リトルウィッチアカデミア第2話より © 2017 TRIGGER/吉成曜/「リトルウィッチアカデミア」製作委員会
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
今回は魅力あふれる「リトルウィッチアカデミア(TVシリーズ全25話)」のストーリーを13フェイズを使って分析します
リトルウィッチアカデミアは何故こんなに感動するのでしょうか?
そこにあるのはしっかりと作り込まれたテーマと世界観、キャラクターとストーリー
そして何より「主人公アッコの成長」がしっかりと描かれているからだと思います
今回は魅力的なストーリーがどうやって構成されているのか
それを解き明かしていきます
リトルウィッチアカデミアの魅力の再発見
一緒に感動のストーリーを振り返っていきましょう♪
(※ネタバレですのでご注意ください)
13フェイズとは?
「13フェイズ」とは「起承転結」とか「序破急」「三幕構成」などと同じく「お話の構成」を表した名称
特徴は「13のフェイズに分かれた構成」
各フェイズで描かれるパターンは決まっています
リトルウィッチアカデミアのお話構成は13フェイズに従っており、以下の様になっています
【13フェイズのストーリー構成】
【第1幕】(対立)
①【日常】主人公の日常、抱えている「問題」
②【事件】事件の発生、日常から引き離される
③【決意】新たな状況へ飛び込んでいく決意
【第2幕】(葛藤)
④【苦境】新たな状況での様々な苦境
⑤【助け】苦境に陥った主人公に助けが現れる
⑥【成長・工夫】助けを得た主人公の成長・工夫
⑦【転換】成長による成果、中盤の盛り上がり
ここまでが前半
⑧【試練】後半は助け無し、主人公は単独で試練に立ち向かう事に
⑨【破滅】主人公の頑張りも届かず状況は一層悪化、破滅が襲います
⑩【契機】破滅を乗り越えるきっかけを掴む主人公
【第3幕】(変化)
⑪【対決】敵との最終対決
⑫【排除】敵を排除
⑬【満足】主人公の抱える問題の解決
物語の構成には色んな方法がありますが、「王道の感動」ができるのはなんと言ってもこの13フェイズで創られたお話だと思っています
他に13フェイズ構成でできている有名な作品をあげると
「この世界の片隅に」
「シン・ゴジラ」
「君の名は」
「千と千尋の物語」
最近の例では
「ケムリクサ」
「モブサイコ100」
などがあります
王道の感動が得られる素晴らしい作品ばかり
これらの作品も全て13フェイズに従った構成なのです
そして「リトルウィッチアカデミア」も13フェイズに従った造りとなっています
では「リトルウィッチアカデミア」の具体的なストーリーを順を追って見ていきましょう
「リトルウィッチアカデミア」お話の流れ
【第1幕】
第1フェイズ【日常】(1話)
魔法と科学が同居する現代社会、しかし魔法はすでに過去のものとなりつつある世界の物語
元気いっぱい興味津々な女の子、主人公のアッコ
幼い頃シャイニーシャリオの魔法ショーに感動したアッコは魔法使いになろうと夢を抱きます
そして、魔法学校の入学が決まったのですが、箒に乗れない彼女は魔法学校に行くことができない
アッコの抱える問題は「魔法使い(憧れているもの)になれないこと」
物語の冒頭、第1フェイズでは主人公の暮らす世界の「日常」と、主人公の「問題点」が描かれます
第2フェイズ【事件】(1話)
アルクトゥルスの森でシャリオの杖「シャイニーロッド」を手に入れ、その力で魔法学校ルーナノヴァに入学できる
第2フェイズで「事件」が起こります
これによって日常から離れ、物語が動き始めます
第3フェイズ【決意】(6話)
大いなる星々の魔力が得られると言う「ポラリスの泉」でのアッコは決意をします
はい…。私、期待してたんです…。
ポラリスの泉を見つけられれば、輝きを秘めた魔女として認めてくれるんじゃないかって…
でもそれは誰かが認めてくれるものなんじゃなくて、自分が努力してなるものなんですよね
私、なりたい…!シャリオみたいに…いつかきっとなりたい!
