青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 第8話「大雨の夜にすべてを流して」より ©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
こんにちは
みんなと一緒に幸せになりたい
がんべあです
今回は「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の第7・8話を13フェイズ分析します
(※ネタバレあります、ご注意を)
7~8話はロジカルウィッチ双葉 理央(ふたば りお)を中心とした咲太・国見の3人グループの物語
私は今回このお話は「3人組そのものが主人公」だと分析しました
物語では個人が主人公ではなく、複数の登場人物が集まるチームや組織自体が主人公となるお話もよく見られます
一緒に作品の構成をたどっていきましょう
※今回は中級者向けの記事となります
13フェイズを知らない方はまずこちらの記事をご覧ください
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」7~8話は、13フェイズに従ったお話になっています
順を追って説明していきましょう
引用は「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」7~8話からになります
13フェイズでのお話の流れ
【第1幕】
第1フェイズ【日常】
咲太・国見・双葉の3人は気のしれた親友関係
しかし双葉が憧れていた国見に彼女が出来、咲太にも麻衣と言う彼女ができます
3人の関係に変化による不安が膨らんでいく双葉の姿が描かれます
双葉:「今は梓川と国見がいるけど、いつかまた一人になるんじゃないかと思って」
主人公3人グループの問題点
「それは3人の関係が壊れてしまうのではと言う不安」
人よりも強い孤独感を持つ双葉
父と母は1年の半分は家にいない
学校ではクラスのみんなと打ち解ける事ができない
誰も自分のことをわかってくれない
そんな自分を卑下した双葉は自撮りしたきわどい写真をSNSに投稿する事で気持ちを落ち着かせようとします
双葉:「最初は誰かに見せたりする気なんてなかった。客観的に自分を見て『バカなことをしてる』って思いたかっただけなんだと思う」
咲太:「それ、なんのためにだよ」
双葉:「一種の自傷行為…
梓川には理解できないかもしれないけど……私は私が嫌いなんだよ」
第2フェイズ【事件】
双葉の人格が分裂
2人に分かれてしまう
双葉:「私が二人居るんだ」
咲太:「それどういうことだ?」
双葉:「言った通り…三日前からこの世界には双葉理央が二人居る」
誰かに構ってほしい双葉
そのための手段が許せない双葉
そんな相反する気持ちが分裂し、個別の人格として現れます
第3フェイズ【決意】
この世界に、双葉理央はふたりもいらない
双葉:「…で、どっちの私にするかは決まった?」
咲太:「そんなもん自分で決めろって」
双葉:「……」
咲太:「自分のことは自分で決めるもんだろ」
双葉:「なるほど正論だね」
もう一人の双葉の存在を受け入れる決意をする双葉
【第2幕】
第4フェイズ【苦境】
しかし、どうすれば良いのか分からない双葉
第5フェイズ【助け】
「分裂した双葉」の助け
3人の関係が決定的に壊れる事を恐れて「本音が言えない」双葉
そんな彼女を「分裂した双葉」が助けます
双葉:「原因については?」
咲太:「心当たりはないってさ」
双葉:「そんな嘘を梓川は信じたわけ?」
咲太:「なんで嘘だと思う?」
双葉:「私には心当たりがあるから」
国見と咲太は出会った時から冗談と本音の違いが分かり会える関係
そしてそれは双葉もその一人だったはず…
本音が言えなくなった双葉を分裂した双葉が助け、3人の気持ちを確かめていきます
第6フェイズ【成長】
双葉はだんだんと自分の本当の気持ちに気付き、素直な気持ちになっていきます
国見:「双葉~、風プリーズ」
咲太:「双葉、国見が仰いで欲しいってさ」
双葉:「えっ…」
国見:「双葉~、風プリーズ
あー、気持ちいいー」
第7フェイズ【転換】
SNSに恐喝まがいの投稿が寄せられる
恐怖に包まれる双葉
震えている双葉に対して咲太は自分ができる事の限界を感じる
