様子を見ていきましょう

 

 

小さなお話の13フェイズ構造

 

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小さなお話の中盤、第7フェイズまで千尋ハクの助けを得ながら成長をしていきます

そして第8フェイズ以降の後半では千尋ハクの助け無しで成長するお話へ変化します

 

 

前半のお話ではハクの助けにより千尋は橋を渡り湯屋の中に入ることに成功

千尋の中にあるプライドが少しづつ自信へと変化しつつあります

 

そしてお話は中盤のクライマックスで大きな転換点を迎えます

 

ハクと別れ一人になった千尋

とぼとぼと進む千尋の目の前に下へと続く長い階段が現れます

 

おそるおそる下を除くと暗闇の中、はるか下には電車が走るのが小さく見えます

階段を降りようとする千尋

しかしあまりの怖さに千尋はしゃがみ込んで動けなくなります

 

それでも勇気を振り絞って再び階段を降りようとする千尋

その時、突如階段の板が外れてしまいます

 

すべり落ちていく千尋

その勢いで千尋は一気に長い階段を駆け下ります

 

階段を駆け下りた千尋は壁に張り付いたまま呆然とします

 

「絶対にできないと思いこんでいた事が自分にできた」

 

胸の動機が収まらない千尋

 

「自分の行動」により、千尋は生まれて初めて自分に対して少さな自信を持つことができたのです

 

このシーンは「何の実績も伴わない単なるプライド」が「自らの行動の結果による小さな自信」へと変化する大事な場面

 

この出来事以降、千尋はここで得た小さな自信を少しずつ大きく育てていきます

 

釜爺の元で働く千尋は、結果的に釜爺の仕事の邪魔をしてしまいます

しかし、その行動が元で釜爺に気に入られた千尋は、釜爺のはからいでリンの案内を経て湯婆婆の元へ辿り着きます

 

そしてこの小さなお話の最終決戦、湯婆婆との対決でこの世界(湯場)で働く権利を得ます

 

こうして「自分の行動の積み重ね」によって「小さな自信」を持った千尋は「この世界で一人で生きていこうと言う決心」をする事ができました

 

小さなお話はめでたしめでたしで終わります

 

しかし、これは大きなお話の序盤である決意フェイズ

まだ千尋はこの異常な世界で生きていく決意をしただけに過ぎません

千尋の本当の苦労、成長はここから始まるのです

 

 

実にワクワクするお話の始まり方ですよね

胸の辺から何かがぎゅっと飛び出してきそうな高揚感があります

 

 

今回はここまで

 

 まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います

 疑問点などありましたら是非教えてください

 

この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います

みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!

 

【連載3回目 続きはこちら】

gunber.hatenablog.com

 

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