この「決意フェイズ」がとっても大切!
このフェイズをしっかりと描くかで、全体のお話の重さが全然違ってきます
アッコの「決意フェイズ」は第6話
普通のアニメだと1話の内に決意フェイズがあったり、そもそもこのフェイズ自体を飛ばしている作品も多いです
しかしリトルウィッチアカデミアではアッコが1話でルーナノヴァに入学してから、「シャリオみたいな魔法使いになりたい」と言う決意が「本当に」固まるまでの過程を6話も使ってじっくりと描き込んでいます
こういう所をきちんと描いているのがリトルウィッチアカデミアの魅力に繋がっているのだと思います
【第2幕】
第4フェイズ【苦境】(7話)
いくら頑張っても魔法が上達しないアッコ、ついに退学処分が出されてしまう
今度の試験、結果次第では彼女の処遇を考えなければなりませんね!?
我が校始まって以来の恥です!アツコカガリの退学処分を求めます!
「決意」を新たに勉強に励むアッコに「苦境」が訪れます
13フェイズ構成のお話では、その「苦境」は一人では乗り越えられません
まだ主人公に力が足りないからです
果たしてどうなってしまうのでしょうか?
第5フェイズ【助け】(7話)
アーシュラ先生の助け
待ってください!確かにカガリさんが他の生徒に比べたら魔法が使えないダメな生徒かもしれません
でも彼女は魚類語が分かるようになり、こうやって変身魔法も身につけようとしています!
比べるべきは他の生徒ではなく、入学当初の彼女です!
目の前で悲しんでいる者を放っておけず、自分の事よりも相手の気持ちになれる事は評価されるべきじゃないんですか!?
成績や世間体ばかり気にするなんて…バカです!
私が彼女を評価します!
途方にくれる主人公に助けが現れる
それが第5フェイズ「助け」
アーシュラ先生は物語の前半(第5~7フェイズ)で陰になり日向になりアッコの成長を助けてくれます
しかし、そこには悲しい過去の理由が・・・
第6フェイズ【成長・工夫】(8話~11話)
アーシュラ先生やロッテ、スーシィー、仲間たちの「助け」によりアッコは成長していきます
眠れるスーシィを助け(頭がおかしくなりそうな良い回でした!)、「恋のホレホレ蜂」でのアンドリューとの再会、そして数年に一度のブルームーンの晩、アッコは無自覚の内に2つ目の言の葉を蘇らせます
魔法を学び、力を付け、自分らしさを見つけていく
アッコはゆっくりとですが確実に「成長」していきます
そしてその成果が試される「ルーナノヴァ魔法祭」が始まります
ここまでが第6フェイズ
第7フェイズ【転換】(12話~15話)
「ルーナノヴァ魔法祭」での「嘆きのバハロワ」のいけにえの儀式
そこでアッコは悲しみに明け暮れるババロアに笑顔を与える事ができます
かつて誰も思いつかず、出来なかった事を成し遂げる
中盤の大きな盛り上がり
13フェイズではこの中盤の盛り上がりを「カバードピーク」と言います
カバードピークは主人公の成長の集大成
このままエンディングとなってもおかしくない盛り上がりを見せます
しかし、本当の物語はここから
盛り上がるアッコの裏で様々な思惑が動き始めます
新任教師のクロワ登場、危険な雰囲気満載のクロワ
アッコは現代魔法を使いこなすクロワにぞっこん
アッコ:「クロワ先生かっこよかったなぁ!現代魔法ってどんな授業なんだろう?」
そんなアッコを心配したアーシュラ先生はある決意をします
アーシュラ先生はアッコにシャイニーロッドの秘密を話します
世界を変える力を持つと言われている世界改変魔法、グラントリスケル
その開放がシャイニーロッドの役割
7つの言の葉を集める事でシャイニーロッドは覚醒するのです
アーシュラ先生:「言の葉はあと4つ」
アッコ:「4つ…どんな意味なの…」
アーシュラ先生:「それはこれからあなたが自分で知らなければならない」
アッコ:「先生は知ってるの?」
アーシュラ先生:「最後の1つを除いてね
あなたが自分の力で成長し、7つの言の葉全てに命を吹き込んだ時、グラントリスケルの封印がとける」
アッコ:「先生、とうとう分かったよ!シャリオは言の葉を探してたんだ!それを追って姿を消したんだよ。私も言の葉を追いかければきっとシャリオに会える!