双葉の緊張と不安を消すことができるのは国見だけ
双葉:「私は怖かったのだと思う
今は梓川と国見がいるけど、いつかまた一人になるんじゃないかと思って」
咲太:「なんだよそれ」
咲太:「国見のすごさを教えてやる。きっと、惚れ直すぞ」
双葉:「やめて、こんな時間に非常識だと思われる」
咲太:「もう手遅れ
双葉がピンチなんだよ。すぐに本鵠沼駅まで来てくれ」
深夜だと言うのに、自転車を飛ばし双葉の元へ駆けつける国見
双葉:「そんなの知らない。泣くのなんか久しぶりで…
でも、でも……私は……
全然ひとりじゃなかったんだ……ひとりじゃなかった……」
そして3人で海岸でコンビニで買った花火を振り回し、楽しそうに写真を撮る
3人で来週の花火大会に行く約束をする
物語は中盤の盛り上がりを見せます
第8フェイズ【試練】
後半はもう一人の「双葉」の話
「分裂した双葉」の助け無しとなる「双葉」の話とシフトチェンジします
(ややこしい……)
双葉:「もうひとりの私の事、重症なのはあっちの方だよ」
咲太:「…」
双葉:「あっちは、私のこと嫌いだから…
だからお願い、もうひとりの私の事…
お願い」
第9フェイズ【破滅】
スマホの待ち受け画面に映る幸せそうな3人の写真
それを見た双葉は梓川の家を飛び出る
台風の吹き荒れる中、梓川は学校の教室で理央を見つけだす
双葉:「わたしは梓川の前から消えるよ、この街から消える」
咲太:「何だよそれ…」
双葉:「この世界に双葉理央は二人いらない
もうひとりの私はわたしなんかよりよっぽど上手に双葉理央をしている
この世界に馴染んでる
私がいなくなれば、全部解決する」
双葉:「だったら、なんであんな写真…
あんな羨ましい写真を見せられたら、そう思うしかない!
私の居場所なんてもうどこにもない!」
【第3幕】
第11フェイズ【対決】
自分の本当の気持ちと向き合い言葉に出す双葉
双葉:「あのさ」
咲太:「んー?」
双葉:「…花火
私も、行っていい?」
咲太:「ダメだな」
双葉:「 …」
咲太:「そんな言い方じゃダメだ」
双葉:「わ、私も、花火行きたい」
咲太:「言う相手、間違えてる」
第12フェイズ【排除】
公衆電話越しに自分の「想い」を自らに告げる双葉
双葉:「私も、一緒に花火行きたい」
その言葉を発した瞬間、分裂した二人は元通り一人に戻る
第13フェイズ【満足】
双葉・咲太・国見の3人で花火を見上げる
双葉:「国見、彼女と仲直りしなよ
どうせ私か梓川が原因でしょ」
国見:「ああ」
物語冒頭で示された理央の心情からみた3人の問題点
「3人の関係が壊れてしまうのが怖い」
その問題点が解決し満足が得られます
このように13フェイズの流れに沿って主人公である3人の物語が双葉の心情を通じて進められています
まとめ
今回のお話は物語の構成をどう分析してよいのか非常に苦しみました
悩みの原因は最初、主人公は双葉で第5フェイズの「助け」は咲太だと考えていた事
13フェイズ構成だと前半のみであるはずの咲太の「助け」が後半も続いてしまっています
この矛盾にとても苦しみました
物語を何度も見返した結果、おそらく今回のお話は双葉ではなく、双葉を含めた3人の物語なのではと思うようになりました
咲太や国見は「助け」ではなく、主人公そのもの
3人のグループ自体が一人の主人公だと考えると前半後半を通じて3人が活躍するのも理解できます
そして、3人ブループ自体の成長を描いたのがこのお話
では、前半のみに登場する「助け」とは誰でしょうか?
それは「分裂した双葉」
前半は主人公(3人のグループ)が「分裂した双葉」に助けられて、変化の激しい状況のなか、自分たちの心・関係を見つめ直していく話
後半は「分裂した双葉」抜きで3人グループが現在の関係を再確認し、絆を深めていく話
そういう構成のお話なのではないかと思いました
今回はここまで
まだまだ勉強不足で、勘違いや、解説に至らぬ点も多くあると思います
疑問点などありましたら是非教えてください
この記事があなたの「創作活動」と「物語を楽しむ事」に少しでもお役に立てると嬉しく思います
みなさんの毎日が楽しく幸せなものになりますように!
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