がんべあの「ぶれない」キャラクター&ストーリーの作り方

創作活動の強い味方「エニアグラム」と「13フェイズ」

物語の書き方 ストーリー構成を学ぼう アニメ「この世界の片隅に」すずさんの「成長」と「助け」 【13フェイズ】

f:id:gunber:20200912112804j:plainこの世界の片隅に より © こうの史代双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

 

こんにちは

みんなと一緒に幸せになりたい

がんべあです

 

 

今回は片渕須直監督「この世界の片隅に」の主人公すずさんの「成長」と「助け」について13フェイズ分析します

 

この作品は2016年(平成28年)公開映画

 

こうの 史代先生の素晴しい原作を片淵監督が忠実に再現

 主人公すずさんの声優、のんさんの名演技やコトリンゴの心に染み入る音楽

私の生涯の中で文句無しのベスト1の映画です

 

 

さて、本編の解説に入りましょう

 

 ※「」と

○○○○

は引用部分

引用は全て「この世界の片隅に」から

ネタバレありですのでご注意ください

 

この世界の片隅に」のお話

 

 この世界の片隅に13フェイズ構成のお話となっています

今回は13フェイズ構成の大きなポイント2つ「成長」「助け」に注目して作品を解説していきます

 

①成長

 

成長とは何でしょうか?

 

いろいろな定義があると思いますが、13フェイズのお話では「今抱えている問題点を克服すること」成長となります

 

13フェイズのお話では必ず物語冒頭で「主人公の抱える問題点」が提示されます

そして、物語の最後では「成長した主人公がその問題点を克服し満足を得る」と言う形で幕を閉じるのです

 

②助け

 

成長、それはとても難しいもの

難しいからこそ、主人公は問題点を抱えたまま日々苦しんでいます

 

そんな主人公に必要なのは「助け」

 

主人公は誰かの助けによって成長する事ができます

 

しかし、助けられて得た成長はまだ「仮りそめの成長」

「本当の成長」は自分ひとりの力で得なくてはなりません

 

13フェイズ構成のお話では

物語前半では主人公は誰かの助けを得ながら成長」し、「後半では助けなし一人で成長」すると言う2段階の成長を描くお話の構成となっています

 

 

この2点に注目してこの世界の片隅にのお話を振り返ってみましょう

 

この世界の片隅に」の13フェイズ

 

 主人公すずさんの抱える問題点「自分の意見や感情を他人に出すことができない事」

 

その様子が冒頭で示されます

のんびり屋さん、絵を描き空想するのが好きなすずさん

妹のすみちゃん以外の人に自分の意見や感情を出すことはできません

 

そんなすずさん事件が起こります

 

それは「隣町の呉から縁談が舞い込」む事

 

広島から離れ一人遠くの町で暮らす事を決意するすずさん

物語の最初に示されたすずさん問題点である他人とのコミュニケーション能力が必要となります

 

苦境に陥るすずさんを夫の周一や姪の晴美、近所の人たちが支え「助けて」くれます

 

ここが大切なポイント

 

自分の問題点を解決するために「事件」に飛び込んだ主人公

そんなに都合よく「助け」は現れるものなのでしょうか?

 

私は助けは「現れる」のではなく「気付く」ものなのだと思います

 

人間は一人では生きていきません

常に誰かと助け会う事でしか生きていけない存在

実は気付いていないだけで、「人の周りに助けは常に存在している」と思うのです

 

人は自分の問題点に対して逃げずに立ち向かう決意をした時、大きな苦難に襲われます

 

そのプレッシャーに遭遇した時に初めて人は周りの「助け」に気付く事ができるのだと思います

 

人は他人の「助け」に気付くことができた時に大きな力を得る事ができます

一人では乗り越える事ができないと思っていた障害が他人の助けの存在に気付く事で乗り越え成長する事ができるようになります

 

 

そしてすずさんはみんなの助けに支えられ成長し次第に自分の意見や感情を外に出す事ができるようになっていきます

 

中盤のクライマックスは電車の中と駅で繰り広げられる周作との痴話喧嘩

 

周作:「…わしには見せんくせに あげな怒り顔…」

すず:「な………、今見しとるでしょうが!!」

 

周作:「すずさんがゆうべくつろうたんは足が入らんことなっとたんじゃ」

 

すず:「他のんもあろう!」

 

巡査:「おふたりさん それ、今せにゃいかんケンカかね?」

 

すずさんが自分の気持ちや意見を大きな声に出して表す

 

すずさん成長が見られるいいシーン

実にほっこりします

 

 

ここまでが物語前半のお話

 

 

そして物語後半

 

突如として米軍の戦闘機が呉の町を襲い、空襲でめいの晴美と自身の右手を失うすずさん

 

右手を失い家事をすることもままなりません

嫁ぎ先の北條家に居づらくなるすずさん

苦労して仲良くなってきた径子とも晴美を失った事で険悪な状態となります

 

物語後半は前半で助けてくれた人々の助けなしで一人で成長していくお話に大きく変化します

 

先程述べた通り、実際には「人々の助けは常にあるもの」、決して無くなったわけではありません

すずさん「助けが無くなった」と思ってしまう事がポイント

 

これは主人公の真の成長の為には必要な行程となります

 

 

ここで物語全体の流れを13フェイズでまとめてみます

 

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 黄色の枠、第7フェイズまですずさんは北條家の家族と近所のみんなの助けの中、呉での生活を行います

 

しかし第8フェイズからは周りからの助け無しで生活をするお話になってます

 

 一人で苦しむすずさんは第10フェイズ、径子との会話で目覚める事ができます

 

経子:「すずさんの居場所はここでもええし どこでもええ くだらん気兼ねはなしに 自分で決め」

 

すず:「・・・・」

 

すずさん晴美と右手を失い真の絶望の暗闇の中で、忘れていた「助け」に再び気付く事ができます

 

人々に助けられ、人々を助けていく

 

そんな自分に気付いたすずさんは、自分を取り戻し、苦しい生活の中、生きるために戦い続けます

 

そして、クライマックスでは今まで表に出せなかった自分の気持・考えを赤の他人、近所のみんなの前でも大きく叫ぶ事ができる様になります

 

すず:「そんなん覚悟の上じゃないんかね 最後ひとりまで戦うんじゃなかったんかね?

 

今ここにまだ五人おるのに まだ左手も両足も残っとるのに・・・」

 

物語を通じて、前半は周りの人々に助けられ、後半は自分一人で苦しみもがく中で、成長したすずさんの姿がここで見られます

 

その後、食料調達に出かけるすずさんと近所の刈谷さん

道中、すずさん刈谷さんに自分の気持を話します

 

すず:「晴美さんはよう笑うてじゃし 晴美さんのことは笑うて思い出してあげよ思います この先ずっと うちは笑顔の容れもんなんです」

 

物語冒頭では決して表に出せなかった自分の思い

それを素直に出すことができるようになったすずさん

 

そして成長したすずさんは最後に戦災孤児を引き取り北條家のみんなの元へ連れて帰り物語は終わります

 

「成長」「助け」

 

それは吾々全ての人間に必要なもの

そんな大切な2つの要素を吾々に示し、教えてくれる物語この世界の片隅に

 

そんな素晴しい作品に出会えた私は実に幸せ者です

 

 

今回はここまで

 

より詳しい解説はこちらの記事からどうぞ

gunber.hatenablog.com

 

 まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います

 疑問点などありましたら是非教えてください

 

この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います

みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!

 

【13フェイズに興味がある方はこちらの記事をどうぞ】gunber.hatenablog.com

 

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