私、探す!7つの言の葉を!」
ここまでが前半
ここまでは主人公が助けによって成長するお話
後半は主人公が助け無しで成長していくお話に大きくシフトチェンジをします
第8フェイズ【試練】(16話~22話)
4番目、5番目、6番目の言の葉を手にするアッコ
しかし最後の言の葉は見つからない
街ではサッカーの“疑惑のゴール”問題で、隣国同士一触即発の怪しい雰囲気
その黒幕はクロワ
ようやくクロワの持つ暗黒面に気付くアッコ
クロワ:「いま世界中の魔力は減少しつつある
何かでそれに代わるエネルギーを作らなければ
人間の感情を、新たなエネルギー源に変えることが出来たら素晴らしいと思わない?
群衆心理が一番操作しやすい
このアプリで感情を集めれば…
予想以上の成果だわ!
これだけあれば私の世界改変計画も成就する
誰もが魔法の力を見直すわ」
アッコ:「クロワ先生…おかしいよ!
そんなことやめてよ!」
第9フェイズ【破滅】(22話)
アッコはアーシュラ先生の秘密を知ってしまう
アーシュラ先生とシャリオは同一人物
そしてアッコが箒に乗って空を飛べない理由は・・・・
クロワ:「アッコ、昔シャリオのショーを見たんでしょ?
ドリームヒューエルスピリットは、その場にいる人間の夢見るエネルギーを集めて魔力にするわ
そして夢を吸われた人は、魔力を失ってしまう」
アーシュラ先生:「あなたが、昔シャリオのショーに来ていたと知ってまさかと思った
おそらく、私はあなたの魔力を吸い取ってしまった
あなたが空を飛べないのも、すべて私のせい」
アッコ:「嘘だよ…、ねぇ、アーシュラ先生
嘘だ…嘘だ…
嘘だ!!」
このフェイズでは主人公に「破滅」が襲います
どうしようもない破滅、主人公はそれに耐えきれず押しつぶされそうになるのです
第10フェイズ【契機】(23話)
耐えられない「破滅」に潰されそうな主人公
絶対的な暗闇の中に一筋の灯りが現れます
それは真の暗闇だからこそ気付くことができる小さな小さな灯り
しかし、気付かなかっただけで、その灯りは目の前にずっとあったもの・・・
ショックを受け疾走するアッコ
居なくなったアッコを心配し捜しまわるロッテ、スーシィー、アマンダ、コンスタンツェ、ヤスミンカ
そしてダイアナが呆然として座り込むアッコを見つけます
何を話ししても上の空のアッコの前にダイアナはあるモノを取り出します
それはシャリオのプレミアムカード
ダイアナ:「わたくし、あなたのこと最初から気に入らなかった
シャリオが好きだとか言い回り、魔法も勉強もまるでダメ。後先考えず行動して、人に迷惑をかける
けれど、あなたはいつも私に出来ないことをやってのけた
あなたの魔法には、不思議な魅力があった
私は、アナタが羨ましかった」
アッコ:「ダイアナが私を…?」
ダイアナ:「今思えば、私がルーナノヴァを去ろうとしたのもあなたから逃げたかったのかもしれません
あなたが私よりもシャリオに近い存在という現実から」
アッコ:「ダイアナ…」
ダイアナ:「これをあなたに送ります
カードの意味とともに
信じる心があなたの魔法…
私も信じます。あなたの信じる心
あなたの魔法は、誰よりも強いと」
ここで飛び込んでくるロッテと仲間たち
ロッテ:「良かった、アッコ…
学校やめたりしないよね?」
アッコ「…あったりまえじゃん!私は辞めたりしないよ!素敵な魔女になれるまで!」
「破滅フェイズによる絶望」からの脱出は13フェイズ構成のキモ
その絶望が大きければ大きいほど、お話は盛り上がります
今まで主人公アッコが築きあげた頑張りがブーメランの様に返ってくる感動のシーン!
