がんべあの「ぶれない」キャラクター&ストーリーの作り方

創作活動の強い味方「エニアグラム」と「13フェイズ」

物語の書き方 ストーリー構成を学ぼう アニメ「おおかみこどもの雨と雪」を13フェイズで分析する(第2回)

f:id:gunber:20200912105653j:plainおおかみこどもの雨と雪より ©2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

 

 こんにちは

 みんなと一緒に幸せになりたい

 がんべあです。

 

 細田守監督作品「おおかみこどもの雨と雪」を13フェイズ分析。

 第2回目の今回は雨と雪のお母さん「花の物語」について分析をしていきます。

 

※物語は人によって千差万別な捉え方ができると思っています、このブログはあくまで私の目から見た意見ですのでご了承下さい。

 

【第1回がまだの方はこちらからどうぞ】

gunber.hatenablog.com

 

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 ※ネタバレありです、ご注意を

おおかみこどもの雨と雪」花のお話

 

雪:「おとぎ話みたいだって笑われるかもしれません

そんな不思議な事…有るわけ無いって

でもこれはたしかに私の…母の物語です

母が好きになった人は…おおかみおとこでした」

f:id:gunber:20210703080339p:plainおおかみこどもの雨と雪より ©2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

 

 物語冒頭のナレーションで語られた通り、このお話は基本的にのおはなし。

 

 主人公は国立大学の学生、勉強ができ真面目な性格の女の子。しかし真面目で勉強ができると言うだけでは社会にとって何の役にも立たない事を自覚しています。

 彼女は漠然と人の役に立ちたいと思っていますが、その為には何をしてよいのかがまだ分かりません。

 

 彼女の持つ問題点は「自分の人生をどう歩んでいくのかが分からない事」(=自分の個性が分からない事)

 

 花が生まれた時、裏庭に野生のコスモスが咲いていました。それを見て父が「花のように笑顔を絶やさない子に育つように」と生まれた子供にと名付けました。

 どんな辛い時でも笑顔を絶やさなければ乗り越えられると父から教わったは、父の葬式の時もずっと笑っていました。を親戚のみんなは不謹慎と怒ります。

 しかしおおかみおとこだけは花に対して違う反応を返してくれたのです。

 

おおかみおとこ:「不謹慎じゃない」

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花:「…! へへヘヘヘ……ウン…よかった」

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おおかみこどもの雨と雪より ©2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

 

 その時は理解します「自分らしさを受け入れてくれる人と出会うこと」「そして自分自身も他人(おおかみおとこ)の個性を受け入れたい…」

 それが自分の求めるものだったのだと。

 

 しかし「自分と他人の個性を受け入れて生きていく」と言うのはとても難しい事。

 その大変さ、そしてそれをどう乗り越えていくのかが、物語の中で描かれていきます。

 

 花のお話を13フェイズに従って見てみましょう。

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 物語の折り返し点である黄色の枠、第7フェイズまで花は子供たちの存在に助けられ、自分の個性(いつも笑顔である事、真面目な事、勉強熱心な事)を活かし伸ばして行く事で実にたくましい母へと成長していきます。

 また子供たち(他人)の個性を大切にして育てていこうと苦労をしながらも試行錯誤をしていき、子供たちはすくすくと育っていきます。

 

 そして物語中盤、第7フェイズ「転換」で子供たちと一緒になって雪の降り積もる丘を走り回ります。

 中盤のクライマックス、ここが純粋に子供たちの側に付きそえる最後のシーン。

 

 物語の後半(第8フェイズ以降)、子供たちは徐々に花の手を離れていき、花の孤独な戦いが始まります。

 雪は学校へ、雨は山へと通い、花の手を離れ独り立ちしていくお話になるのです。

 

 では後半の花のお話はどういう流れになっているのでしょうか?

 一人前の姿に成長していく子供たち。その個性を大切にする為に母親は子供たちから離れる必要があります。 子供はいつまでも母親の保護の元に居ては個性を伸ばすことはできません。花はその思いに苦しみます。

 ずぶ濡れになって山から帰ってきた雨に思わず花は叫びます。

 

花:「お願い、もう山へは行かないで…母さんのお願い…」

f:id:gunber:20210703081914p:plainおおかみこどもの雨と雪より ©2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会

 

 あんなに願っていた子供たちの成長。

 しかし今はそれが怖くてたまりません。

 

 子供たちの心配、そしてそれと同時に湧き上がる「自分自身が必要とされなくなる事」への恐れ。花はオオカミのぬいぐるみのほつれを縫いながらまだ子供たちが幼かった頃に思いを馳せます。いつかこのぬいぐるみと同じ様に私も必要とされなくなるのかしら…と。

 

「子供たちの助け」を失った孤独な花の戦いと成長。

これが花の後半のストーリー。

  花はがむしゃらに頑張り、山へと向かった雨を追いかけます。しかし第9フェイズ【破滅】で、ついに力尽きてガケから転落、気絶してしまいます。

 

 そんな花の転機となるのが成長した雨。 雨はガケの下で倒れている花に近づきます。花は夢の中で雨の姿に父親であるおおかみおとこの姿を被らせます。

 

 そして雨がもう「一人前」である事、母親の手から巣立つ時期にきた事を受け入れる事ができるのです。

 

 これが後半のお話でのの戦いと成長。

 

 物語の始めで示される彼女の問題点「自分の人生をどう歩んでいくのかが分からない事」。

 

 その答えは「自分らしさを受け入れてくれる人と出会うこと」「そして自分自身も他人(おおかみおとこと子供たち)の個性を受け入れる事」。

 

 お話を通して花は自分の個性を受け入れてくれるおおかみおとこと出会い、そして彼の個性を受け入れます。

 そして自分の個性を尊重して活かしながら、彼との間に生まれた二人の子供たちの個性も大切にして育てあげる事ができるのです。

 

「自分らしい道を選び、自分と他人の個性を大切にして日々を生きる」それが花のお話のキーワードだと思います。

 

この年、中学校の寮に入るため、雪は家を出た

寮に入ることを勧めたのは、花だった。

ひとりで淋しくないの?と雪が聞くと、

淋しくない、と花は言った。

離れて暮らしていても、私はずっと、あなたたちのお母さんだから、と言った。

小説版「おおかみこどもの雨と雪」より

 

 今回はここまで。

 次回は子供たちのお話に焦点を合わせた解説を行います。

 

 まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います。

 疑問点などありましたら是非教えてください。

 

この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います。

みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!

 

【続きはこちらで:連載第3回目】

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