「小さな灯り」
それは今まで行ってきた「自分自身の頑張り」と、それを見守ってくれてきた「仲間たち」の存在
【第3幕】
第11フェイズ【対決】(24話~25話)
物語は第3幕、最終決戦に突入します
究極魔法を開放しようとクロワはノワールロッドを使う
人々の感情を吸い取り魔法エネルギーに変換して起動したノワールロッド
しかしその力はクロワのコントロールを離れ、魔獣として暴走を始める
ミサイルに取り付く魔獣、このままでは世界中を巻き込んだ戦争に発展してしまう
その危機を救う為にアッコ達9人(アッコ、ダイアナ、ロッテ、スーシィー、アマンダ、コンスタンツェ、ヤスミンカ、アーシュラ、クロワ)はニューナインウィッチとして魔獣ミサイルに立ち向かう
ロッテ:「私達のほうきじゃ追いつけないんじゃ…」
アッコ:「だからって何もしないわけ!?
今ここに9人も魔女がいるんだよ!?絶対何かあるよ!魔女なら出来ることが!」
ダイアナ:「確かに、あれが魔獣の仕業なのだとしたら、魔法でなければ対抗できないかもしれない
やってみる価値はありそうですわね」
クロワ:「無理よ…飛んでいるミサイルに追いつけるはずがない」
アッコ:「それでも行けるとこまで行ってみようよ!
私ら9人、ニューナインウィッチだよ!」
第12フェイズ【排除】(25話)
息詰まる最終決戦!そしてついに・・・
世界一周をして返ってきた流星丸も登場し、テンションマックスの最終決戦!
みんなの力を合わせミサイルを排除するアッコ達
アッコ:「お願い、グラントリスケル
本当に世界を変えられるなら、私は皆が笑いあえる世界に変えたい!
信じる心が、みんなの魔法なんだ!」
アッコ&ダイアナ:
「ノット・オーヴェ!!
フレトーーール!!
シャイニィィィィィ!!
アルクーーー!!」
第13フェイズ【満足】(25話)
そして物語は大団円を迎えます
救われる世界、人々の理解を得る事で忘れ去られた魔法の力が蘇る
ハンブリッジ国務大臣:「どうやら、私は魔女について大いなる誤解をしていたようだ
魔女の存在意義について、お前の考えを聞かせてくれないか」
アンドリュー:「ええ、もちろん!」
クロワ:「魔法を信じる心か…
それが魔力の源だったなんて」
役目を終えて消え去るシャイニーロッド
アッコ:「ありがとう、シャイニーロッド
さようなら」
そして魔法学校の日常が再開される
あれだけの事を成し遂げたのにまだ箒に乗れないアッコ
箒に乗る練習を続けている
ダイアナ:「自信満々で誘うから来てみましたが、どうやら決定的瞬間は見られそうにないですね」
ぶすーっとふくれ顔のアッコの後ろからロッテとスーシィが声をかける
ロッテ:「 アッコ。信じる心は」
スーシィー:「魔法なんでしょ?」
アッコ:「あはは!」
さて、この続きは、本編でのお楽しみで
どうでしたでしょうか?
13フェイズに従ってしっかり創られているのが分かると思います
ポイントは物語の前半と後半の違い
「7つの言の葉集め」
前半はアーシュラ先生の「助け」(呪文を共に唱えてくれたり、「嘆きのバハロワ」の秘密を調べてくれたりと)によって言の葉を集めていたアッコ
しかしカバードピーク後の「言の葉集め」はアーシュラ先生の助けを借りずにアッコ(とその仲間)達だけで行っています
更に最後の1つはアーシュラ先生も手にする事ができなかった「言の葉」
アッコの真の成長が試されます
こうして長い物語を通じて少しずつアッコが成長していく過程を描いていくお話
「13フェイズに従って丁寧に作り込まれたお話の構成」
その事により視聴者が「アッコの成長の過程」に納得ができる物語構成となっている
これがリトルウィッチアカデミアの魅力の秘密だと思います
今回はここまで
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